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更新日:2018.11.27 / 掲載日:2017.12.01

フィットシャトル&フィットハイブリッド 実は中身が違います。 乗り心地も静粛性もグッと進化!

フィットシャトルようやくデビュー

6月28日現在の受注は約1万2000台(発売は6月16日)

6月28日現在の受注は約1万2000台(発売は6月16日)

【本記事は2011年8月にベストカーに掲載された記事となります。】

フィットシリーズのフィットシャトルが6月16日、ようやくデビューした。先の東日本大震災はクルマ業界に大きな影響をもたらしたが、3月17日に発表を予定していたフィットシャトルにとって、それはまさに“直撃”といっていい災害。サプライチェーンの復旧はもちろん、埼玉から鈴鹿へ生産工場を移管するなど、平時では有り得ないようなアクロバット的な復旧作業を敢行。

ようやくユーザーに納期で迷惑をかけないメドがついたことで、正式な発売に漕ぎつけたというわけだ。

明快なコンセプト

フィットに比べるとホイールベースは2500mmと変わらないが、全長は510mm大きく、荷室容量はフィットハイブリッドの341Lを大きく上回る496Lを獲得する

フィットに比べるとホイールベースは2500mmと変わらないが、全長は510mm大きく、荷室容量はフィットハイブリッドの341Lを大きく上回る496Lを獲得する

で、フィットシャトルだけど、ひと目見ればそのコンセプトは明快。いまやスモールカーの“定番”となったフィットをベースに、ラゲッジスペースを拡大してユーティリティを向上させた派生モデルだ。

ホンダでいえば、低全高ミニバンはストリーム→フリード→フィットシャトルというラインがあるが、ユーザーの燃費志向が高まるとともにボリュームゾーンはどんどんダウンサイジング。家族構成などでどうしても大きなボディが必要ならステップワゴンだけど、そうじゃなければコンパクトカーまで下りてきて差し支えない、そういう認識が支配的になってきている。

車重増でもフィットと同じ燃費

フィットHVよりも70kg重くなっても10・15モード燃費30・0km/Lを達成したわけ

フィットHVよりも70kg重くなっても10・15モード燃費30・0km/Lを達成したわけ

ここでポイントになるのは、まずいうまでもなく燃費性能だが、この点はIMAハイブリッドがその実力を見せつけた。

フィットハイブリッドに対して全長を510mm延長して荷室スペースを拡大したフィットシャトルハイブリッドは、車重が70kgほど重くなっているのだが10・15モード燃費はフィットと同じ30km/Lをキープ。これは、エンジンからシャシーまで細かいフリクション低減を徹底することや空力処理の改善によるものだが、実燃費はともかく意地でも30km/Lをキープしてきた根性は評価できる。フリードが17km/Lだけに、ホンダのラインアップのなかでこの数字は光っている。

走りのテイストで明確な差がある

社内データによればフィットハイブリッドよりも静かだ

社内データによればフィットハイブリッドよりも静かだ

走りのテイストで明確な差がある
走りっぷりについては、パフォーマンス面ではほとんど差がないが、いわゆる“乗り味”については思いのほかテイストが違っていたのが興味深い。

まずはドライバビリティだが、パワートレーンのスペック(1.3L、88ps+モーター14ps)が同じだけに、目をつぶって乗り換えたらその違いはまったくわからないといっていい。

電気モーターならではの静止からの小気味よい“蹴り出し”感、シューッとエネルギーを吸い取る回生ブレーキ時の「得した!」という嬉しさ、そしてスムーズなアイドル停止/復帰の挙動など、やっぱりハイブリッドはなにかにつけて振る舞いがスマート。燃費のよさだけじゃなく、普段のドライバビリティのこの質の高さが、ノーマルに対するIMAハイブリッドの魅力となっている。
こういう「スイスイ気持ちよく走る」という美点は、同じハイブリッドならフィットもフィットシャトルも同等。少し大きく重くなったボディはまったくハンデになっていなかった。
いっぽう、予想以上に違っていたのは、乗り心地や静粛性など、いわゆる乗り味の部分だ。

フィットシャトルを開発するにあたって、シャシー/プラットフォームは、サスペンション設定、リア回りのボディ補強、遮音材の増強など、かなり広範囲にわたって改良が施された。これは、パワートレーンとは対照的に、ちょっと走ればすぐに気がつくほどの違い。開発チームが最も注力したのは、じつはこの部分といっていい。
まず気がつくのは、微小ストローク時の動きがしなやかになった足だ。市街地レベルの速度ではバネ上がけっこう揺すられるフィットに対して、フィットシャトルはずっと大きなクルマのような落ち着きっぷり。キビキビしたハンドリング感覚を大事にしたいならフィットだが、ファミリーカーとして使うならシャトルのこのゆったりした足回り設定のほうが疲れない。
また、静粛性についてはフィットと乗り比べると後席の遮音性がグッと向上していることが体感できる。リアのホイールハウスから上がってくる路面ノイズや、頭のまわりのザワザワ感は、シャトルではスッキリとカットされている。運転しているとあまり違いを感じないが、後席に乗せられると静粛性はけっこうな差を感じるはずだ。

荷室の使い勝手については、まぁ写真を見れば一目瞭然だが、そういうユーティリティの違いだけではなく、フィットとフィットシャトルにはクルマのキャラクター……特に走りのテイストに明確な違いがある。

ファミリーユースには文句なくフィットシャトルがお薦めだけど、フットワークの軽快なパーソナルカーとしてはフィットの魅力もぜんぜん色褪せていない。お好みでお好きなほうをどうぞ、というのが結論だな。

ガソリンモデルの完成度も高い

フィットシャトルの1.5Lモデルにはリバーシブルフロアボードを標準採用している。片側がカーペット、反対側が拭き取りできるワイパブル仕様だ。

フィットシャトルの1.5Lモデルにはリバーシブルフロアボードを標準採用している。片側がカーペット、反対側が拭き取りできるワイパブル仕様だ。

ガソリンモデルの完成度も高い
フィットシャトルは初期受注の86%がハイブリッドに集中しているが、コンベンショナルなガソリン1.5L仕様も忘れちゃいけない存在だ。
量販グレード15Xの価格は、ハイブリッドより20万円安い165万円。このモデルからVSAが標準化されるなど、1.5L級コンパクトワゴンとして、まずまずのお買い得グルマに仕上がっている。
シリーズに目立つハイブリッドが存在するからつい目移りしてしまうのだが、フィットシャトル15Xはむしろフィット1.5シリーズのなかの1バリエーションと見たほうがいい。
フィットの1.5Lには、これまでスポーティなRSとダンナ仕様の15Xがあったわけだが、そこにユーティリティ性の高いシャトル15Xが加わったというイメージ。これでバランスの取れたバリエーションが完成するわけだ。
そこでのフィットシャトル15Xの魅力は、やはりラゲッジスペースの使い勝手だろう。床下にバッテリーがないコンベンショナルエンジン仕様は、荷室の約496Lに加えて床下にも94Lの収納スペースが確保されている。
さらに、ダブルヒンジでいろんなアレンジができる荷室のリバーシブルフロアボード(ハイブリッドは採用されず)を活用すれば、長尺モノから高さのある荷物まで、収納性は第一級。ホイールを外さずに26インチの自転車を積み込むことさえ可能だ。
ドライバビリティや燃費については、正直ハイブリッドには一歩およばないが、フィットより重厚な乗り心地や穏やかなハンドリングはフィットシャトルに共通のテイスト。ユーティリティ志向のパッケージングにはふさわしい味つけだと思う。
このボディサイズや価格帯でこんなにユーティリティ性の高いクルマがあるかというと、意外にライバルが存在しないのがフィットシャトル。お買い得価格のノーマル15Xも、なかなか侮れない存在だと思うな。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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