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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.03

シビック最後のタイプR 伝統のタイプR 3ドアと4ドアどっちが魅力的?

タイプRユーロ:シビックタイプRユーロは、日本では販売されていないシビック3ドアハッチバックがベース。日本のタイプRはシビック4ドアセダンだが、フロントマスクもまったく別のデザインとなっている。シャープなヘッドライトが特徴的。 ボディサイズは、タイプRユーロは全長4270×全幅1785×全高1445mmで、全長で270mm短く、全幅、全高はともに15mmサイズアップ。ホイールベースはセダンの2700mmに対し2635mmと、デザインだけでなくサイズからもまったく別ものであることがわかる。車重も違い、タイプRユーロは4ドアよりも60kg重い。

タイプRユーロ:シビックタイプRユーロは、日本では販売されていないシビック3ドアハッチバックがベース。日本のタイプRはシビック4ドアセダンだが、フロントマスクもまったく別のデザインとなっている。シャープなヘッドライトが特徴的。 ボディサイズは、タイプRユーロは全長4270×全幅1785×全高1445mmで、全長で270mm短く、全幅、全高はともに15mmサイズアップ。ホイールベースはセダンの2700mmに対し2635mmと、デザインだけでなくサイズからもまったく別ものであることがわかる。車重も違い、タイプRユーロは4ドアよりも60kg重い。

【本記事は2009年12月にベストカーに掲載された記事となります。】3ドアハッチバックの欧州版シビックタイプRが約1年遅れで11月5日に正式デビュー。価格は4ドアタイプRの283万5000円に対し298万円。となれば、同じタイプR同士、4ドアタイプRとどっちがいいのか気になる。竹平素信、片岡英明、松田秀士の3人が2台を徹底比較!

使い方によって魅力は大きく変わる2台 とにかく運転するのが好きな竹平素信

タイプRユーロ:シビックタイプRユーロは、201ps/7800rpm、19.7kgm/5600rpm、4ドアタイプRは225ps/8000rpm、21.9kgm/6100rpmと同じ2L、i-VTECエンジンでもスペックに差がつけられている。10・15モード燃費は4ドアタイプRの11.4km/Lに対しユーロは11.6km/L

タイプRユーロ:シビックタイプRユーロは、201ps/7800rpm、19.7kgm/5600rpm、4ドアタイプRは225ps/8000rpm、21.9kgm/6100rpmと同じ2L、i-VTECエンジンでもスペックに差がつけられている。10・15モード燃費は4ドアタイプRの11.4km/Lに対しユーロは11.6km/L

同じシビックタイプRでもモータースポーツを想定したのがセダン。いっぽうのユーロはプレミアムピュアスポーツをコンセプトとして欧州に投入されたモデル。まずは、「どっちが速いか」。これは確実にセダンが上。ユーロよりパワフルなエンジン、車重も60kgも軽量とあって動力性能は上。コーナリング性能も同じサイズながらハイグリップタイヤでいちだんと高く、ストッピングパワーもブレンボと大容量ブレーキの装備で強力。ただ、ユーロと大差はない。ノーマルのまま筑波サーキットをアタックするとユーロは約2秒のビハインド。しかしタイヤを4ドアと同じスペックにすればその差は1秒ほどとのこと。ユーロの速さも不満なしだ。走り味もかなり異なる。VTECエンジンもセダンはパワー追求型のレーシーなフィールに対し、ユーロは日常での使いやすさも求めたナチュラルフィール。VTECの作動もセダンは切り替わりポイントがしっかり体感できるが、ユーロは気づかないほど。ハンドリングは4ドアが剛なら、ユーロは柔といった感じだ。とにかく、セダンは剛性感、ダイレクト感が際立っている。まさに“ガチガチ”といった感じのボディ剛性、これでもか、というレベルまで強化されたサス、ハイグリップタイヤ、ダイレクトなフィールがより伝わる油圧式パワステなどの採用でフィールはレーシーそのもの。いっぽうユーロは、ハッチバックボディもあってボディ剛性はガチガチとまではいかず、サスもそれほど締め上げていない。ステアリングも燃費対策で電動ゆえに4ドアほどのダイレクト感はない。ところが、この走りが実に好フィール。スムーズかつ適量の荷重移動と、追従性に優れたしなやかなサスで懐の深いフットワークを見せる。限界も把握しやすいからワインディングではストレスなしに思いっきり攻めることができる。そして“月とスッポン”ほどの差を感じさせるのが乗り心地。4ドアははっきりいって超固レベル。普通の人が乗ったら、胃袋が動きまくって耐え難いかも。が、ユーロは固めであるものの街中では充分快適で、高速域では上質なフラットライドが味わえる。これはユーロならではの魅力的ポイントだ。この両車は同じタイプRでも、何を求めるかによって魅力は変わってくる。1台ですべてをまかないたいなら、ユーロのほうが魅力的だし、モータースポーツに使ったり、サーキット走行を楽しむのを優先するなら4ドアタイプRとなる。

公道で使うなら3ドアのユーロに軍配 無類のスポーツ&GT好きの片岡英明

タイプRユーロ:タイプRの真骨頂ともいうべき赤/黒のシートは、タイプRユーロでは、その赤がより濃いものを採用し若干色味が違う。インパネはタイプRユーロのほうが操作系の配置など凝ったデザインを採用。ただし、4ドアタイプRの白地のタコメーターはかなりスポーティ

タイプRユーロ:タイプRの真骨頂ともいうべき赤/黒のシートは、タイプRユーロでは、その赤がより濃いものを採用し若干色味が違う。インパネはタイプRユーロのほうが操作系の配置など凝ったデザインを採用。ただし、4ドアタイプRの白地のタコメーターはかなりスポーティ

英国ホンダのHUMで生産されているもう1台のタイプR、それが3ドアHBベースのタイプRユーロ。違っているのはデザインだけではない。プラットフォームはセダンと別もの。ホイールベースはセダンより65mm短い2635mmで、全長も4270mmに抑えた。パワーユニットはセダンのタイプRと同じ1998ccのK20A型4気筒DOHC・VTECエンジン。基本的な設計は同じだが、タイプRユーロはバランサーシャフトを内蔵し、排気系の取り回しも違う。圧縮比も11.7から11.0に下げた。パワースペックは201ps/19.7kgmと、セダンのタイプRより24ps/2.2kgm低い。始動すると振動は少なく、アイドリングもセダンのタイプRより静か。6速MTはショートストロークで操作しやすかった。セダンのタイプR以上に小気味よい変速が可能だ。メタル製のアクセルペダルはオルガン式で、これまた扱いやすい。高回転域の伸び感とパンチ力は4ドアタイプRに分がある。車重は60kgほど増加し、レッドゾーンもセダンのタイプRより400回転低いからだ。が、8000回転まで軽々と回り切り、レスポンスも鋭かった。VTECの切り換えポイントは400回転下げられ、5400回転。セダンのタイプRと大きく違うのは実用域のトルク感だ。4000回転前後の領域でトルクの厚みが違う。ドライバビリティの向上も認められ、街中の低速走行もそつなくこなした。クルージング時は静粛性が高く、振動も少ない。これもセダンのタイプRと違う点だ。エンジン以上に違いを感じるのがハンドリングとフットワークである。リアサスペンションはトーションビーム式で、ダンパーはザックス社製のものを組み込んだ。タイヤは同じサイズだが、BSポテンザRE070に代えてRE050Aを履いた。ホイールベースも65mm短い。どちらも高いボディ剛性とロール剛性を持ち、シャープな気持ちいいハンドリングを見せつける。よりダイレクトな操縦性を見せるのはセダンのタイプRだ。が、タイプRユーロは65短いホイールベースと相まってワインディングロードを走るのが楽しい。タイトコーナーでも素直にクルマの向きが変わる。差がつくのは乗り心地だ。タイプRユーロはセダンのタイプRで泣かされた路面からのダイレクトな突き上げが上手に封じ込まれている。荒れた路面でのいなし方は絶妙だ。デートカーとしてロングドライブしても彼女から文句は出ないだろう。サーキットを走ればセダンのタイプRのほうが速い。が、公道ではタイプRユーロのほうが好印象だ。キャビンは快適で、ラゲッジも思いのほか広い。ただし、ドライバーの着座位置がちょっと高めなのが気になる。

タイプRユーロは非常によくまとまっている冷静かつ緻密な分析に定評のある松田秀士

タイプRユーロは4ドアのようなガチガチのアシではなく、一般道での乗り心地もいい。これが最大の魅力であり、4ドアと差別化されている点。ブレーキはブレンボではないが、効き、フィールとも劣ることはない

タイプRユーロは4ドアのようなガチガチのアシではなく、一般道での乗り心地もいい。これが最大の魅力であり、4ドアと差別化されている点。ブレーキはブレンボではないが、効き、フィールとも劣ることはない

よりレーシーなのはどちら? といえば明らかに4ドアタイプR。まず、タイヤが左右非対称パターンのハイグリップタイヤRE070。このタイヤに合わせてサスペンションがセッティングされているから足はかなりハードで、普段乗るにはきついなぁ。いっぽうタイプRユーロはR050Aで、コレはRE070に比べてグンとグリップが落ちるからそれほど尖ったサスペンションにはなっていないね。だから乗り心地もいい。ただ柔らかいとロールが大きくなるのでバンプストップラバーで深くなりすぎないように抑えている。この時のフィーリングがゴムマリに乗っているかのようで、ボクはちょっと気になる。だけど、ユーロくらいソフトでギャップ吸収性の高い足にしないと、ニュルのオールドコースなんか飛び跳ねて走れないだろう。日本と欧州とでは路面が違うのですよ。だいたい年に1回の高速集中工事なんてゼイタク!つまり、4ドアは日本でしか通用しないと思う。硬派なところが個人的には好きだけどね。ひとつ気になるのはユーロはエンジンの搭載位置が高く感じられ、それによってコーナーでモーメントの大きさを感じることだ。ヨッこらショ感が4ドアより大きいのですよということでタイプRユーロは4ドアタイプRの間口を広くしたようなモデル、VSAを装備していることからもその意図が読み取れる。日常使用でもこの手のスポーツとしてはかなり快適でタイプSのような存在だろう。そのことを象徴するかのようにエンジンも扱いやすい。パワーは劣るがタイプR系としては初めて2次バランサーを採用しているので、振動が小さくスムーズな回転フィールだ。VTECのハイカム側(高回転用のパワーの出るカム)への切り替わりポイントを400rpm下げて5400rpmとし、4ドアタイプRに比べると余裕を持って高回転域が使える。4ドアは5800rpmでハイカムに切り替わり直後の6100rpmでピークトルクに達するので、もうアクセル踏み込むしかない! って感じの使い方になってしまうけれども、ユーロならトルクを味わいながらコントロールする余裕があるね。このほうが使いやすいことは明らか。ユーロはエクステリアも先進的だし、3ドアハッチというのもシビックのルーツからの流れを汲むものとして歓迎する。でも、フロントブレーキキャリパーの造形はいただけないね。4ドアのブレンボのものと比較すると本当に見た目がショボい。効きそのものやペダルタッチフィールは遜色がないのに……。筑波サーキットでもこの間走ったんだけれども、連続走行をしても少しスポンジーなペダルタッチになるだけできちんとブレーキは効いてくれました。さらに1、2、3速ギアがより低速側に振られているので、2速でヘアピンのような低速コーナーからの脱出でちょうどトルクピークが有効に使え気持ちよく走れる。裏ストレートでの3速から4速への繋がりも力不足を感じなかったし。全体としては非常によくまとまったクルマです。そのまとまりすぎが尖ったキャラの4ドアに比べてつまらなく感じるかもしれないけど……。

判定

3人の評価は似ているが、合計点でタイプRユーロ優勢となった。ただし3人ともユーロと4ドアの合計点は大きく開いておらずとその差は僅差。ただしキャラは明確に分かれていて、走りの性能に関しては4ドアが突き抜けている。対するタイプRユーロは、走り、実用性、快適性を高いレベルで持ち合わせている。だからこそ、日本導入が遅れたのがもったいない。スパルタン+オールマイティのこの2本立てならもっと早くタイプRの魅力をアピールできたのに!

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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