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更新日:2018.10.24 / 掲載日:2018.04.27

【注目SUV徹底チェック】MAZDA CX-5

この記事の目次

●文:山本シンヤ/川島茂夫●写真:奥隅圭之/澤田和久/土屋幸一

デビューしてから約1年、3月に初の大幅改良を行ったCX-5。なんと!ガソリンエンジンを中心にパワートレーンの改良が行われた。その進化・深化をチェックする!

MAZDA CX-5
●発売日:2018年3月8日●価格帯:249万4800~352万6200円●販売店:マツダ全店●問い合わせ先:0120-386919

■主要諸元(25SLパッケージ・4WD)
●全長×全幅×全高(mm):4545×1840×1690●ホイールベース(mm):2700●車両重量(kg):1620●駆動方式:4WD●パワートレーン:2488cc直4DOHC(188PS/25.5kg・m)●トランスミッション:6AT●JC08モード燃費(km/L):14.2●燃料タンク容量(L):58[レギュラー]●最小回転半径(m):5.5●タイヤサイズ:225/55R19

1年前に手に入れたユーザーが驚く大深化
 昨年2月に発売した2代目CX‐5が初の商品改良を実施。1年目の改良はクレーム対応や装備/OP見直しなどが多いが、何とパワートレーンにメスが入った。
 ガソリンエンジンは2・5Lに「気筒休止技術」がプラスされている。機構自体はHLA(ハイドロリックラッシュアジャスター)を用いてバルブ開閉をキャンセル。気筒休止による振動や音の変動防止とアクセルレスポンス悪化防止の両立のために「振り子ダンパー」を採用する。それに伴って制御ロジックは変更されているが、ハード的にはこの2つの変更のみ。
 本来は気筒休止を確認する表示はないが、今回は体感試乗なので特別にアプリが搭載されていた。
 一般的な気筒休止は作動に様々な制限があるが、CX‐5のそれはどの領域でも頻繁に切り替わることにビックリ。おまけに、普通に乗っていたら切り替えのタイミングはハッキリ言って解らない。注意深くチェックすれば、切り替え時にステアリングに伝わる振動やエンジン音のわずかな変化を感じるが、ロードノイズや路面変化に打ち消されてしまうレベル。
 それ以外の部分は、従来の印象と基本的には変わらず。つまり、普通に乗って結果的に燃費がいい……というシステムなのだ。
 一方、2・2LディーゼルターボはCX‐8用の改良版を水平展開。具体的には可変ジオメトリーターボと急速多段燃焼を実現させる超高応答マルチホールピエゾインジェクターの採用で、175PS/42・8kg・mから190PS/45・9kg・mに出力がアップされている。
 従来よりもアクセル開度少なめでも力強さは感じられるが、CX‐5にはトゥーマッチ。アクセル操作に対する反応の良さや滑らかなトルクの盛り上がりなど、乗り易さ向上は納得だが、個人的には出力はそのままで実現してほしかった。
 その他、細かい部分はマツダコネクトの「自車位置演算ユニット」、「360度ビューモニター」、「車速感応式オートドアロック」、「4席オートパワーウインドウ」など使い勝手の向上がメインだ。
 マツダのエンジニアは「新技術は出し惜しみしない」と語る。その気持ちは賛成なのだが、ユーザー視点で見ると買い時が解らなくなってしまっているとも言える。しかし、乗る度に良くなっているのも事実である。

CX-8と兄弟対決

さらにレベルアップしたCX-5か3列を備える兄貴分か…
 最新のマツダ車が最良のマツダ車というのが注目すべき点。兄貴分のCX-8と購入の際の迷いのポイントをチェックしてみよう。

デザイン・質感

躍動的なCX-5に対し、落ち着いた大人な印象のCX-8 
 「魂動デザイン」のポイントのひとつがロングノーズ。CX-5とCX-8のフロントセクションは設計を共用しているため、相対的にCX-5のほうがロングノーズに見え、躍動的な印象を受ける。ただ、ロングキャビンのCX-8のほうが落ち着いた雰囲気がある。CX-8を基準にすればCX-5はキャビン後半が寸詰まった感じ。ワゴンと2BOX車のような印象の違いがあり、それは車格感にも影響する。どちらのスタイルを好むかは趣味の問題だが、車格感ではCX-8。もっとも、価格設定も1クラス上のレンジなので、コスパで勝るわけではない。

CX-5

最新のマツダデザインで設えられたインテリア。最新改良では、パワーウインドウスイッチにイルミネーションが付いた。

CX-8

似ているようで似ていないCX-8のインテリアデザイン。センターアームレスト付近の意匠や2列目シートはまったく別設計。

サイズ・パッケージング

CX-8は全長5m近い。都市部での取り回しでは当然CX-5が有利
 両車の車体寸法の差はCX-8が全長で355mm、ホイールベースで130mmも長い。最小回転半径は30cm大きく、取り回しサイズはCX-5よりもひと回り以上大きくなってしまう。また、CX-8の全長は5mに近く、このサイズでは都市部での用途が多いユーザーには厳しい。SUVの視点でみると最低地上高はCX-5が210mm、CX-8は200mm。最低地上高でも負けるが、ホイールベースとリヤオーバーハングの長さも踏破性ではハンデ。200mmの最低地上高を確保していれば一般的なアウトドアレジャーには十分だが、悪路での安心感はCX-5が勝る。

CX-5

  • CX-8と比べると取り回しがいいのは当然だ。ミドルクラスSUVとしては十分な広さの室内空間が確保されている。

CX-8

  • 慣れてしまえば、さほど大きくは感じないが、CX-5と乗り比べると確かに大きい。2列目はベンチ仕様とキャプテン仕様の2タイプ。

走り・パワーユニット

改良型ディーゼルを搭載したCX-5は1ランク上の動力性能
 CX-5ディーゼルのパワートレーンに加えられた改良を一言で言えばCX-8からの移植である。CX-8よりも200kgも軽量な車体に同じパワートレーンなら動力性能は1ランク上。物理的には正しいが、速さを誇張しないのが最近のマツダ流。踏み込みから過不足のないトルクを立ち上がらせ、無意識に巡航に移行する。そんなコントロール感覚が特徴であり、これはCX-8も同じ。もっと言えば、気筒休止という大改良を加えた2.5L車も同様である。高速の追い越しや登坂ではトルク等のパワースペックの違いや重量なりの余力の差も出るが、多少の違いの範疇。自然体で心地よく扱えるのは共通しているので、動力性能は比較検討でそれ程重視する必要はないだろう。

CX-5

2.0L/2.5Lガソリンエンジンを改良でブラッシュアップ。2.5Lは実用燃費向上などを狙った気筒休止技術も盛り込まれている。

注目のテクノロジー、マツダの「気筒休止」

システム技術的には1980年代からある気筒休止技術。一般的にはカム切替による気筒休止が多いが、マツダが採用したのはバルブ休止。休止や切替時のショックにも十分な対策がなされているのが特徴。実用燃費は10%程度改善するという。

CX-8

今回のCX-5の改良で搭載された改良型2.2Lディーゼルターボを先行して搭載していた。数々の改良でパワーが向上している。

ユーティリティ

4名乗車のみで考えても居心地や荷室はCX-8が上
 車体寸法のわりにキャビンスペースが狭い2車である。1クラス下相当とは言わないが、居住性や積載性を重視するなら上級クラスを選んだほうが無難だ。もちろん、両車のキャビンユーティリティでは2列と3列のシート仕様の違いが要点となるが、CX-8のサードシートは大人が長時間過ごすには厳しく、セカンドシートを前方にセットする必要もある。緊急用と割り切るべきだ。4名乗車ならCX-5と大差ないように思えるが、それも間違い。4名乗車での積載性でCX-8が勝るだけでなく、キャプテンシートは居心地や雰囲気が1クラス上なのだ。

CX-5

定員乗車時でもゴルフバッグ4つが入る505L(サブトランク含む)という容量を確保。後席は4:2:4分割格納が可能だ。

CX-8

全長が長いCX-8の方が積載性に優れる。定員乗車でも2個のゴルフバッグ積載が可能。床下に307mmもの深底サブトランクを用意。

先進安全装備

ほとんど同じ安全装備環境。CX-5は廉価グレードにも設定が欲しい
 歩行者対応AEBS、全車速型ACC、半自動操舵型LKA、BSM、RCTA、俯瞰表示全周モニター等々。安全&運転支援機能は設定もスペックも共通している。国産SUVでは最高水準にあり、街中から高速長距離まで対応している。ただし、装備設定のグレード展開が異なっている。CX-8ではベーシックのXDでもACCと全車速型AEBSをOP装着できるが、CX-5は各パワートレーンのベーシックグレードに設定がない。もっとも、両車ともに中心グレードとなるプロアクティブ以上ではほとんどが標準装着されるので大きな違いはない。

CX-5

大幅改良で最新の360度ビュー・モニターをメーカーOPで装着できるようになった。レーダークルーズコントロールも操作性が向上されている。

CX-8

マツダの安全装備は設定範囲が異なるものの、どのモデルでも同じというのが特徴だ。しかし、歩行者保護のアクティブボンネットはCX-8だけの装備。

結論

CX-8と兄弟対決
コスパを考えるならCX-5に軍配が上がる

 CX-8の魅力はセカンドキャプテンシート。ベンチシート仕様も設定されるが、キャプテン仕様だと後席の居心地も車内のプレミアム感も大きく高まる。4名乗車のレジャードライブでもCX-8がいい。しかし、ディーゼル車同士でも価格差は約50万円である。プレミアム感たっぷりの最上級CX-8はFF仕様でも約400万円。一方、高コスト化した改良型エンジンを導入しても実質価格据え置きとコスパで量るとCX-5が圧倒的。6名以上乗せなければならないとかプレミアムにこだわるなら別だが、マツダSUVの走りと雰囲気を楽しむならCX-5がベスト。




提供元:月刊自家用車



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グーネットマガジン編集部

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