86、BZR　4年目の熟成

【本記事は2015年3月にベストカーに掲載された記事となります。】誕生から丸3年が経過した86が、この春また進化する。今回の改良は電動パワーステアリングの特性変更やボディ剛性のさらなる強化によって、ワインディング等での走りに磨きをかけるとともに、乗り心地も向上しているという。またGT＆GTリミテッドではセンタークラスターやドアグリップに高輝度シルバーメタリック塗装を採用、高級感を演出したほか、8スピーカーや要望の多かったクルーズコントロールを装備した。これによってGTの6MT比較で2万5527円アップに抑えられており、たいへんお得な印象だ。

そのいっぽうで、エアコンはつかず、モータースポーツのベース車両という位置付けだったRCがラインアップから外れてしまった。販売比率は約1％しかなかったが、205万6909円という求めやすい価格は魅力的で、マニュアルエアコンだけつけて220万円くらいで販売してほしかった。なお、今回の改良でもアイドリングストップは装着されておらず、GTで6MT、6ATともにJC08モード燃費12.4km／Lという数字はスポーツモデルとはいえ2Lとしては物足りないと言わざるを得ない。

■“style Cb”ラインアップ　’13＆’14の東京オートサロンに出展され、発売が待たれていた“style Cb”。CbとはCool beauty、つまりクールな美しさの略だ。スタイリングといい、名前といい、女性向けのモデルかと思ってしまうが、さにあらず。ファッションセンスに敏感な男女に乗って欲しいとトヨタが言うように、こだわりを感じさせるクールなモデルに仕上がっている。ベースとなるグレードはGTで楕円形の金属調ベゼルを縁取ったオーバル型ヘッドランプを採用しているのが大きな特徴だ。そのヘッドランプに合わせて専用のフロントバンパーとフロントグリルを装着することで、全長が70mm大きくなり4310mmとなっている。実際の印象はリアビューさえ見なければ、86と別モデルのようで派生車という印象はない。また専用LEDフロントターン＆クリアランスランプ、さらにはフェンダー部に装着されたトリプルフィンのLEDイルミネーションによって夜間でもその存在感をアピールする。インテリアもアナログホワイトメーターや黒檀木目調パネルの採用で、シックにまとめられており、さすがメーカーコンプリートモデルだと納得。また外板色にオプションとなるが、アッパー部をマットブラックとした専用ラッピングやロア部にニュアンスベージュ×アッパー部にデミタスブラウンとした専用プレミアムツートンペイントも選べ、これまでの「走りの86」といったイメージとは違う、新しい世界観を作り上げている。ただし、そのぶん価格もスペシャルで6MTが418万582円、6ATが426万3055円と127万円以上の上乗せとなっている。

BRZの注目は新設定のRカスタマイズパッケージ240万8400円～富士重工のBRZも一部改良し、電動パワーステアリングの特性変更やボディ剛性がアップしたのはトヨタ86と同様だ。また廉価グレードのRAがラインアップから外れ、Rグレードをベースにしたカスタマイズ用モデル「R CustomizePackage」が新設定された。RAがエアコンレスだったのに対し、こちらはマニュアルエアコンが装着されるほか、フロアサイレンサーやトランクマットを装着する。これによってモータースポーツ以外、例えばカスタマイズのベース車両として貴重なモデルになるはずだ。またトヨタ86のGT、GTリミテッド同様、最上級グレードのSにはクルーズコントロールを装備し、高速巡航時の負担を軽減するとともに、インストルメンタルパネルスピーカー＆パワーアンプを追加した8スピーカーシステムを採用した。BRZのエキゾーストノートは悪くないが、それに負けないいい音で音楽が聞けるようになった。

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