ドライブ
更新日:2026.08.04 / 掲載日:2026.08.04
走って語ってストレス解消!仲間と楽しむ朝・夜ドライブのススメ【朝ドライブ実践編】

移動とドライブ、その違いはどこにあるのだろう。A地点からB地点へとクルマを走らせるのは同じ。違いがあるとすれば、乗っている人の意識にある。移動が時間の消費だとするならば、ドライブのそれは浪費なのだろうか。いやいや、大袈裟に言えば人生の豊かさそのものだ。大人になって時間の希少性を痛感してこそ、自分のため、趣味のために、生産性のないことに時間を割り当てる贅沢さが身に染みる。だからこそ、ドライブのための時間は、できる限りピュアなものであってほしい。渋滞や他車の身勝手な振る舞いはお呼びじゃない。うたかたの喜びを邪魔されないために、あえて世間の逆を行く、朝と夜のショートトリップ。大人のための爽快ドライブの提案。

あえて王道の昼ではなく、朝と夜ドライブを推奨する理由【真夏の休日を賢く、楽しく遊ぶために】

今年の厳しい暑さは9月上旬まで続くと見られていて、もはや対策は必須。そこで、暑さや混雑のピークからエスケープしようというのが本特集の主張だ。今回は自動車ジャーナリストの山田弘樹さんと朝ドライブを実践してみた。
日本の夏は、バイオレンスだ!
のっけから物騒なことを言ったけれど、ここ数年は猛暑の度合いが、より激しさを増しているのを、空冷ポルシェオーナーとしては肌で感じている。愛機993カレラには、一応エアコンというものが付いており、現代のクルマのような涼しさまでは期待できないのだけれど、そよそよと注ぐ冷風に心地よさを感じながら、「これなら夏だって乗れるよね!」と強がりを言えるくらいの快適性は持ち合わせていた。だから筆者は993カレラを普段のアシとして使い、仕事にだって“涼しい顔して”(やせ我慢含む)駆けつけるのが、ちょっとした自慢だったのだけれど……。
一昨年あたりから真夏だと、走行風が当たっているのに、油温が下がらなくなってきた。渋滞ではむしろグングン温度が上がって、乗るのが可哀想になってきたほどだ。
たとえ筆者のような31年落ちのヤングタイマーじゃなくても、輸入車に乗っていれば、同じ思いをしている方はけっこういらっしゃるはず。最近はエアコンの性能も上がって、UVカットガラスの標準化や樹脂・パッキン類の品質も向上してきているけれど、それでもフランス車オーナーの方々なんかは、この猛暑に苦労しているんじゃないかしらん? 筆者も奥さんがシトロエン DS3に乗っていたから、よ~くわかる。
だがしかし! せっかくの愛車を「夏場はなるべく乗らない」とか、「ガレージに収めっぱなし」というのはツマラナイ。ボクたちクルマ好きが輸入車に求めるのは、実用性と感動なのだ。移動は目的地に着くための手段ではなくて、そのものがなにより楽しい体験なのである!

ということで今回グーワールドは、せっかくの夏休みを賢く・楽しく遊ぶために、ふたつの提案をしてみた。それは、「朝ドライブ」と「夜ドライブ」のススメである。
朝ドライブは、文字どおりの早朝ドライブ。関東のスポーツカーオーナーたちの間だと昔から「朝ハコ」(朝の箱根)なんて呼ばれてる、早朝のワインディング・ドライブだ。そこには決まったルールはなくて、ただただ自分のペースで愛車との走りを楽しむだけ。そして峠のパーキングで休憩していると、同じような仲間がやってきて、最初は人見知りしながらなんとなく顔を合わせるうちに、友達になったりするアレだ。うん、こそばゆいけど、楽しそう!
筆者も若い頃は夜中に峠へ走りに行ったものだけれど、朝ドライブならはるかに健全(笑)。ひと汗かいたら美味しい朝食を食べて、混まないうちに帰路につくというわけである。
そして、もうちょっとムードを出して楽しめるのが「夜ドライブ」。
朝や昼間は人とクルマでごったがえす都内の目抜き通りや、曲がりくねった首都高速を、クルマがいない時間帯をねらってクルージングして、愛車との時間や、恋人や友達との会話を楽しむ。休日なら朝まで走り倒せば、日中はおうちで涼しくシエスタ(お昼寝)だ。
昼夜逆転の生活を再び日常に戻すのはちょっと大変かもしれないけれど、誰もいない道路を、心の赴くままにフワッと流すなんて、最高に贅沢でしょ?
だから今年の夏は、「朝ドラ・夜ドラ」。素朴で気軽で愉しいドライブが、愛車との時間をまたひとつ魅力的なものにしてくれるはずだ。
Profile:モータージャーナリスト 山田弘樹
ポルシェ 911に加えてAE86を所有、スポーツカーへのこだわりと愛情を持つ自動車ジャーナリスト。いずれもマニュアル車で、クルマとドライバーが対話できるというのが共通点。
なぜ“とっておきの時間は朝と夜”なのか
[1]いつの間にか猛暑が当たり前に

ここ数年、毎年のように観測史上最高を塗り替えるような猛暑、いや酷暑が続いている。暑さのピークは8月上旬までと予想されているが、降水量が例年よりも多い傾向があるため、蒸し暑さにも注意が必要だという。特に午後1時から午後3時は暑さのピークで、最高気温が記録されるのもこの時間帯。熱中症リスクも高く危険だ。
[2]予測不可能な遅延に自ら飛び込むことに

右図はお盆期間中の渋滞発生件数をグラフにしたもの。赤は下り線での、青は上り線での発生を示している。多くの車両が一斉に同一方向に動くため、苛烈な渋滞が発生するという仕組みだ。移動しやすい時間帯は渋滞に巻き込まれやすく、事故が発生するとさらに移動時間は読めなくなる。昼よりは朝か夜、休日よりは平日と逆張りがいい。
[3]丸一日ではない気軽さがうれしい

朝ドライブ、夜ドライブのメリットは、休日を有意義に使えるのもポイントが高い。たとえば同じドライブを昼間で行おうとすると、結局それで1日の予定は終わってしまう。朝ドライブ、夜ドライブであれば、家族や自分のために使える時間が、明るい時間帯で半日は残る計算になる。
【朝ドライブ実践編:走ってしゃべってストレス解消】趣味仲間と過ごす最高の時間

ということで、さっそく相棒の993カレラと、知り合いのボクスター(タイプ 987)で連れ立って、ワインディングで朝ドラしてみた。期せずしてポルシェオーナーのプチ・オフ会が開かれたみたいで、少しワクワクした。挨拶もそこそこに、年式を聞いたり、タイヤを見たり。お互い年季の入ったモデルだから、不具合を自慢しあったり。気になる所を質問しているだけで、これがけっこう楽しい。オーナーインタビューなんて、散々してきたのになぁ。

朝9時の料金所集合だったけど、この日はウィークデーということもあって、ワインディングは貸し切り状態。時折バイクが、気持ちよさそうに走り去るだけだった。ハイシーズンならもう少し早めに着いて、涼しいうちに走り出すのがいいだろう。
ツーリングしているわけではないから、走るのはお互いに自分のペースで。決め事もなく「では行ってきまーす」と走り出し、休んでは走りを繰り返すのが、なんとも気持ちいい。

筆者にとって箱根のワインディングは、ある意味仕事場だ。たくさんのクルマたちをここで走らせて動的性能や質感をたしかめてきたから、どの道もコーナーを覚えているほどで、目新しいことは何ひとつない。
それでもボクは、いまだに山道が大好きだ。仕事が終わったあとでも、ちょっと残ってひとっ走りしたりするのもめずらしくない。熱が入ると、ダンパーのセッティングをあれやこれやといじりまくってみたりもする。
心地よいカーブの連続や、路面のうねり。ブレーキをかけたときのタイヤが地面を捉える感じとか、そこからハンドルを切っていったときの手ごたえ。アクセルを踏んでエンジンサウンドが高まっていく様子に、クルマとの対話を色濃く感じるのだ。

ひと息ついたときに得られる静けさもたまらない。時間が止まったみたいな静寂のなかで聞く、鳥のさえずり。澄んだ空気を吸いながら、「かっこいいなぁ」と自分のクルマを眺めてニヤける。そろそろ洗車してやらないとなぁとか、次はどこをメンテしようか……なんて、ボーッと考える。じつはこんな他愛のないことが、日常だとなかなかできない。
ゆったり走って、休んでを繰り返して山を下りれば、ちょっと早いお昼ごはんだ。今回は仕事仲間の間でたまに行くお寿司屋さんで、アジ丼を食べて帰った。そこから自宅までの道のりは渋滞もなく、じつにストレスのないドライブができた。ホントは片付けなければいけない原稿があるのに、お昼寝しちゃったのはナイショだ。やっぱり大人のドライブは、朝に限ると思った次第である。

Time Schedule
7:00 自宅を出発
8:00 合流地点で仲間と集合朝ドライブの会開始

8:30 ドライブや会話を楽しむ
11:00 食事のできる場所へ移動

12:30 朝ドライブの会解散
13:30 帰宅
ポルシェ 911(タイプ993)

スポーツカー界のスーパースターで歴代モデルはそれぞれに熱心なファンがいる。タイプ993は、93年から98年まで生産された空冷エンジンを搭載する最後の世代としてカルト的な人気を集めている。
ポルシェ ボクスター(タイプ987)

ドライビングの楽しさをオープンエアとともに味わえるのがボクスター。タイプ987は、04年から12年まで生産された2代目で、911でいうタイプ997と同世代。その走りは今でもまったく色褪せることがない。
文●山田弘樹 写真●ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2026年9月号「あえて王道の昼ではなく、朝と夜ドライブを推奨する理由【真夏の休日を賢く、楽しく遊ぶために】」記事の内容です)