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更新日:2020.07.21 / 掲載日:2017.11.29
超ハイパワーのモンスター4WD!! ウルトラスーパースイフト完成そして走った!
スーパースイフトが完成

ベンチで鍛え上げられたエンジンが到着し、ボディに組み込まれていく。これによりマシンが完成!
【本記事は2013年2月にベストカーに掲載された記事となります。】これまで各パーツの実験&製作のもようなどをレポートしてきたが、5回の短期集中連載の最終回となる今回は、スーパースイフトについに訪れたシェイクダウンテストのもようをレポートするゾ!デザインスケッチを忠実に再現しながらも風洞テストにより空力効果の保証された外装パーツ、強固なサブフレーム、ボディの拡幅に伴い独自設計されたサスアームなどなど、モンスタースポーツの社内各所で製作されたものが集結し、着着と組み上げられていく。そして最後の大物、ベンチテストで充分に作り込まれたエンジンが到着し、車体に組み込まれる。この時こそスーパースイフトに“生”が与えられた瞬間だ。モンスター田嶋氏が「老いも若きもクルマをもっと楽しもうよ」、という願いを込めたスーパースイフトが完成した。形は完成したが、実際にマシンを走らせるシェイクダウンテストに備え、エンジンが組み込まれたスーパースイフトは、シャシーダイナモへ。
シャシーダイナモ

シャシーダイナモにかける ドライバーがどう感じるかという感性性能のチェックはエンジンを組み込んでからしかできない。それには実走行に近い負荷をかけることができるシャシーダイナモが重要な役割を果たす
エンジン単体状態での出力はベンチで測定するのに対し、シャシーダイナモはクルマに搭載した状態でのパワーを測定するもの、という認識が一般的だが、それだけではない。実走行に近い負荷をかけ、実車でしかわからないことを確認する。それは多岐にわたるが例えば、アクセルオフ時のフィーリングをドライバーがどう感じるかなど、感性性能を磨き上げる微妙なチューニングを行なっていく。
注目のカラーリング

モンスタースポーツはクルマ作りだけでなくカラーリングも外注なしで自社でこなすのは驚異的
そしてカラーリングにも注目してほしい。モンスタースポーツが手がけてきたチューンドスイフトのストリートバージョンは、JWRCのイメージを踏襲する意味もあり目にも鮮やかなイエローが定番だが、新たに誕生したスーパースイフトは、’11年のパイクスピークでワールドレコードを樹立したSX4パイクスピークスペシャルをほうふつとさせるGoProカラー。
ベストカーのステッカーも

BCのロゴはリアピラーに貼られている!
エンジニアの手により純白のボディに、GoProのロゴが貼り込まれたのだ。もちろん、ベストカーのステッカーもリアピラーとリアドアをまたぐかたちで貼られている! モンスタースポーツは社内に塗装ブースやカッティングプロッターまであるというから驚く。
わずか4カ月で

スーパースイフトのボディサイズは全長3890×全幅1770×全高151mm。ノーマルのスイフトに対し、全長で4mm、全幅で7mm大型化しながら車重は108kgに抑えている。駆動方式は4WD
設計スタートからわずか4カ月、不安視する声もあったなか、この手のクルマ作りはお茶の子さいさい。この短期間で見事完成に至ったのは、モンスタースポーツの経験とノウハウのなせる業といっていい。それほどすばらしい。自社内でクルマを丸ごと1台、シャシー、エンジン、エアロダイナミクスをすべて開発できる体制があるからこそ実現した開発スピードだ。しかし、1月11日から開催されるオートサロンで初公開するために形にしただけではないのは今回を含めてこれまでのレポートでも明らか。すぐにでも走ることができる状態で完成しているのだ。長年グラスルーツに参戦するカスタマーのサポートからパイクスピーク、WRC、JWRCといった世界最高峰の競技、そしてストリートカーまで幅広く手がけることによって蓄積されたクルマ作りのノウハウを注入して、レーシングマシン、ラリーマシンとまったく同じ手法で製作された。レーシングマシン、ラリーマシンの完成形はBC誌面でも紹介してきているが、その製作過程をここまで詳細にレポートしたのはここ20年くらいでは初めてかもしれない。読者諸兄にとっても、非常に興味深い内容に仕上がったと確信している。それでは、今回のメインディッシュ、シェイクダウンテストのもようについてのレポートの前に、シェイクダウンで公開されたスーパースイフトの詳細を見ていくことにする。なにはともあれモンスターとツーショットの写真を見てほしい。完成したスーパースイフトは、大きく張り出したフェンダー、流れるような形状のフロントエアダム類、GoProのカラーリングなどなど、忠実に再現されているのがわかるハズ。しかも細部に至るまで仕上げのクオリティがすばらしい。シェイクダウンテストの現場で実車と初対面したというモンスター田嶋氏、(編)カツマタ、担当はそのカッコよさにうっとり。まさに想像を超えるカッコよさとはこのことだ!
シェイクダウンテストを敢行!

モンスター田嶋氏と○編がクルマの完成を祝いツーショット撮影。421psのエンジンに○編も感激!
12月22日にシェイクダウンテストを敢行!スーパースイフトのシェイクダウンテストは、モンスタースポーツのファクトリーからほど近い『小笠山総合運動公園ECOPA(エコパ)』(静岡県袋井市)の駐車場を借り切って敢行されたが、当日はあいにくの雨。BCからは(編)と編集部員1人が現地入り。降りしきる雨のなか、積載車に搭載されたスーパースイフトが登場。無造作に積まれているのだが、ボディ全体からタダ者じゃないオーラを出しまくり。積載から降ろされたマシンの状態をエンジニア、スタッフが手際よくチェック。当然エンジンにも火を入れるのだが、421ps/42.6kgmにハイチューンされたエンジンとは思えないくらいスムーズに始動する。これで準備完了。モンスタースポーツはクルマを作るスペシャリストであると同時にレース、ラリーを取り仕切るプロ集団でもあることを再認識させられた。
初走行からマシンの限界まで引き出すのがモンスター流

シェイクダウンテスト開始早々から全開! まだ足回りのセッティングなど何もしていない状態ながら、高いポテンシャル、可能性を感じさせた
いよいよモンスター田嶋氏がコックピットに乗り込む。エンジニア、スタッフ、シェイクダウンテストをひと目見ようと休日返上で駆けつけた社員、そして(編)が固唾(かたず)をのんで見守るなか、マシンはスルスルスルと、穏やかにスタート。マシンの挙動、フィーリングを確かめる慣熟走行もつかの間いきなりペースアップ! ベンチで鍛え上げられたエンジンは、クォーンといういい音を奏でている。何よりも初走行とは思えないスムーズなエンジンの回り方とタフさに驚かされた。火の付いた田嶋氏をもう誰も止められない。定常円旋回、ドリフト、フルブレーキング、全開スタートとやりたい放題。初走行からマシンの限界まで引き出すのがモンスター流なのだ。テストをしている間に雨はやんだが、路面はハーフウェット。そんな状況でもスーパースイフトは4WDによるトラクションのよさを思う存分に発揮。ガンガン、ギュルギュルと走りまくり、無事シェイクダウン終了。
このクルマのキーワードは“楽しさ”

スーパースイフトの楽しさに思わず笑みがこぼれるモンスター田嶋氏。開発が進む今後がさらに楽しみ
ちなみに走行後、モンスターはエンジニアに、「7000回転まで回らなくてもいいから、6000回転くらいでトルクが出るようなセッティングに」と指示していた。ドライブを終えたモンスター田嶋氏は「クルマができただけで幸せなのに、運転してみるとこれが超絶に楽しかった。このクルマのキーワードは“楽しさ”で、私たちは常に理想形を追いかけ、それに少しでも近づこうとしているが、すばらしい素性を持っているのが確認できた。この点はスタッフの頑張りを称えたい。エンジンは421ps出ているが、ピーキーさとは無縁ですごく扱いやすい。ホイールベース、トレッドもいい感じで、トータルバランスに優れているのがこのクルマの長所で、楽しさを生む最大の要因だ。オートサロンでスーパースイフトを見てカッコいいと思えば買ってほしいし、楽しそうだと思えば、実際に走らせてほしい。クルマは移動手段という点では電車や飛行機などと同じだが、クルマには操る楽しさがあるのが最大の魅力だ。このクルマを通して、クルマ好きをもっと増やしていきたい」と、喜色満面でコメント。「このスーパースイフトでWRCをやりたいよねぇ」と、話しかける(編)にモンスターはニヤリ。やらないことに対しては“やらない”とハッキリ言うモンスターだが、その表情を見ると、全面否定ではなさそうな感じであった。スーパースイフトはそれだけワクワクさせてくれるクルマなのだ。東京オートサロンでの一般初公開に乞うご期待!