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更新日:2025.05.08 / 掲載日:2025.05.07
ワイルドになった新型アウトバックに興味津々【九島辰也】

文●九島辰也 写真●スバル
トヨタRAV4が広げた国産オフローダーブームはまだまだ続いているようです。
コロナ禍からの流れでアウトドアが流行ったこととうまい具合に連携しました。少し背の高いモデルが増えたのはその影響でしょう。フィットクロスターやカローラクロスはそのトレンドを鑑みて企画されたと思われます。ランクル人気が高まっているのも同じことかと。そもそも人気の70系や300系ですが、ここまで生産が追いつかない状況になるとは、誰も予測しなかったのではないでしょうか。日本向けに制作された250系は比較的納車は順調と聞きますが、すごい人気です。
そんな中、6世代目となる新型スバル・フォレスターが発表されました。今回は“正統派SUV‘をコンセプトに掲げ開発されたそうです。フォレスターというと、カタチはSUVなのですが地上最低高はあまり取らず、スバルらしい走りをアピールしてきたイメージの強いクルマです。全高が1600mmを超えたのは3代目から。ただそれ以降も太いオフロードタイヤを履かせるような仕様ではないような気がします。どちらかというと、オンロードタイヤが似合うスタイリングです。

ですが、今回は違います。車高を少しリフトアップして肉厚のオフロードタイヤを履かせてもカッコよく見えそうな仕上がりになりました。スバルというブランドは見た目のオフロード色は薄いですから、新たな風が吹きそうです。
なんてことを考えていたら、新型フォレスター発表の翌日「新型アウトバックを世界初公開」といった見出しのニュースリリースを目にしました。2025ニューヨーク国際オートショーにてアンベールされたという内容です。そしてその写真を見て驚きました。スタイリングは見るからに正統派SUV。これまでのアウトバックとは程遠いモデルがそこに写っていたのです。

グランドワゴン、ランカスター、そしてアウトバックといった進化では、背の高いステーションワゴンのコンセプトを貫いてきたと思います。大人のステーションワゴンといった趣で、ファンを獲得してきました。どちらかというと既存のスバルファンではなく、そのスタイリングや用途に惚れ込んだ人が乗っている気がします。ボルボやアウディ、メルセデスにこうした背の高いステーションワゴンは存在しますが、そこと並んでも遜色のない仕上がりだと思います。
しかし新型では、フォレスター同様に様変わりしました。写真を見る限り正真正銘のSUVです。ただ、フェンダーのモール部分が前後のバンパーからのつながりを強調するように黒く塗られていたり、ステイのしっかりしたルーフレールを装着したりしています。そこはこれまでのアウトバックの印象を継承する部分でしょう。SUVの中でもワイルドな方向性であることがわかります。
さらに言えば、“Wilderness(ウィルダネス)”というよりオフローダー色を濃くしたグレードがあります。北米マーケットを強く意識したものでしょうが、このままでも日本で大ウケするかと。アウトドアはブームやトレンドを通り越して定着していますからね。ここを欲しているユーザーは少なくないはずです。
パワーソースは水平対向2.5リッター直噴式と2.4リッター直噴ターボがあります。どちらもガソリンユニットで、改良型X-MODEを搭載します。四駆ってことです。北米マーケットでの発売は2026年以降とアナウンスされています。先ほどの“Wilderness”を含め6グレード用意しているそうですからチカラが入っています。日本での発売は未定。とはいえ、SUV然とした新型フォレスターの販売が好調であれば、その可能性は高まるはず。フォレスターのアニキ分という位置付けで成立します。


こういうクルマが増えてくると個人的にはワクワクします。本格的なオフローダーの香りのするモデルはどこかに出かけたくなります。まさにエモーショナルとはこのこと。アメリカ先行で販売されれば、サードパーティのカスタムパーツが出まわりますから、日本でのカスタムは容易にできるでしょう。トヨタRAV4の時のように。そう考えると、一大旋風が起きるかも。そんな期待が膨らむアウトバック。フォレスターを含めこの2台からしばらく目が離せません。