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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01
ヴィッツはフィアット500よりも楽しいか?
ヴィッツはほんとうに男にアピールするクルマか?

どちらもアイドリングストップが自慢
【本記事は2011年2月にベストカーに掲載された記事となります。】年末年始ヴィッツのCMが何回も流れていましたね。同業さんがモチーフになっているんでこっちも気になっていました。さて今回の依頼は、「ヴィッツはほんとうに男にアピールするクルマか? 調査してほしい」というもの。ミニバンからの乗り換えを考えているという30代の男性(仮にAさんとしておこう)からのものだ。おっと名乗るのを忘れていました。自分は音羽興信所の本郷、浮気の調査もやるけれど、こういったクルマの調査もやる。新型ヴィッツのセールスポイントは3つ。ひとつはシャープになったスタイリング、もうひとつは1.3Lの新エンジンがもたらす走り、3つめがアイドリングストップの出来ということになるだろう。この3点をしっかりとチェックすれば答えは見えてくるはずだ。さてそのAさんからひとつリクエストが入っている。「国産車はみんなが乗っているので輸入車でアイドリングストップが付いた燃費のいいクルマを教えてほしい」とのことだ。調べてみるとスマートフォーツー、MINI、フィアット500の3台が挙がった。このうち、スマートフォーツーは2人乗り、MINIは6MTのみの設定になる。そこで依頼人の要求に応えるべく、フィアット500 1.2ポップ195万円とヴィッツの1.3Fスマートストップパッケージ135万円を比較し、レポートすることにした。
想像以上に楽しいフィアット500

FIAT500:ポップの名のとおり、自由であか抜けたインテリアは毎日乗っても飽きない
最初に乗ったのはフィアット500。どうせ格好優先のクルマ、日本車と比べればたいしたこともないだろうと乗ったところ、意外やシャシーがしっかりしていることに驚いた。シーケンシャルタイプの5速セミオートマによって高回転までガンガン引っぱれるし、信号待ちで、ブレーキを踏めばしっかりとアイドリングストップ、ブレーキから足を離すとブルルンと元気にエンジンが始動する。メカニカルノイズは国産車よりも大きいが、そのぶんエンジンが停止しているかどうかがハッキリわかる。ただし、セミオートマのため、坂道ではブレーキを離すと下がるので慣れが必要だ。なにかと不便な3ドアだし、国産車に比べると完成度は高くないが、インテリアもエクステリアも遊び心があって愛されるキャラクターをもっていた。
3ナンバーと見間違うワイドなフォルム

ヴィッツ:男性が乗っても女性が乗ってもしっくりとくるポジション。さすが世界戦略車だ
今度はヴィッツの番だ。間近に見たグレーメタリックのヴィッツ1.3Fスマートストップパッケージは想像していたよりも大きかった。旧型よりも100mm長く、20mm低くなったフォルムは、3ナンバーサイズじゃないかというくらいワイドに見える。フロントフェンダーが張り出し、開口部が大きく押し出しのきいた独特のバンパーと切れ長のヘッドランプがヴィッツの表情を作る。ヘッドランプはよく見ると上部をメッキ、端の部分はスモークメッキとし、彫りの深い精悍な表情を作っている。明らかに「男のカオ」だ。ただし、やさしい顔ではないから好き嫌いはあるだろう。旧型は愛敬のあるカピバラ系だったが新型はジャッカル系だな。依頼人にはキープコンセプトが当たり前の最近のモデルのなかでは、変わりっぷりは飛び抜けていると報告しておこう。運転席に乗り込むと全長が100mm大きくなったメリットが感じられる。運転席のシートスライドも10mm×24段と調整幅が大きく、大柄な男性でもしっかりしたポジションがとれる。さらに印象的なのは後席の広さ。ヴィッツは狭いという先入観があったが、膝まわりもヘッドクリアランスも想像以上。フィットと同レベルとトヨタはアピールするが、確かに旧型よりもずっと広くなっている。
コックピット

ヴィッツ:デザインセンスは悪くないと思うが、もう少し冒険してほしかったインテリア
残念なのはコックピットの地味なデザイン。内装色はいろいろあって、特に「ジンジャー」という明るいベージュは気に入ったが、いかんせんメーター回りやスイッチ類に遊び心がない。運転を楽しくするのはフィアット500のような「小技」の利いたデザインだと思う
ピックアップのいい1.3Lの新エンジン

新開発の1.3L、1NR-FEエンジンはCVTとのマッチングがよく、加減速がスムーズ。ボディが大きくなったが、車重は1トンちょうどに抑えられ、軽快感もある
ヴィッツの1.3Lは新開発の1NR-FEエンジン。最高出力95ps、最大トルク12.3kgmとスペックはとりたててどうということはないが、そこはトヨタの最新エンジンで静粛性が高く、吸排気ともにVVT-iが付いて、低速からレスポンスよく加速する。CVTのセレクトレバーをSにした時のトルクの立ち上がりもよく、フレキシブルな走りをみせる。
アイドリングストップ

すばやく静かに再始動する理由は「常時かみ合い式」のスターター採用にあった。レスポンスは国産一かもしれない
気になるアイドリングストップは停車からエンジンが止まるまでが早く、ショックもないから、エッ止まったの? という感じ。しかもブレーキを離してから0.35秒と再始動までも速い。アイドリングストップ搭載車のなかには再始動がガサツというモデルもあるがヴィッツは軽やかにエンジンがかかり、ストレスを感じさせない。しかもキャンセルスイッチがあり、流れるか流れないかの渋滞の時に便利なほか、アイドリングストップ途中にこれを押せばエンジンが再始動し発進が可能だ。これなら、燃費もいいはず。スマートストップパッケージは1.3Fの6万円高で10・15モード燃費は2.5km/Lアップ。燃費テストまではできなかったが、システムの出来はいい。
まとめ

この角度で見ると大きく精悍になったことがわかるはず。依頼人には男が乗っても違和感ゼロと報告しよう
報告書(まとめ):ヴィッツは男が乗っても気後れしないクルマに生まれ変わった。走りもいいし、質感も高い。ただし、欲を言えばフィアット500のような遊び心が欲しい。