カーライフ
更新日:2021.06.10 / 掲載日:2021.06.10
【グー連載コラム】永福ランプのマニアック車パトロール隊(2021年6月)
【今回のマニアック車】 トヨタ プログレ

バックの美しいバラとレースのシートカバーが泣かせる。そういえば父のプログレにも、レースのシートカバーが付いていた……ような気がする。うろ覚えだが。まさに昭和の美徳!
亡父最後の愛車だから!!
近所ですばらしいプログレに出会った。ボディは新車のように美しく、庭のバラとステキなハーモニーを奏でている。しかもレースのシートカバー付き! それだけで涙が出る。
プログレは98年に登場した、トヨタの「小さな高級車」だ。クラウンなど国産高級セダンのボディサイズが拡大を続け、すべて3ナンバーになってしまったため、あえて5ナンバーサイズに収めることにこだわって開発された、良心的なセダンである。やはり5ナンバーサイズでレースのシートカバーを付けたフォーマルなセダンこそ、昭和のニッポンの高級車像そのもの! プログレはそのラストを飾ったといえる。
じつはプログレは、我が亡父最後の愛車でもあった。人生で通算3台ポルシェに乗り、3台ソアラを乗り継いだ父が、最後にたどり着いた桃源郷がプログレだった。
当時プログレは「鎌倉クラウン」とも呼ばれたが、それは扱いやすい5ナンバーサイズが、道の狭い鎌倉の住宅地にマッチしたから。鎌倉に限らず、欲望が縮小して「足るを知る」境地に達したご老人に、密かに人気となった。
そんなプログレの相場がどうなっているかというと、順調に下落している。グーネットを検索すると、現在の流通台数は58台、平均価格は40万円ほどだ。走行距離も少なめで、なかには20年間で4000kmしか走っていないような個体もあった。いったいどういう使われ方をしていたのだろう。鎌倉のお金持ちがお買いになったものの、その後しばらくして病に倒れ、ずっとガレージでほぼ休眠状態にあったりしたのだろうか? しんみり。
発表当時は、胴長短足なシルエットや、オッサンっぽい乗り味に辟易した覚えがあるが、そんな私も今や還暦間近。今こそ安くプログレを手に入れて、昭和の美徳を満喫してみたい……気持ちが湧かないでもない。ほんの少しだけ。
経歴
1998年 「小さな高級車」誕生
ありそうでなかったコンセプト「小さな高級車」に沿って、小さなボディに広い室内スペースと高級感を盛り込んだ。エンジンは2.5Lと3.0Lの2種類。
2000年 内装素材の追加
従来より設定されていた濃い色合いで重厚感のある素材「ウォールナット」の本木目パネルに加え、オプションで銘木「サペリマホガニー」も選べるように。
2001年 エンジンを直噴化
エクステリアに小変更が加えられ、高級感が高められた。エンジンは2機種とも直噴化され、FRグレードには5速ATが組み合わせられるようなった。
2005年 一部改良で装備を充実
モデルライフ最後の一部改良が施される。全グレードにDVDボイスナビなどを標準搭載し快適性を向上、クルーズコントロールを2.5Lモデルにも設定。
2007年 9年間の販売が終了
生産終了、約9年の販売にピリオドが打たれることになった。モデルライフ途中で、デザインの方向性を変えた兄弟車としてブレビスも誕生している。
マニアック指数 30点

グーネット掲載車価格帯 9万から75万円
発表当時からカーマニアの評価は高かったが、実際に買ったカーマニアはほぼ皆無。マニアから最も遠い、ご老人が好んで乗ったクルマだった。現在も「いいクルマだった」とは言われているが、マニアが買うことはないので、相場はこなれている。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年7月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年5月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。