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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.28
百花繚乱の超激戦クラス レクサスNXと最新プレミアムSUVの○と×
ターボとハイブリッドの二刀流のNX

クーペルックのハッチ形状、リアにもスピンドルがあしらわれるなどNXのリアは個性的
【本記事は2014年9月にベストカーに掲載された記事となります。】ターボとハイブリッドの二刀流のNXを西村直人氏が試乗し、ベストバイモデルを伝授!ターボとハイブリッドを比較すると64万円ハイブリッドが高価。どこがどう違うのか?最初にターボの技術的なトピックから。トヨタとしては7年ぶり(レクサスとしては初)のガソリンターボエンジン8AR-FTSにはさまざまな技術が搭載されている。直噴とポート噴射を使い分け燃費数値と優れたパワー特性を両立させるD4-ST、VVT-iのバルブ開閉タイミングをよりワイドに行う中間ロック機構が組み込まれたデュアルVVT-iW、それにより拡げられたカムシャフトの作動領域によって成立するアトキンソンサイクル、排気干渉を低減しターボラグを激減させて高効率化を図る4-2集合エキマニ一体型ヘッド&ツインスクロールターボ。このうち注目すべきは、量産型の乗用車エンジンとしては初となるアトキンソンサイクル+ターボ(+スーパーチャージャーはマツダ、日産がすでに市販化ずみ)と、世界初の4-2集合エキマニ一体型ヘッド&ツインスクロールターボ技術だ。
回転フィールの重々しさが皆無な走り

レクサスNX200t(428万~518万円)
さて、注目の走り。驚きはトルクの塊でありながら低中速を太らせた大トルク型エンジンにみられる回転フィールの重々しさが皆無なこと。おまけに約4000rpmから上の領域ではASCの力を借りずともエンジン音には力強さが増しアクセルを積極的に踏み続けたくなる。名声を博した3S-GTEとは全域の特性までがまるで違う。しかもこの美点は日常の走行シーンでいつでも体感できる。アクセル開度にして30~50%の多用する領域ではエキマニ一体化&ツインスクロールターボの効果もあり、踏み込み量に応じてジワリとトルクが湧き出てくる。文字どおりのダウンサイジング風味はベンツC200やE250に搭載するダイムラーM274やレヴォーグや新型WRXS4などに搭載されるスバルFA20を抜いて8AR-FTSがトップに躍り出た。ただカタログ燃費数値はアイドリングストップ機構を用いても6速ATということもあり12.8km/Lに留まる。しかし、トヨタ&レクサス陣営のエンジンは実用燃費数値が高いため、このあたりは後日しっかりと燃費テストで検証してみたい。
元気のよさがあるハイブリッド

レクサスNX300h(492万~582万円)
いっぽうのハイブリッド。NX300hにはハリアーハイブリッドにはないFFモデルが用意されている。車両重量はAWDのボトムグレード同士で比較すると装備に違いがあるためNXが70kg重い。よってカタログ上の燃費数値はNXが全般的に劣るもののFFボトムグレード(NX300h=1760kg、21.0km/L)と、ハリアーのAWDボトムグレード(グランド=1750kg、21.8km/L)を見ればわかるとおり、FFという好条件が揃っていてもNXが若干だが劣っている。これには10kg重い、タイヤサイズの相違など複合的な要因が考えられるが、走りこんでみるとそれだけではないことがわかった。NXはタイヤがひと転がりした瞬間から、ハリアーハイブリッドとは元気のよさが違うのだ。具体的にはTHS-II特有のエンジン回転先行型加速フィールが弱まり、そのぶん、エンジンそのものの駆動力がダイレクトに路面に伝わる感覚が強い。そう実感したのは、バージョンLではなくFスポーツ(ともにAWD)。Fスポーツには標準で、バージョンLにはオプション装備として30段階の可変ショックアブソーバーNAVI・AI AVS」(ともにタイヤは225/60R18)が装着されていたが、さらにFスポーツには、前後サスにヤマハと共同開発を行ったパフォーマンスダンパーが装着されているため、路面の状況や車両の挙動をより素直に伝達する。これは決して不快ではなく、先のようなダイレクトフィールの向上にも一役買う。西村は以前、インプレッサS203(4段可変式ショックアブソーバーを装着し基準は2段目)オーナーだったが、パフォーマンスダンパーが付いた後継のS204(固定式でS203の2段目にセット)との差に愕然としたものだ。今回は(1)300h FスポーツAWD、(2)200t FスポーツAWD、(3)300h バージョンL、(4)200tバージョンLに試乗したが、個人的には(1)/(3)/(2)/(4)の順を購入候補としたい。魅惑のターボエンジンだが、NXよりも適したモデルがレクサス(トヨタ)にはあるはずだ。同エンジンはFR方式のプラットフォームにも搭載可能であることからも大いに期待したい。