カーライフ
更新日:2022.03.25 / 掲載日:2021.11.10
永福ランプのマニアック車パトロール隊 〜三菱 コルトプラス〜
【今回のマニアック車】三菱 コルトプラス

「そんなにいいかなぁ?」
近所で踏み切り待ちをしていたら、目の前にちょっと特別なクルマが止まっていた。
「おおっ! コルトプラスじゃないかあっ!」
04年に登場したコルトプラスは、三菱のコンパクトハッチ「コルト」の後部を30㎝伸ばして、ステーションワゴン風にしたクルマだ。コルトもあまり売れなかったが、コルトプラスはさらに売れなかったから、現在は相当めずらしくなっている。
といっても、特に印象に残る部分もないし、一般的には「特別なクルマ」ではない。しかし私にとっては、特別なクルマなのだ。
私は20年ほど前から12年間にわたり、日産の元チーフデザイナー・前澤義雄氏(故人)との対談の連載を持っていた。前澤氏はフェアレディZ(Z32型)や初代プリメーラなどのチーフデザイナーを務めた方で、自動車デザインの専門家だが、視点があまりにも専門的すぎるのか、それとも芸術家的にブッ飛んでいるのか、私にはまったく理解できないことを、かなりの頻度でおっしゃった。
たとえばコルトプラスが登場したときは、このように絶賛されたのである。
「コルトプラスは、伸びやかなバランスを見せる優れたプロポーションと上質な造形で、高い車格を感じさせる、久しぶりのいい仕事だ」
ええ〜〜〜〜〜っ!?
いや、決して悪くはないですよ。でも、このデザインのどこがそれほどいいのか、私にはいまだにわからない。だから私は、コルトプラスを見るたびに前澤氏の絶賛を思い出して、つい凝視してしまうのである。
そんな、私にとってのみ特別なクルマ・コルトプラスは、9年前に生産が終了している。グーネットを検索すると、流通台数は50台(執筆時点)。中心価格帯は30万円くらいだ。
ちなみに前澤氏が絶賛したのはコルトプラスだけで、コルトは特に褒めていなかった。どこがそんなに違うのか、それもいまだにわからない。
経歴
2004年 コルトのMC時に登場
コンパクトモデル・コルトのマイナーチェンジに合わせて、リアのオーバーハングを約300㎜延長したワゴンバージョンとして誕生した。
2006年 一部改良、出力向上
ベースモデルが毎年改良されるなか、スポーツグレード「RALLIART」に搭載される1.5ℓMIVECターボの出力も向上された。
2008年 RALLIART廃止
発売から4年が経過し、グレードが統廃合される。一部モデルの燃費性能が向上された一方で、「RALLIART」は廃止に。
2011年 一部改良、新色追加
最後の一部改良が行われる。さらに現行型RVRの登場時に好評だった斬新なボディカラー「カワセミブルーメタリック」が追加された。
2012年 国内販売終了
コルトがミラージュに跡を譲り、生産終了になるのにともない、コルトプラスも同年で生産、販売を終了。台湾では販売され続けた。
マニアック指数 30点

グーネット掲載車価格帯 9万〜68万円

自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年12月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年10月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。