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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28

日産スカイラインをQ&Aで解き明かしていく!! これがズバリ真打ちなのか!?

追加モデルという位置付けながら、気合いの入ったモデル

ズラリと並んだスカイライン200GT-tの試乗車。直4、2Lターボエンジンに組み合わされるトランスミッションはダイムラー製の7速AT。JC08モード燃費は13.0~13.6km/Lとなる

ズラリと並んだスカイライン200GT-tの試乗車。直4、2Lターボエンジンに組み合わされるトランスミッションはダイムラー製の7速AT。JC08モード燃費は13.0~13.6km/Lとなる

【本記事は2014年7月にベストカーに掲載された記事となります。】5月26日に発表、5月28日より市販が開始された『スカイライン200GT-t』。V37スカイラインの追加モデルという位置付けながら、神奈川県横須賀市の追浜にある日産グランドライブ(もともと追浜のテストコースだった場所で試乗コースとして整備されている施設)で大々的に発表イベントを開催するなど、ずいぶんと気合いの入ったモデルである。

29年ぶり

ちなみに、直列4気筒搭載モデルに「GT」のネーミングを与えるのは、スカイライン57年、13代にわたる歴史において初めてのこと。6代目R30型の最強モデルとしてラインアップしたRS/RSターボは直列4気筒DOHCエンジン(FJ20型)を搭載していたため、スカイライン伝統の「GT」ではなく“レーシング・スポーツ”を意味する「RS」と名付けられたという経緯がある。今回の200GT-tはRSターボが消滅した’85年7月以来、29年ぶりにスカイラインに直列4気筒2LDOHCターボエンジンが搭載されたモデルとなる。

モデルの概要

エクステリアはテールランプ下の「200GT-t」のエンブレムが350GTハイブリッドとの違い。ホイールのデザインや色、ボディカラーなどに至るまで、その他の差異はいっさいないのがポイント。車重は1650~1680kgとなり、ハイブリッドの1760~1800kgに対し110~120kg軽くなる。価格は383万4000円からの設定

エクステリアはテールランプ下の「200GT-t」のエンブレムが350GTハイブリッドとの違い。ホイールのデザインや色、ボディカラーなどに至るまで、その他の差異はいっさいないのがポイント。車重は1650~1680kgとなり、ハイブリッドの1760~1800kgに対し110~120kg軽くなる。価格は383万4000円からの設定

このモデルの概要を説明すると以下のとおり。■V37スカイラインのバリエーションのひとつである■ダイムラーとのアライアンスにより開発された直列4気筒2Lターボエンジンを搭載■最高出力211ps/5500rpm、最大トルク35.7kgm/1250-3500rpmを発揮■JC08モード燃費=13.0~13.6km/L■トランスミッションはダイムラー製7速ATを搭載■車重はハイブリッドよりも100kg程度軽い1650~1680kg■4WDの設定はなくFRのみ■ダイレクト・アダプティブ・ステアリングは設定されず、秋以降オプション設定の予定■価格は383万4000~456万8400円ということになる。ひと言で言えばベンツ製の2L、直4ターボを搭載するV37スカイライン。ハイブリッドしかラインアップになかったV37スカイラインに、待望のバリエーションが加わった。待ちわびていた人も多かったのではなかろうか!? 350GTハイブリッドとの価格差はおおよそ80万円となり、最廉価モデルは400万円を切る383万4000円からという設定となっており、350GTハイブリッドよりもずいぶんと買いやすくなっている。さて、この注目の『スカイラインターボ』、さらに詳細に迫るべく、気になる部分、もっと知りたい部分をQ&Aで解き明かしていこう。

ベンツと同型式エンジンの違い

スカイライン200GT-tに搭載される直列4気筒2Lターボエンジン。最高出力211ps/5500rpm、最大トルク35.7kgm/1250-3500rpmというスペック。ベンツE250などに搭載されるエンジンはリーンバーンだが、こちらは通常燃焼を採用するのが違いである

スカイライン200GT-tに搭載される直列4気筒2Lターボエンジン。最高出力211ps/5500rpm、最大トルク35.7kgm/1250-3500rpmというスペック。ベンツE250などに搭載されるエンジンはリーンバーンだが、こちらは通常燃焼を採用するのが違いである

Q ベンツに搭載される同型式エンジンとは、どのような部分が違ってるの!?A エンジンブロックやピストン、コンロッドなどといった基本的なハードは共通ながら、当然、スカイラインに搭載するにあたり、さまざまなチューニングの変更(最適化)が実施されている。まずは長谷川聡CVE(チーフ・ビークル・エンジニア)に聞くと「端的に言えばスカイラインならではのエンジンに仕上げています、ということです」との回答。さらにグローバル商品企画の責任者であるアンディパーマーCPLOに聞いた。「ハードはダイムラーと同じですが、アプリケーションはまったく違うと思ってください。エンジンマウントからしてまったく違います。スカイラインのボディ特性に合わせたマウントを採用しています。エンジンを制御するソフトもまったく違います。そう、例えば魚の食べ方を考えてください。私の故郷イギリスではフィッシュ&チップスにして魚を食べますが、日本ではお刺身やお寿司にして食べますよね!? 同じ素材でも国や文化によって調理方法がまったく異なります。そういうふうにご理解いただくとわかりやすいと思います」と。また、「アライアンスというのは、一方的に製品をもらうというものではありません。技術を相互に提供し合いよりよい技術に繋げ、製品力を高めるものです。例えば、日産のエンジン技術がダイムラーに採用されているものもすでにあります。そのうえで独自の商品としてお客様に提供していくものが出来上がっていくのです」とつけ加えた。Q 同じエンジンを搭載するベンツE250(JC08モード燃費=15.5km/L)に対し、スカイライン200GT-tは車重が20~50kg軽いにもかかわらず、JC08モード燃費は13.0~13.6km/Lと劣っているけれど、その理由は!?A この2L直4ターボ、最高出力211ps、最大トルク35.7kgmという数字はスカイライン用もベンツ用も同様なのだが、よくよく諸元表を比較すると、最大トルク発生回転がスカイラインでは1250~3500rpmとなっているのに対しベンツE250用では1200~4000rpmとよりワイド。さらにもっと大きな違いがあるという。これについては長谷川CVEに明かしてもらおう。「燃焼方式の違いが最大の理由です。ベンツは成層リーンバーンを使っていますが、スカイラインでは通常のストイキ燃焼を採用しています。我々としても燃費をよくしたいというのはやまやまなのですが、スカイラインというクルマに搭載することを考えると、軽快なドライバビリティを求めるお客さんが多いと考え、ドライブフィールを優先してリーンバーンは採用しませんでした。もちろん開発中にはリーンバーンを採用すべきという意見もありましたが、最終的には通常燃焼にして、アクセルを踏んだ時のレスポンスを重視するほうを選んだということです」とのこと。はたしてリーンバーンを採用していたらどうなっていたのかはわからないけれど、少なくとも現状搭載されている2Lターボエンジンは、アクセル開度に対しリニアにパワーが立ち上がっていく特性で、フラットなトルク特性と相まって、とても自然なドライバビリティに仕上がっている。けっしてモリモリとパワフルなエンジンではないけれど、スカイラインの大きなボディを軽快に走らせることができるエンジンだ。Q このエンジンは日産が生産をしているの!?A 立石昇常務執行役員によれば、現在市販モデルに搭載されている2L、直4エンジンはダイムラー製で、ドイツで生産され栃木工場にアッセンブリーで納品されて『スカイライン』として組み上げられている。が、今後は日産でも生産を開始する予定。日本国内も視野に入れエンジン生産拠点が整備されることになる。

ダイレクト・アダプティブ・ステアリングが装着されていない!?

インテリアのデザインや材質などもハイブリッドモデルとの違いはいっさいない。ただしメーターはレブリミットが6500rpmに設定されるなど、若干の違いがある

インテリアのデザインや材質などもハイブリッドモデルとの違いはいっさいない。ただしメーターはレブリミットが6500rpmに設定されるなど、若干の違いがある

Q 350GTハイブリッドでは標準装着としているダイレクト・アダプティブ・ステアリングが200GT-tでは装着されていないのはなぜ!?A V37スカイラインの技術的なアピールポイントとして発表会などで大いにアピールされたバイワイヤー式ステアリング「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング」だが、200GT-tでは設定車がなく、秋以降にオプション設定される予定だという。長谷川CVEによれば、200GT-tはハイブリッドよりも車重が100kg程度軽く、また、前後重量配分が理想的な50対50に近づいているため、あえて凝ったステアメカを搭載しなくても、このクルマの目標としている俊敏性が実現できている、というのが理由だという。併せて、200GT-tは価格を高くしたくなかったということもあり、油圧パワステでいくことにした、ということ。ただ、その後の論議で200GT-tにもダイレクト・アダプティブ・ステアリングを装着したというお客様の声に応えるべきだという意見もあり、オプション装着できるようにしたということだ。価格は未定だが、30万円前後と予想する。試乗した印象を言えば、「自然な操舵フィールの200GT-tのほうが好印象」だった。ダイレクト・アダプティブ・ステアリングのシステム自体は新しい挑戦で技術的には大いに注目しているし、また、挑戦自体は大いに評価をしたいのだが、まだまだ消化し切れていないと感じていた。例えば、舵角に対する自然なターンインであるとか、S字の切り返し時の操舵フィーリングやタイヤの接地感をダイレクトにステアリングを通じて感じ取る感覚などは、やはりコンベンショナルなステアシステムのほうが自然な印象。

ハイブリッドモデルとの装備の差

ハイブリッド車では後席後方にバッテリーを搭載していたためにやや奥ゆきが狭く400Lだったが、ターボ車では500Lの容量を確保

ハイブリッド車では後席後方にバッテリーを搭載していたためにやや奥ゆきが狭く400Lだったが、ターボ車では500Lの容量を確保

Q ハイブリッドモデルとの装備の差などはあるの!?A ベースグレード、タイプS、タイプSPというバリエーションは200GT-tも350GTハイブリッドもまったく同じ。ダイレクト・アダプティブ・ステアリングが装着されないこと以外では各バリエーションの装備内容は基本的には同じとなっており、2Lターボとハイブリッドは「グレードの差」ではなく「キャラクターの違うモデル」という位置付け。後席後方にハイブリッド用バッテリーを搭載しない200GT-tではリアシートバックは6対4分割可倒式となっているのがハイブリッドとの違い。またトランク容量はハイブリッドの400Lに対し500Lとなる。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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