カーライフ
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.02.10
永福ランプのマニアック車パトロール隊 〜トヨタ iQ〜
【今回のマニアック車】トヨタ iQ

「後席が狭すぎたから!」
地味な駐車場にトヨタのiQが止まっていて、地味ながらIQ(知能指数)が高そうに見えた。
iQは、トヨタの販売力をもってしても販売不振にあえいだクルマだが、見るたびにそのフォルムにハッとする。猛烈に短いボディがなんだかヤケにカッコいいし、頭がよさそうに見えるのだ。
iQは、メルセデスとスマートが開発した2人乗りマイクロカー「スマート・フォーツー」の対抗馬として生まれたが、違いを出すためか、駆動方式はFF。そしてリアシートを持つ4人乗りだった。
ただしそのリアシートは、冗談としか思えない狭さだった。なにしろ足が入らないから(本当に)、横向きに体育座りするしかない。
トヨタは「大人3人と子ども1人の3+1シーター」と言っていたが、大人3人乗ったら子ども1人はどこに座ればいいのか? 体育座りした大人の膝の上だろうか。それとも亀の親子みたいに、丸まった大人の背中の上だろうか。試していないのでわからないが、どう考えても無理のような気がする。
iQというクルマは、あれを「リアシートである」と言い張った点だけはいまだに解せないが、ボディや足まわりは上級モデル並みにしっかり作り込まれ、乗り味はまるでレクサスのようだった。大トヨタは、こういう失敗作をたまに出すからこそ、大トヨタでいられるのではないだろうか(誉め言葉)。
一方、このiQをベースに作られたアストンマーティン・シグネットのほうは、本当にただの大失敗に終わった。
アストンマーティンが自社のCO2排出量の“薄め液”としてリリースしたとも言われたが、メカニズムはiQそのままなのに475万円という目ン玉が飛び出るような価格(iQの約3倍)で、超高級車である本家アストンマーティンよりはるかにレアで終わったのには涙が出た。まさにマニアックカー。
経歴
2008年 超効率パッケージで誕生
「従来のサイズの概念を打破する」超小型ボディながら高品質なモデルとして誕生。世界初のリアウインドウカーテンシールドエアバッグを採用していた。
2009年 バリエーション拡大
発売当初からの1.0ℓエンジンに加えて、1.3ℓエンジン搭載グレードを追加した。またこの年、アストンマーティン社にOEM供給する旨を発表している。
2010年 6速MTモデルを新設定
「お洒落なスポーツパッケージ」と銘打った新グレード「→(ゴー)」を追加。さらに、走りの楽しさを追求して6速MTを採用した「130G MT→(ゴー)」も設定された。
2012年 一部改良で商品性向上
1.3ℓエンジンのCVT搭載車に、MT感覚のシフトチェンジを楽しめるシーケンシャルシフトを採用。内装にはピアノブラック塗装が施された。
2016年 生産終了となる
2014年に特別仕様車「130G“レザーパッケージ・グランブルー”」を発売するなど、販売促進を続けていたが、2016年に生産終了。後継車となるモデルはなかった。
マニアック指数 70点

グーネット掲載車価格帯 9万〜200万円

自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2022年3月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2022年1月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。