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更新日:2024.03.31 / 掲載日:2024.03.31

スモール2BOXベストバイ〜新型スイフト vs ライバル〜

スモール2BOX選び “ベストバイ” はどのモデル?

初めて新車を購入するというユーザーにとって、性能と使い勝手、さらにコスパに優れるスモール2BOXは、最有力候補といえるカテゴリー。もとより熾烈な販売競争が繰り広げられているが、新型スイフトが登場したことで、さらに加熱するのは間違いない。ここではスイフトのライバルたちと比較することで、ベストな一台をお教えしたい。

●文:川島茂夫

新型スイフト vs ライバルモデル比較

全方位にバランス良く
スイフトは基本に忠実

「スモール2BOXの基本コンセプトに忠実」
 これが新型スイフトで最も本質といえる魅力だが、このコンセプトに合致するような真正面からぶつかる国産モデルが見当たらないのは、少し残念な気持ちになってしまう。
 ライバルとして「ヤリス」「フィット」「マツダ2」の3モデルを比較対象として選択したが、ヤリスとマツダ2はスポーティ&スペシャリティ志向を強化しすぎで、フィットはファミリーカーとしての実用性に大きく舵をとりすぎている。伝統的なスモール2BOXの価値感とは、ちょっと違っている。
 ヤリスとマツダ2の外観デザインは、5ドアクーペ的な趣を持つことが特徴で、その分、後席や荷室の存在感は控えめだ。このようなパッケージングではピラーや天井の圧迫感が強くなり、相対的に後席の居住性が低下してしまう。明らかに前席優先の設計思想だ。
 フィットは見晴らしなど視覚的な開放感も含めた居住性への配慮や、積載の多様性を特徴にしていることは実用車らしい美点だが、パーソナルユースという面では少し物足りなさがある。
 これらの3モデルと比べると、スイフトは上手にその間を埋めていることが良く分かる。スタイリングは王道2BOXで、キャビンの後席まわりの余裕も十分。インテリア質感も適度に高く、見た目もほどよくスポーティだ。使い回しのいい、ちょうどよいクルマに感じるユーザーも多いだろう。

3気筒勢は設計が新しい
性能面でも見劣りしない

 走りに関しては、ライバル3車は上位設定としてプレミアム性の高いパワートレーンを用意している。ヤリスとフィットはHEV、マツダ2はディーゼルターボがあり、ともに動力性能と燃費でこのクラスをリード。ただし、性能アップに伴い価格も相応に高く、エントリーグレードでも200万円以上になっている。高速長距離を重視するなら投資に見合う効果もあるが、スモール2BOXは車両価格も含めた経済性も重要。少しハードルが高いと言わざるを得ない。
 標準設定となるガソリン車同士で比較すると、ライバル3車はスイフトより大排気量となる1.5ℓを採用している。気筒数はヤリスがスイフトと同じく3気筒、他は4気筒。気筒が多い4気筒のほうが質感面で有利に思えるが、3気筒勢は総じてエンジン設計が新しく、騒音振動のハンデはない。さらにスイフトは、マイルドハイブリッドも選択できる。
 1.2ℓエンジンのスイフトの動力ハンデは車両重量の軽さで、ある程度は相殺されるが、全開加速などの高負荷な状況では1.5ℓ勢に見劣りしてしまう。ただ、中庸域の力感やコントロール性のよさは1.5ℓ勢を上回っており、日常域での走りならば、排気量のハンデを意識する必要はない。なお、WLTCモード総合燃費はスイフトが24.5km/ℓでトップ、次いでヤリスの21.3km/ℓ。本格ハイブリッドを除けば、最も燃費に優れているのがスイフトだ。
 4モデルとも操縦安定性の高さをセールスポイントにしているが、傾向としてはヤリスとマツダ2は切れ味等の操る手応え重視で、スイフトはストレスフリー重視。フィットはRSグレードがスイフトに近い特性だ。
 乗り心地とのバランスは、フィットが乗り心地寄りで、ヤリスとマツダ2は路面当たりが強めなスポーティ寄りになる。サス周りの硬さはスイフトも同系統だが、スイフトは良路での据わりの良さがあり、ここもスイフトの魅力になっている。
 スイフトをライバル3車と比較すると、スイフトはタウン&ツーリング用途に求められる要素をウェルバランスでまとめていることがよく分かる。このクラスの基準器的なモデルと言っていいだろう。

SUZUKI スイフト

価格:172万7000〜233万2000円

主要諸元(HYBRID MZ 2WD) ●全長×全幅×全高(mm):3860×1695×1500 ●ホイールベース(mm):2450 ●車両重量(kg):950 ●パワーユニット:1197cc直3DOHC(82PS/11.0kg・m)+モーター(2.3kW/60Nm) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:24.5km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:185/55R16(R)

TOYOTA ヤリス

価格:150万1000〜456万円

前席優先のスポーツコンパクト。ガソリン車でも走りに不満なし
 さすがに1ℓガソリン車は力不足だが、1.5ℓガソリン車は低中回転域からトルクが盛り上がる特性で力強い。フットワークは高速安定性と操舵追従を重視したタイプで、スタイリングのイメージに似合ったスポーティな雰囲気を味わえることが魅力。居住性に関しては、後席まわりが手狭なことがウイークポイント。座った際のヘッドルームが狭く、さらに視覚的圧迫感も強めだ。4名乗車の機会が多いユーザーにはオススメしにくい。

主要諸元(1.5G 2WD) ●全長×全幅×全高(mm):3950×1695×1495 ●ホイールベース(mm):2550 ●車両重量(kg):1000 ●パワーユニット:1490cc直列3気筒DOHC(120PS/14.8kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:21.0km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:175/70R17

HONDA フィット

価格:165万5500〜274万89000円

総合力に優れる優等生。RSは走り視点でも魅力的だ
 ファミリー&レジャーを意識した実用重視の設計は、現行モデルでも健在。後席の広さもさることながら、多彩なシートアレンジ機能を備えるなど、使い勝手や汎用性はトップと言える。ハイブリッドのe:HEV車は全域で力強い万能タイプでオススメだが、改良時に1.5ℓに変更されたガソリン車も加速性能は良好。中でも専用サスを採用するRSは、低速から高速まで安定した操縦特性を示す。走り視点でも魅力的な一台だ。

主要諸元(e:HEV RS 2WD) ●全長×全幅×全高(mm):4080×1695×1540 ●ホイールベース(mm):2530 ●車両重量(kg):1210 ●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC(106PS/13.0kg・m)+モーター(90kW/253Nm) ●トランスミッション:CV T ●W LTCモード総合燃費:17.9 km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R ) ●サスペンション: マクファーソン式(F)車軸式(R) ●タイヤ: 185/55R16

MAZDA マツダ2

価格:154万8800〜262万2400円

後席まわりは手狭だがメリハリのある走りは魅力大
ロングノーズと流麗さを求めたスタイリングのせいで、比較4モデルの中では最も長い全長ながら後席の余裕は少なめだ。走りは操る手応えを重視したもので、出来の良い6速ATと相まってメリハリの効いた走りが楽しめる。トルクフルなディーゼルターボがベストだが、ガソリン車でも力感は十分。路面状況によっては乗り心地の粗さを感じるシーンもあるが、高速ツーリングを重視する向きにはオススメできる一台だ。

主要諸元(15 BD 2WD) ●全長×全幅×全高(mm):4080×1695×1525 ●ホイールベース(mm):2570 ●車両重量(kg):1090 ●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC(110PS/14.5kg・m) ●トランスミッション:6速AT ●WLTCモード総合燃費:20.3km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:185/65R15

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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