車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.10.18 / 掲載日:2012.06.28
【徹底紹介】フォード エクスプローラー

デビューからおよそ20年、600万台を売ったナンバーワンSUVの復権か。
ラダーフレームからモノコックへと大胆にボディ構造を変えたエクスプローラー。
好調な販売を見せる新型SUVからは、並々ならぬ意気込みが感じられる!
帝国の逆襲なるか!アメリカンSUVの変身鮮やか

ブロンコIIから発展したエクスプローラーは、長らくフォードの稼ぎ頭として気を吐き、本国ではコンスタントに年間40万台以上(!)のセールスを記録していた。だが、05年投入の4代目の時代に陰りが見え始め、徐々に勢いを失っていった。
そこで再生のメスが入れられたわけだが、5代目の変身はあまりにもドラスティック!
モノコックボディの採用は想定していたが、エンジン&駆動レイアウトをFRベースから横置きFFベースに大転換したのは正直言って想定外。同時にスタイルも、伝統のSUVらしいものから、現代的なクロスオーバールックへと鮮やかな変身を遂げた。

あまりに大胆な方針転換に、戸惑ったファンも少なくはないだろう。でも、新型の販売は本国だけでなく日本でも好調で、フォードの読みが正しかったことを証明している。
そんな新型エクスプローラーは、本国ではミッドサイズSUVに属するが、全高とホイールベースを除くボディサイズは先代よりも成長。全長5020×全幅2000×全高1805mmの3サイズを持つ、堂々としたSUVに仕上がっている。自慢にするのは、押し出し感あるルックスと、広さと使い勝手を進化させた3列7人乗りのキャビンだ。
ちなみに、FFベース化に伴って心臓も一新された。先代は4L V6&4.6L V8の構成だったが、新型が積むのは新世代の3.5L V6で、時代に合わせたダウンサイジングを敢行。さらに直噴ターボを採用する2L直4のエコブーストを追加したのだから、まさに2度ビックリだ。
新型エクスプローラーが強くアピールするのは、フォードの本気とアメリカ車の大変革。アメリカンSUVの王者は見事な復権を果たした。
写真●佐藤亮太 文●森野恭行
お問い合わせ●フォードお客様相談室 TEL:0120-125-175
Detail
フォード エクスプローラー リミテッド(6速AT)
全長×全幅×全高 | 5020×2000×1805mm |
---|---|
ホイールベース | 2860mm |
トレッド前/後 | 1710/1720mm |
車両重量 | 2170kg |
エンジン | V6DOHCターボ |
総排気量 | 3495cc |
最高出力 | 294ps/6500rpm |
最大トルク | 35.2kg m/4000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/60R18 |
新車価格
エクスプローラー リミテッド | 535万円 |
---|---|
エクスプローラー XLT | 443万円 |
エクスプローラー XLT エコブースト | 443万円 |
HISTORY
2011.05 | 新型エクスプローラー発売 ボディ構造をこれまでのボディ・オン・フレームからより乗用車的なモノコックとし、V8エンジンをV6エンジンに切り替えるなど、過去最大級の改良が施された。 |
---|---|
2012.01 | XLTエコブースト追加 2L直4の直噴ターボエンジンを搭載した低燃費グレードXLTエコブーストを設定。V6モデルを凌ぐ大トルクと先代V6比で約25%低減した優れた燃費性能を誇る。 |
2012.04 | 一部改良 助手席ニーエアバッグ(全グレード)や助手席6wayパワーシート、死角警告システムBLIS(リミテッド)、ステアリングヒーター(リミテッド)などが装備された。 |
欧州勢に挑める落ち着いた大人の室内空間
ビッグボディと、FFベースらしいキャブフォワードフォルムを組み合わせた新型エクスプローラーの居住空間は、広大の表現がピッタリ。上下動が穏やかな重量級SUVらしい落ち着いた乗り心地や、高い静粛性と相まって、快適かつ安心できるクルージングを提供してくれる。
シート配列は2+3+2の7人乗り。3列目の乗降性や乗車姿勢に少々の難はあるものの、十分実用になる3列キャビンを有する。ただし2列目にスライド機構はなく、リクライニングの角度も限定されるため、日本のミニバンのようなシートアレンジの多様性は持ち合わせていない。とはいえ、2列目の広さや掛け心地は満足できるものだから、SUVとしてはなんら不満のないデキだ。
また、クオリティの向上も新型の見どころ。演出のスポーティさやハイテク装備の充実も、これまでのエクスプローラーにはなかった特徴といえる。コックピットに座ると、エクスプローラーがいろいろな面で大きく進化したことを実感する。
リミテッドとXLTエコブーストは本革シート、助手席パワーシート、前席シートヒーターが標準で、リミテッドには運転席シートメモリー、12スピーカーオーディオ、ウッド調トリムアクセントも備わるのだから、上級指向のユーザーも満足できるはずだ。ちなみに、リミテッドはカラードフロントグリルを採用し、ルックス面でも差別化されている。
モダンかつスポーティになったデザインと、大幅に向上した質感が注目のポイント。メーターの左右に4.2インチ液晶モニター、センターコンソールに8インチタッチスクリーンを配置するなど、ハイテク度も目を見張るレベルだ。

床下収納のサードシートと、6対4分割可倒式のセカンドシートを採用。荷室容量はフル乗車時でも595Lと大きく、なんと最大で2285Lまで拡大できる。
オーディオ、エアコン、ハンズフリーフォンの表示&操作に加えて、リヤビューカメラの機能も備えるタッチスクリーン。惜しいのはカーナビ機能に対応していないことだ。
シフトセレクター手前に、多機能を誇るインテリジェント4WDの操作ダイヤルを配置する。
上級のリミテッドはパワーリフトゲートや3列目パワーフォールディング機構、デュアルパネルサンルーフを標準で装備する。
エコな直4と上質なV6光る個性とポテンシャル
2L直4直噴ターボのウリは充実の実用トルクと高効率。モード燃費はいまいちだが、穏やかな走りでは想像以上の燃費を稼ぎ出す。そして3.5L V6は、中高回転域のパワー感が象徴するスポーティな味わいが魅力。V6用の6速ATはシーケンシャルシフトにも対応し、スポーツ走行も楽しめる演出だ。
で、V6モデルが採用するインテリジェント4WDも注目株。電制カップリングを核とするオンデマンド式だが、オフロード走行もさらりとこなすあなどれない能力を持つ。状況に適した走行モードをセレクトするダイヤルも使いやすく、完成度は高い。副変速機やデフロックは持たないが、十分頼りになる。
2トンを超す巨体を持つアメリカンSUVの心臓が、たった1998ccの4気筒などということは、少し前ならありえないこと。でも、直噴+ターボ技術は優秀で、243馬力のパワーと、3.5L V6を凌ぐ37.3kg mのトルクを生み出す。圧縮比を9.3と低めに設定してレギュラーガソリンを使えるようにしている点も、経済性の面で歓迎できる。
安定感のある足さばきで走りを誇れるSUVになった
新設計フレームと4輪独立サスを採用した3代目で、エクスプローラーはすでに、満足できるオンロードの操安性と乗り心地を身につけていた。でも、それは「本格SUVとしては」の注釈を必要とするレベル。ところが新型は、乗用車としてみても「バランスがいい」と表現できる走りを実現している。
とくに驚くのはハンドリングの向上で、峠道のハイペース走行でもボディサイズ、重量、重心高のネガを意識させない一体感あるフットワークを披露する。接地性のいい足、自然なフィールの電動パワステ、剛性感の高いボディが光る点で、電制4WD採用のV6モデルは、より優れた走りのバランスを備える。高速時のスタビリティ、ハンドリングの正確性とも、エコブーストの上を行く実力だ。
でも、車重が100kg以上軽いFFのエコブーストには、身のこなしの軽やかさという魅力がある。太い中低速トルクも自慢で、V6モデルに匹敵する力強い加速感を提供してくれる。さらに、クルージングの余裕や静かさも、上級SUVに相応しいレベルにある。
より万人向けに成長した誇り高きSUVの進化形
1870mmから2000mmに拡大した全幅や、大きめになった最小回転半径は、日本ではネックとなる場面もある。だが、押し出し感の強いSUVを好むひとの目には、立派になった新型エクスプローラーはより魅力ある存在に映るはず。走り、快適性、質感の進化は目を見張るほどだから納得できる。先代同様に左ハンドルのみだが、そこがアメリカンSUVらしさでもある。
「4駆が必要」、「スポーティな走りを好む」という人にお薦めなのは、言うまでもなくV6モデル。だが、エコブーストの実力も高く、コストパフォーマンスや燃費を気にする人には積極的にお薦めしたい。ちなみに、本国では2013年モデルで「V6エコブースト」が追加される。その動向も気になるところだ。
中古車市場データ
中古車市場データ
新車販売は予想を上まわる好調を記録する新型エクスプローラーだが、中古車のボリュームが本格的に増すのはまだこれからだ。ただしどれも程度は良好なので、仕様と色が合えば!