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更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.01

広い! 省燃費! 名跡復活 フィットシャトル

フィットにファミリーができる

こちらフィット

こちらフィット

【本記事は2011年4月にベストカーに掲載された記事となります。】

今年1月の月間販売台数でプリウスを抜いてトップに立ったフィット。昨年秋にマイナーチェンジするとともに、159万円という低価格のハイブリッドをラインアップに追加、販売台数に加速がついてプリウスに追いついた。その日の出の勢いのフィットにファミリーができる。

ホンダが満を持して投入するシャトル

ホンダが満を持して投入するのがフィットシャトル。ホンダはかつて、シビックの派生モデルとしてステーションワゴンのシビックシャトルを販売していた。シャトルという名称はホンダにとって主力モデルのワゴンタイプに与えるネーミングなのか、今回はフィットにシャトルが加わる。再び加速がつくか?
文字どおり、フィットをベースに全長を延ばしてリアにラゲッジスペースを設けたのがフィットシャトルである。プラットフォームはフィットの完全流用、ホイールベースも変わらないから乗り味などもフィットと同じと想像される。
続いて、新車の細かい解説に移ろうと思うが、どうも引っかかることがある。なぜワゴンなのか、だ。これも周知の事実だが、国内のステーションワゴン市場は冷え込んでいる。シビックシャトルが生産されていた’83~’96年とは事情が違うのだ。そこにあえてワゴン。しかも、前ページでお伝えしたようにライバルのプリウスもバリエーション展開を進め、7人乗りのミニバンと5人乗りのワゴンが追加される。
はたして、フィットシャトルに勝算はあるのか、マーケティングを担当する開発スタッフに聞いてみると、「最近、ミニバンやミドルクラスのセダンから小さいクルマに乗り換えるユーザーが増えています。しかし、いきなりフィットというのには抵抗があるようです。そこで、フィットシャトルを提供し、ひとつの選択肢としてニーズに応えられるだろう、という狙いもあります」
確かに、ダウンサイジングは世の中の風潮だ。しかし、ステップワゴンフリード、アコードの受け皿にフィットシャトルがなりうるのか。もちろん、ホンダスタッフもそれがすべての開発の狙いとは言ってないが、マーケティングでワゴン市場の有望性をつかんでいるのか。プリウスαは5人乗りも出ることだし、フィットシャトルが新たな需要を掘り起こすなら、それは業界にとっても喜ばしいことだと思う次第である。
では、ニューフェースのフィットシャトルをみてみよう。

HVはメッキグリル

リアデザインはフロントより2台の違いが明らかだが、それでもどことなく似ている印象を受ける

リアデザインはフロントより2台の違いが明らかだが、それでもどことなく似ている印象を受ける

新型車とはいえ、基本はフィットのバリエーション展開。プラットフォームもパワートレーンもまったく流用している。ボボディ寸法は、全長4410mm、全幅1695mm、全高1540mm。フィットに比べ、全幅が同じで全長が510mm拡大、全高も15mm高くなっている。
全長は5ナンバーの直接ライバルとなるカローラフィールダーやウイングロードとほぼ同サイズ。もちろん意識した数字に違いないだろう。
フィットに比べ510mmの延長で、そのうち330mmをリアに分配しワゴンとしてのラゲッジスペースを確保している。残る180mmがフロントに回された。ボディの大型化、重量増にともなう安全性アップ、クラッシャブルゾーンの拡大などに当てられているのだ。加えて、重量の前後バランスを安定させている。
全高の1540mmもポイント。都市部でみられる機械式の立体駐車場では、特に古い機械で1550mmの車高制限を設けているケースが多く、フィットシャトルは見事にクリアする。しかし1540mmという全高は、ステーションワゴンとしてみれば高く、オデッセイに近い数値。つまり背の低いミニバンと同レベルということで、このあたりが、ミニバンユーザーのダウンサイジングの受け皿としての根拠なのだろう。それなら3列シート、リアのスライドドアという、最近の流行りに合わせた選択もあったのではないか。
共用パーツの多用だから、スタイリングも似ている。もちろんリア回りはラゲッジスペースを延ばしたワゴンとハッチバックだから違いはあるが、リアドアから前のボディサイドは、そこだけ見ればまったく見分けがつかない。ただ、前述したようにホイールベース同寸で全長を延ばしているから、シャトルのほうが前後ともオーバーハングが大きい。
フロントに回ると、バンパー形状でフィットとシャトルが差別化される。フロントバンパー下の両サイドに孔口を設けているのがシャトル。または段付きバンパーを採用し、中央部が少し凹んでいるのがフィットである。グリルは、ガソリン車は異なるパーツになった。いっぽうハイブリッドは、メッキグリルを共用している。これはフィットハイブリッドの証だ。シャトルのガソリン車もメッキグリルを採用しているが、ハイブリッド用とは形状が異なる。

ラゲッジに仕掛けあり

ミドルクラスに使われる高級素材を採用。ホンダと素材メーカーが共同開発した自慢のシートだ

ミドルクラスに使われる高級素材を採用。ホンダと素材メーカーが共同開発した自慢のシートだ

インテリアも基本的に共通だが、シートはシャトル専用品が採用された。サイド部に合成皮革のグランスムース、センターにはスウェード調のファブリックを組み合わせている。このマッチング、ミドルクラスに使われる素材で、さすがに座り心地はいいし適度なホールド感もある。このシートが、シャトルのインテリアを上質な印象へと引き上げているようだ。
レジャーユースが見込まれるシャトルに上質シートというのも妙な取り合わせに思えるが、ホンダによるとグランスムースは汚れに強く、ふき取りが簡単という性質があるらしい。それなら納得のいく採用である。

フィットシャトルのセールスポイント

エンジンラインアップは、1.3L+IMAと1.5Lの2本立て。重量増で1.3Lは廃止

エンジンラインアップは、1.3L+IMAと1.5Lの2本立て。重量増で1.3Lは廃止

新車解説もいよいよ佳境。フィットシャトルのセールスポイントは大きく2つ。ひとつは燃費、もうひとつがラゲッジだ。
まずは燃費。フィットに比べ大型化したシャトル、ハイブリッド同士で比較すると車重が70kg重い。成人男性1人分、本来ならば燃費に影響するはずだが、10・15モード燃費はフィットと同じ。ハイブリッドは30.0km/Lを達成してみせた。
何をしたか、最大の対策はアンダーボディの整流。つまり、ボディの下の凹凸を可能なかぎり少なくして空気の流れをよくした。ほかにもエンジンの最適化、シフトパターンやブレーキの見直しといった細かい改良を積み上げ、1.5Lも20.0km/Lとハイブリッドとともに大台をキープした。これは開発当初からの厳命だったに違いない。
ラゲッジスペースはフィットの特徴が生かされた。というよりフィットありきのシャトルなのかもしれない。フィットの室内空間の広さはガソリンタンクを車体中央部に設置したセンタータンクレイアウトによる。これは運動性能にも影響するのだが、シャトルになるとラゲッジの下がさらに有効に使えるメリットがある。ラゲッジの下に隠れた床下収納を設けた。しかも床下収納を間仕切りしたり、フタに工夫を凝らすなどしてさらに多様な使いやすさを求めた。
自転車が立ったまま入るし、背の高い植木も載せられる。人が寝転ぶこともできる(走行は不可!)と文字どおり多様な使い方ができる。ただし、ラゲッジ下にバッテリーを配置するハイブリッドは床下収納がない。ハイブリッドか床下収納か。これは、フィットシャトル購入で頭を悩ますことになりそうだ。
フィットシャトルは、フィットにある1.3Lガソリンが廃止され1.5Lのみの設定。シャトル版RSは今のところは未定という。価格は1.5X比較で16万円アップ、ハイブリッド同士なら26万円高くなる。
フィットとフィットシャトルの明確な違いはラゲッジスペース。それに16万円なり26万円を支払うか。これも悩ましい選択に違いない。

ライバル対決ROUND1 VSフィット ハッチバックにするかワゴンを選ぶか? 決め手はなんだ

フィットをベースにしたワゴンという位置づけは、以前のエアウェイブと同じ。ただしエアウェイブは先代フィットに対してホイールベースを100mm拡大したが、フィットシャトルは現行フィットと同数値だ。
シートのサイズは同等で、居住性もほぼ同じ。後席の座面を持ち上げて、1280mmの荷室高が得られることも共通で、機能の違いは荷室の拡大になる。
シャトルの荷室奥行きは、フィットに対して約300mm長い。リアシートは、フィットと同様、床面へ落とし込むように畳める。ボックス状の広い荷室が、シャトルの最大の特徴だ。
車両重量はフィットに対して70kgほど増えるため、1.3Lのノーマルエンジンは用意せず、1.5Lとハイブリッドのみ。さらに、タイヤも175から185サイズに太くなるが、10・15モード燃費は等しい。1.5Lが20.0km/L、ハイブリッドが30.0km/L。フィットではハイブリッドを中心に装着されるフルフラットアンダーカバーが、シャトルでは2WD全車に拡大採用される。
割安感はどうか。シャトルの2WD全車に横滑り防止装置が装着されるといった装備の差を補正して、フィットに対し、17~19万円の価格上昇になる。
ちなみに同様の比較が成り立つコルトとコルトプラスでは、装備差を補正して後者の価格上昇は約9万円。シャトルは約10万円の値下げをしないと、フィットとバランスがとれない。

ライバル対決ROUND2 VSカローラフィールダーウイングロード フィットシャトルは優位なのか?

機能的で明るい雰囲気のインテリア。

機能的で明るい雰囲気のインテリア。

シャトルの特徴はハイブリッドの設定だ。ライバル2車の10・15モード燃費は、シャトルの1.5Lと同じ20.0km/Lで差はつかないが、ハイブリッドの数値は10.0km/L上回る。
居住性はウイングロードがトップ。前席で差はつかないが、後席の足元空間が最も広い。次いでカローラフィールダー、シャトルの順。シャトルの後席は小さく畳むために座面の奥行き寸法も短く、足元空間に加えて座り心地も見劣りする。
荷室の広さは順序が逆で、シャトルがトップ。床面積はウイングロードと同等だが、上下方向に余裕を持たせた。さらにシャトルは後席を小さく畳んでさらに広い荷室に変更できるから、積載性は抜群だ。
カローラフィールダーはルーフが低めで、荷室は広くない。後席の居住性に重点を置く。セダンのカローラアクシオから発展した純粋なワゴンで、内外装の質感は最も高い。
価格は1.5Lモデルで比較。シャトル15X・Sパッケージ(173万5050円)、カローラフィールダー1.5X/エアロツアラー(183万円)、ウイングロード15M(184万8000円)の3車だ。
ウイングロードは最も高価だが、ライバル2車が装着しないインテリジェントキーとCDオーディオが備わり、シャトルに備わらないエアロパーツがつく。シャトルはディスチャージヘッドランプを備える。この価格と装備の差を踏まえると、最も買い得なのはウイングロード。次いでシャトル。カローラフィールダーは高価格で荷室容量も小さいが、ワゴンらしい内外装が特徴になる。
よって買い得感を重視するならウイングロード、積載性ならシャトル、質感であればカローラフィールダーを推奨したい。

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