マツダ車の1／3の生産量を誇る大黒柱　NEWアクセラスポーツはスポーティにECO

【本記事は2009年7月にベストカーに掲載された記事となります。】「アクセラは5年間で200万台以上を世界で販売した、マツダの大黒柱です。いまや、全マツダ車生産量の3分の1がアクセラです」6月11日、2代目となる新型アクセラの発表会の場で山内孝代表取締役社長兼CEOは、マツダにおけるアクセラの重要性をアピールした。「マツダは、これまでも常に申し上げてきましたように、Zoom-Zoomなクルマの走りと同時に、環境対応をしていくという、いっけん相反すると思われるかもしれませんが、そうしたコンセプトを掲げてきました。これをひとつのクルマにまとめ上げたのが新型アクセラです」と山内社長は新型アクセラのコンセプトを説明した。アクセラのモデルチェンジは5年ぶり。初のモデルチェンジで2代目へと進化した。パッと見てもわかるように、新型アクセラは先にモデルチェンジしたアテンザやRX-8のイメージを色濃く受けついだエクステリアデザインをまとっている。「ファミリーフェイスのアイコン、5ポイントグリルを従来のようにグリルとバンパーで分けて考えるのではなく、一体化したイメージで作り上げました。新しいマツダの顔です」と開発責任者の前田剛享主査は言う。新型アクセラは5ドアの「スポーツ」と4ドアセダンの2本立てで、エンジンは2Lと1.5Lとなっており、これは旧型と同じ。5ドアには2.3Lターボを搭載する「マツダスピードアクセラ」も用意されている。2L、FFモデルには、注目のアイドリングストップシステム「i-stop」が搭載されるのもポイントだ。

とはいうものの　ベストカー読者の皆様！　2.3Lターボの『マツダスピード』が気になりません？新型アクセラの本流は、いうまでもなく1.5L＆2L NAエンジンを搭載するモデル。特に、2LエンジンはDISIと呼ばれる直噴エンジンで、これにマツダ独自の技術で新開発されたアイドリングストップ機構「i-stop」が組み合わされ、エコ性能にも磨きをかけている。2.3Lターボのアクセラ健在だ！！……のだが、なんというか、BC読者の皆様、やっぱりこっちが気になりませんか！？「マツダスピードアクセラ」。初代アクセラにも設定されていた「マツダスピード」だが、2代目となる新型アクセラにも設定されており、6月11日、シリーズ全体のモデルチェンジと同時にデビューした。価格は267万8000円で、初代と比べて26万8000円価格アップしている。ボディはアクセラスポーツ、5ドアハッチバックがベースとなっているが、全長4510mm、全幅1770mm、全高1465mmと、2L NAエンジンを搭載するアクセラスポーツに対し全長が20mm長く、全幅が15mm拡大している。写真を見ていただければ一目瞭然だと思うが、標準タイプのアクセラスポーツに対してインタークーラーのエアインテークを配置したボンネットフードは大きく盛り上がり、これにつながるフロントバンパーもボリューム感が増している。また、225／40R18サイズのタイヤを納めるフロントフェンダーもワイド化されており、全長と全幅が拡大されているのだ。

搭載されるエンジンはマツダ各車に搭載され定評のある直列4気筒DOHC2.3L直噴ターボ。最高出力264ps／5500rpm、最大トルク38.7kgm／3000rpmというスペック。このエンジン、直噴ターボのメリットを活かした低中速域からの厚いトルクと、シャープなアクセルレスポンスが特徴的。FFで38.7kgmというビッグトルクを受け止めるため、低速ギア時には最大トルクを発生しないように制御したり、また、ステアリング舵角と連携したトルク制御などにより、パフォーマンスを無駄なく路面に伝えられるようにコントロールされている。もちろんトルセンLSDも標準装着されている。今どきトランスミッションは6速MTのみというのも「マツダスピード」らしい部分。おなじ2.3Lターボを搭載するMPVやCX-7では6AT仕様が存在するが、あちらはミニバンやSUVに合わせたトルク／パワー特性となっており、最高出力は245ps、最大トルクは35.7kgmに抑えられているためATとの組み合わせが可能なのだった。フルパワーを発揮するアクセラでは、ATがトルクに耐えられないため採用できなかったという。でも、インプレッサSTIでもAT仕様を出したら販売の約90％がATになったという例もあるから、やっぱりマツダスピードアクセラにもATがあったほうがいいんじゃあない！？ と思ってしまうのだが……。

インテリアは基本的な造形はベースモデルと同じだが、サポート部に本革を使用した専用ハーフレザーシートにオレンジ色に輝く専用メーターを採用し、スポーティなムードを高めているのが特徴的。スピードメーターは280km／hまで刻まれ、パフォーマンスをアピール、また、タコメーターとスピードメーターの間にはバーグラフ式のブースト計が装着されている。最近ターボ車が激減し、また、数少ないターボ車にも装着されなくなってきたため、ブースト計というのもなんか懐かしい。販売的には主力とはならないかもしれないが、いかにもマツダらしい1台だ。

2.3Lターボの「マツダスピードアクセラ」が気になるとはいうものの、本命のアクセラをきっちりとチェックしておかないわけにはいかない。新型アクセラに用意されるのは4ドアセダンと5ドアハッチバックで、エンジンはともに1.5L（111ps、14.3kgm）と2LのNA（150ps、19.0kgm）。2LエンジンはDISIと呼ばれる直噴エンジンで、マツダ独自のアイドリングストップシステム「i-stop」が組み合わされる。トランスミッションは1.5LがCVTで2 が5速ATとなる。また、2Lには4WDの設定もあるが、4WD用の2Lエンジンは直噴ではなく、i-stopも組み合わされず、ATも従前の4ATとなっている。ちなみに、2L直噴エンジン車は10・15モード燃費が16.4km／Lで燃費基準＋25％でエコカー減税75％の対象、1.5L車は10・15モード燃費が18.4km／Lで燃費基準＋15％となっており、こちらは50％のエコカー減税対象となっている。4ドア、5ドアともにエクステリアはダイナミックでスポーティなフォルムが特徴的。ボディサイズは4ドアセダンが全長4580mm（＋100mm）、全幅1755mm（＋10mm）、全高1465mm（±0mm）、5ドアハッチバックの「スポーツ」が全長4490mm（＋55mm）、全幅1755mm（＋10mm）、全高1465mm（±0mm）となる。ホイールベースは両車とも2640mmで旧型から変わらない。初代アクセラもずいぶんと幅が広いな、と感じたものだが、新型アクセラはさらにワイドに、さらにクルマ全体がボリューム感たっぷりに見える。実際に初代よりもひと回り大きくなっていることに加え、張りのあるアウターパネルの造形が、よりボリュームを感じさせるのだろう。しかし、運転席に座ってみると、視界が広く、それほどボディの大きさを意識することはなかったが、実際にはけっこう大きいので、狭い道での取り回しには要注意だ。リアシートは4ドア、5ドアともに居住性面での差異はなく、ヘッドクリアランス、ヒザスペースともに身長176cmの編集部ウメキが座って充分スペースが確保されているので、実用上居住性に不満を感じることはないだろう。インパネはスピードメーターとタコメーターが独立した2眼タイプでスポーティな印象。ブラックとシルバーでまとめられた室内は、全体的にスポーティな印象だ。また20S、20Eではフロントシートがスポーツタイプとなり、サイドサポートが大きく、ホールド性が高まっている。

価格は4ドアセダン、5ドアハッチバックともに同じで、1.5Lには1グレード、2Lには2グレード設定され、4ドア、5ドアともに2Lに4WD車が用意されるというグレード構成。全グレードともにオーディオ、カーナビ類はオプション設定となっており、フルオートエアコン、ABS、エマージェンシーシグナルシステム（急ブレーキ時にハザードランプが自動で高速点滅する）、運転席、助手席エアバッグなどが標準装備となっている。また、2LFF車にはアイドリングストップシステム（i-stop）、DSC（横滑り防止装置）が標準装備となる。2Lのベースグレード「20C」は189万円で、インサイトの最廉価グレードと同じ価格となっているのは狙いなのか！？ 15Cの価格は166万円。5ドアハッチバックのアクセラスポーツには「20S」というスポーティさを強調したグレードが用意されており、スポーツタイプのシート、205／55R16サイズのタイヤ＆アルミホイール、本革巻きステアリング、ブラックアウトメーター、サイドアンダースポイラーなどが装着されて214万円。4ドアセダンには20Sの設定はなく、上級グレードとして本革巻きステアリング、ステアリングシフトスイッチ、ブラックアウトメーター、スポーツタイプシートなどを標準装備とした20Eが用意されている。

マツダが新開発したアイドリングストップ機構が「i-stop」。世界中の各メーカーがアイドリングストップ機構を商品化しているが、トルコンATと組み合わされているのはマツダだけ。ポイントは、エンジンを自動停止させる際のピストン位置を緻密に制御している点で、再始動時に点火する予定のシリンダーのピストンを、膨張過程に入った瞬間の位置で停止させることで、再始動時にこのシリンダーに直接燃料を噴射し、セルモーターを短時間回すことで効率よく、しかも確実に再始動を実現するというもの。実際には信号待ちからの再スタート時など、ブレーキペダルの踏力をスッと抜いた瞬間に“キュル”と一瞬セルモーターが回り、ストレスなくエンジンが再始動するのだが、レスポンスタイムは0.35秒。「ビックリしましたよ。よく止まるんです。広島の本社と自宅の間をこのシステムのついたアクセラで何度か走ってみましたが、所要時間40分のうち、約3分の1はエンジンが止まっているんです」と山内社長も効果に驚くほど。10・15モード燃費は16.4km／Lで旧型の13.6km／Lから20％以上向上している。i-stopは2のFF車に全車標準装備となっている。

アクセラの1.5Lエンジン搭載車にはCVTが組み合わされている。CVTはこれまでデミオの1.3Lアトキンソンサイクルエンジンとの組み合わせはあったが、1.5Lとの組み合わせは初めて。CVTを採用したことで1.5Lの10・15モード燃費は18.4km／Lで、車重が40kg重くなっているにもかかわらず初代の18.0km／Lから向上。

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