中古車購入
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.01

プリウスα ようやく発進!!

異常な人気のプリウスα

トヨタの粥川主査は「あるタイミングで7人乗りにSグレードを展開する」と明言した

トヨタの粥川主査は「あるタイミングで7人乗りにSグレードを展開する」と明言した

【本記事は2011年6月にベストカーに掲載された記事となります。】

今年に入り車名別月間販売台数で奇数月はフィットがトップを奪い、偶数月はプリウスが取り返す、というデッドヒートを繰り広げている両車。奇しくも今春、両車とも派生モデルをラインアップに加え、販売台数の底上げを狙うはずだったが、大震災が両車のスケジュールまで破壊してしまった。
大震災の影響は全自動車メーカーに及び、春に発売を予定していたニューカーのみならず、マイナーチェンジや追加グレードも軒並み延期され、震災から2カ月経過しても生産率は50~60%といわれている。そうしたなか、プリウスαがこの時期に発売できるのは異例だろう。
この企画のタイトルで「ようやく発売」としているけれど、ここでの「ようやく」は、「ゆっくり」というマイナスの意味でではなく、「待ち望んでいた事柄が実現する」意味でのプラスのタイトルである。
発表会でトヨタの首脳は、4月末時点でのプリウスαの事前予約が2万5000台あることを明らかにした。まだ発表もされていないクルマとしては異常な人気だが、実際に発売されてからはさらに人気が加速、バックオーダーは3万台を軽く超えた。まさに、多くのファンが待ち望んでいる状態だ。

鈴木直也の評価

5人乗りと7人乗りはボディが共通で外観は同じ。

5人乗りと7人乗りはボディが共通で外観は同じ。

■鈴木直也の評価
前評判の高さはわかったが、プリウスαは日本のクルマの歴史を塗り替えるエポックメイキングになりえるのか。そこまでいかなくても、車高の低いミニバン市場を一気に回復させる起爆剤になりうるのか。
鈴木直也氏はこう分析する。「プリウスαをひと言で表現するなら『面白くないけど隙はない』でしょう。さすがトヨタ、マーケティング戦略に基づいて理詰めで作ったクルマです。
プリウスのパワートレーンは今になっても凄い技術で、時代を築いたクルマといえる。でもプリウスαは、プリウスのボディを変えて、少し大きくしただけ。新しい技術はありません。バックオーダーを抱えているようだけど、普通のプリウスにあきた人が多いからでしょう。
確かにニーズはあるでしょう。世の中には、家族構成とか仕事の事情などでミニバンしか選べない人も大勢います。しかも、スモールミニバンというカテゴリーでプリウスαはブッチギリの好燃費。今までプリウスに乗りたくても事情が許さない、という人がその燃費を享受できるんです。
7人乗りのミニバンというパッケージングをハイブリッドで実現するため、リチウムイオン電池を初めて量産化しました。月産1000台というレベルですが、評価すべき点でしょう」

ミニバントップの燃費

2780mmのホイールベースはノーマルより80mm拡大

2780mmのホイールベースはノーマルより80mm拡大

■ミニバントップの燃費
プリウスαは、車高の低い小型のミニバンに分類される。このカテゴリーは、このところ市場規模が縮小基調にある。あえてこの時期に、プリウスのバリエーションを増やす狙いはどこにあるのか。プリウスαの粥川宏主査はこう説明する。
「ノーマルのプリウスは、50~60歳のオーナーが中心でしたので、裾野を広げファミリー層にもプリウスのすばらしさを味わっていただきたいと思い、プリウスαを開発しました。大型のミニバンほど大きくない、ちょうどいいサイズの7人乗りで、燃費はワゴン、ミニバンで一番いいはずです」
すでにベストカーでも紹介しているように、プリウスαには2列シート仕様の5人乗りと3列シート仕様の7人乗りがラインアップされ、5人乗りはニッケル水素電池、7人乗りはリチウムイオン電池を搭載する。
燃費は、5人乗りも7人乗りも全グレード同じ。10・15モード燃費で31.0km/L、JC08モードで26.2km/Lを実現している。粥川主査は「一番いいはず」と控えめな表現だったが、確かにワゴン、ミニバンではトップの燃費である。
もちろん、ノーマルのプリウスのSとGグレードの10・15モードは35.5km/Lで、4.5km/Lの差があるが、「車重がノーマルプリウス1350kgに対し、プリウスα1480kgと130kgと増えたこと、さらに空気抵抗が燃費低下の要因」(粥川主査)だ。車重増に合わせ、ギア比もノーマルプリウスとは変えているそうだ。
ちなみに、ボディも5人乗りと7人乗りは共通で、サイズはまったく同じ。エンブレムにも違いはなく、外から見ると見分けはつかない。

インテリアの質感

インテリアはプリウスより上質!! プリウスユーザーの意見を取り入れて一部の材質を変更するなどで質感を高めたインテリア。さらに遮音材のレベルアップなど細かい改良を積みあげている

インテリアはプリウスより上質!! プリウスユーザーの意見を取り入れて一部の材質を変更するなどで質感を高めたインテリア。さらに遮音材のレベルアップなど細かい改良を積みあげている

■インテリアの質感
プリウスαのパワートレーンは、プリウスと共通。搭載バッテリーの違いはあるが、プリウスもプリウスαの5人乗りも7人乗りもスペック上の動力性能はまったく同一だ。
では、7人乗りに高価なリチウムイオンを採用した狙いは何か。言うまでもなく、バッテリーの小型化。1列目のシート下にバッテリーを設置することで室内空間を確保したのだ。5人乗りはリアシートの後方下にバッテリーを搭載する。「7人乗りのマスト要件は、助手席190cm、2列目180cm、3列目170cmの人がしっかり座れること」((粥川主査)
実際、身長180cmの編集部Oが座ってみたのが上の写真。助手席、2列目ともヘッドクリアランスこぶし一つぶんの位置にシートを合わせると、3列目はかなり狭いのがわかる。
プリウスαは、ノーマルプリウスに比べインテリアの質感アップも果たしている。「プリウスユーザーの方から、コクピットの質感アップと静粛性を向上してほしいという意見がありました。そこで、ソフトパッドを使用し、また遮音材の見直しを進めています」(粥川主査)。さらに、足回りのセッティング変更などで乗り心地もレベルアップしている。
ライバルのフィットシャトルは、大震災の影響で発売が延期になったまま。6月にずれ込むともいわれている。プリウスとフィット派生車対決、プリウスが機先を制したようだ。

ウィッシュとストリームが直接のライバル

ライバル対決 スモールミニバンの王者ウィッシュ 80万円高のエスティマシリーズのエスティマHVも気になる
車高の低いミニバンのカテゴリーで、ウィッシュとストリームが直接のライバルになる。7人乗りのプリウスαGは300万円。ウィッシュで上級に位置する2.0Gは74万円安い226万円。ストリーム2.0RSZは70万円安い230万円だ。
この3車の3列目は、どれも補助席レベルだが、順列をつければウィッシュが最も快適。1~3列目のヒップポイント間隔はプリウスαを50mm上回り、1/2列目の足元空間を同じにして測ると、3列目の足元が少し広い。2位はプリウスα。3列目はストリームと同等に窮屈だが、1/2列目は快適だ。ストリームは2列目の座面が短く3位になる。
装備はウィッシュ2.0Gにも横滑り防止装置、サイド&カーテンエアバッグ、IRカットガラス、クルーズコントロールなどが付き、プリウスαと同等。ストリームは横滑り防止装置がオプション設定で、サイド&カーテンエアバッグはGiのみ。その半面、エアロパーツが付く。動力性能はプリウスαが2.4L並みで最も高い。
以上の点を勘案すると、「燃費のいいハイブリッド車」としての対価は55万円くらい。この金額を燃費差で埋めるのに要する期間は、1年間に1万kmを走って約9年だ。1年に1.5万km以上を走るなら、選ぶ余地が生じる。
いっぽう、エスティマハイブリッドXの価格は、プリウスαより76万円高い376万円。後輪をモーターで駆動する4WDが備わり、この機能で実質価格差は50万円に縮まる。左側の電動スライドドア、100V/1500Wの電力供給機能も装着され、サイド&カーテンエアバッグはオプションながら、装備差を補正すると広い車内に支払う対価は約30万円だ。
10・15モード燃費がプリウスαを10km/L下まわるのは気になるが、ミニバンの機能はだんぜん優れ、エスティマハイブリッドが買い得だ。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ