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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.27

スズキNEWアルトは新・軽自動車ルネッサンス Renaissance

驚異の車重600kg台!

【本記事は2015年2月にベストカーに掲載された記事となります。】いやもうビックリよ! 年末の新型ムーヴに続き、今年ほど軽が根本から変わった年ってないんじゃないだろうか? 前代未聞の超原理主義ダイエットで驚異の車重600kg台を達成!モード燃費でハイブリッド車トヨタアクアに匹敵するガソリン最良37.0km/Lを叩きだした新型8代目アルトであーる。いかにそのダイエットがキツかった!? いや凄かったかの比較に、同じくダイハツ流ダイエットで35.2km/Lを達成した前軽自動車燃費チャンプことミライースと比べながらインプレしてみよう。

デザインからビックリ!

新型アルトにはマニュアルトランスミッションベースのAT車である5速AGS車「F」も設定。価格は84万7800円~

新型アルトにはマニュアルトランスミッションベースのAT車である5速AGS車「F」も設定。価格は84万7800円~

■デザインからビックリ!まず衝撃なのはえ~、何このニラみ顔? ってな横三角ヘッドライトだ。今風の流麗な台形とは違い、2代目アルトもこんな感じだったか? ってな古臭いとも取られかねないデザイン。寸法も3395×1475mmの全長全幅はそのままに、1520mm以上あった全高は1475mmへと低まり横幅と同一化。比べるとイースはセミトール系にちょっと欲をみせた1500mm近い無難フォルムで、チャレンジ度では少し落ちる。なによりスタイルでビックリなのはサイドのエグレ具合よ。特にリアサイドウィンドウ回りの骨太な造形やドア下のエグれは、これってVWアップの軽版? と言いたくなるほどの骨太さ。これこそが第一のキモで8代目アルトは、広さや走りで贅沢さを追わないだけに、実はカッコよさが命! だから好き嫌いがハッキリするニラみ目にしたし、軽とは思えないパワー系のサイドデザインにしてるのだ。

アルト:ブラック基調で、インパネにホワイト、シートに明るいグレーを使った内装。後席の広さは足元にけっこう余裕がある

アルト:ブラック基調で、インパネにホワイト、シートに明るいグレーを使った内装。後席の広さは足元にけっこう余裕がある

だが、凄いのはカッコよさと同時に広さもギリギリまで両立してること。実現できたのは「スズキ始まって以来かも?」とエンジニアも言うほど大革新した新型プラットフォーム。フロアのフレームの通し方を久々に一新。曲げ&捻り剛性を30%上げつつ数十kg軽量化。高張力鋼板の使用率を40%から46%、超高張力鋼板を5%から16%へと上げており、金をかけるべきところにはかけている。結果、エンジンルームは補機類の調整や集合一体型インマニの採用で極力縮め、ホイールベースを60mm増やして2460mmに。結果、前後シートの乗員距離は85mmも増えてリアシートは広々。イース比でいうと頭上は全高が低いぶん少し負けてるがヒザ回りの余裕では若干勝ってる。さらにスズキならではの削ぎ落としが見えたのはサイドだろう。外観サイドをエグってカッコよくしつつ、室内横も狭くするどころか左右カップルディスタンスを広げてるので、そのぶんドア内側はこれって昭和のアルト? と言いたくなるほど超フラット。リアドア内側にはカップホルダーすらない。インパネも同様スズキ流割り切りが見え隠れし、一見白と黒の2トーンカラーでポップだが、実は直線基調だし、パーツ点数は極端に少ない。質感も正直そこそこで、センターのオーディオユニットもオシャレに魅せつつ、液晶は極力小さく上手にお金を掛けてない。比べるとイースのほうが質感は若干上。リアシートの背もたれにしろアルトは表面がオシャレなパステル調で一見可愛いが、形状的に折り目も一切ないフラットな一体型でお金がかかってないし、イースのほうが多少は凝ってる。前ドア開閉時の質感にしろアルトのほうが明らかに軽いし、こういっちゃなんだがイースは意外に質感が高い。っていうかアルトのほうがより「乾いた雑巾を絞ってる」のがわかる。で、その安さをデザインと割り切りとでカバーしてるというか。

600kg台の軽量ボディは走りにも効いている!

軽量ボディで発進加速のよさが感じられたアルト。ただしミライースのほうが全体的に走りはスムーズ

軽量ボディで発進加速のよさが感じられたアルト。ただしミライースのほうが全体的に走りはスムーズ

■600kg台の軽量ボディは走りにも効いている!デザインと同じく、骨格にはしっかりお金をかけてるが、表面を味付けやデザインで上手にカバーしているのが走りだ。エンジンは基本的には従来どおりの660cc直3のR06A型。さらにグレードにより充電エコシステムのエネチャージが付く。ただし、エキマニ一体型シリンダーヘッドや触媒ケースの簡素化でサイズを小さくし、なによりピストン形状の改良や高タンブル吸気ポートの採用により圧縮比を11.2から11.5に上げ、高効率EGRシステムも導入して熱効率を0.6%アップ。CVTもより変速比幅を広げて高いギア比が使えるようにした。だがそれだけじゃモード燃費37.0km/Lはムリで、最大のキモは軽量化だ。前述のボディだけでなく、ドア、外内装、シート、足回り、エンジンそれぞれで数kgずつ軽量化。合計60kgも落とし、最もシンプル装備のアルトバンはなんと610kg(Xグレードは650kg)! 軽トラよりも軽いトンでもスペック。で、これが走りに圧倒的に効いてて、アルトも見事にそれを活かしてる。まずビックリなのは発進のよさで、ピークパワー&トルクは現行アルトエコと新型のL、S、Xグレードで比べると52ps/6.4kgmとまったく変わってないのに明らかにグイっと出る。いっぽう、エンジン音は加速時に割と気になるし、CVTがギア比高めでキープする特性なのか、回転数低めでエンジンを使うことが多い。よって低速域で、グッと踏んでもすっと立ち上がらないことがあり、その点ミライースは、回転がすっと立ち上がるし、ノイズも少ない。根本的な加速力にはそれほど差がなさそうだが、イースのほうがよりスムーズに走れる。そしてエンジンをダイレクトに楽しみたい人に開発されたAGSことマニュアル5速ベースのセミATだが、ギクシャクは予想以上に気にならなかったが1速が低すぎて回り過ぎちゃうのでMTモードのが面白かった。

普通車と張り合おうとしていない、軽らしい割り切り!

フロント側同様にリアスタイルも流麗なミライースに対して、アルトは力強くて個性的な印象

フロント側同様にリアスタイルも流麗なミライースに対して、アルトは力強くて個性的な印象

■普通車と張り合おうとしていない、軽らしい割り切り!乗り心地に関しては、千葉の舞浜周辺ではリアにトーションビーム式を入れた新型サスのアルトのほうが若干よかった気もするが、根本的にはどっこいどっこい。それより気になったのはステアリングフィールで、ボディ剛性が上がり、可変ギアレシオシステムを入れたのに、甘さが若干目立つ。軽くなったぶん、曲がり始めたらグイグイ曲がるのだが、切り始めは曖昧。ここのところは現状ミライースの勝ちで、新型アルトの熟成待ちってことなのかもしれない。だが、走りにしろ、質感にしろ、新型アルトで根本的に感じたのは、昔懐かしいほどの軽らしい割り切りだ。ドア内張りの薄さといい、エンジン音といい、まったく普通車と張り合おうとしてない。逆に軽にしかできない「小さなカッコよさ」やハイテク安全、つまりレーダーブレーキサポートの全グレード設定や、横滑り防止装置の乗用車の標準装備化に新時代の選択と集中があり、スズキの新たな“軽のオキテ”を見た感じ。大胆割り切りではダイハツを超えたかもしれないですわ。

いち早く、新型アルトの実燃費をチェック!

アルト:燃費テストではアルトが28.8km/L、ミライースは26.8km/Lをマーク

アルト:燃費テストではアルトが28.8km/L、ミライースは26.8km/Lをマーク

■いち早く、新型アルトの実燃費をチェック!新型アルトの最大のトピックといえば、アクアと並ぶJC08モード37.0km/Lという日本一の低燃費性能。すると、気になるのは実燃費ということで、今回は試乗会という限られた時間のなかではあるものの、新型アルト、それとミライースの燃費をチェックした。燃費テストを行ったコースは、新型アルトの試乗会場となった東京ディズニーランド周辺。都内にも近い一般道ながら、信号が少ないため市街地よりもストップ&ゴーの回数が少なく、50km/h程度のスピードで流せるようなルートで、30分程度走行してチェックした。22.9kmの走行距離を2台同時に走らせた実燃費の結果は、アルトが28.8km/L、ミライースは26.8km/L。実燃費でもアルトはミライースを上回った。ちなみに、JC08モード燃費の達成率でも、アルトは77.8%、ミライース(JC08モード35.2km/L)は76.1%と、アルトはミライース以上の実燃費のよさをみせている。

アルトとミライースのスペックはここが違う!

■アルトとミライースのスペックはここが違う!そして、この新型アルトの低燃費性能のキモとなるのが徹底した軽量化。2車の車重を燃費テストをしたグレード同士で比較するとアルトXが650kg、ミライースX“SA”が730kg。80kgもの差がある。そのほか、この2車の主なスペックの違いを挙げると、燃料タンク容量はアルトのほうが小さく27Lで、ミライースが30L。アイドリングストップの停止速度はアルトが13km/h、ミライースが9km/hで、アルトのほうが早く停止する。なお、今回の新型アルトは、先代アルトエコでは採用していたリアランプなどのLEDは使用していない。消費電力が少ないLEDを使えばさらに燃費向上に貢献するが、アルトの開発者によるとLEDを使わなくても軽量化やパワートレーンの効率化によって37.0km/Lの燃費を達成できたためだという。それだけ、まだ伸びしろを残しているといえる軽量ボディの新型アルト。次の燃費目標は40km/Lか?

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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