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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.03

ホンダ新型インサイト そのすべてをとことん知りつくす

「新しい時代を築く、コンパクトカーのスタンダード」

【本記事は2009年3月にベストカーに掲載された記事となります。】ホンダのハイブリッドカーといえば、’99年9月に登場した初代インサイト(210万~218万円)、’01年12月デビューの初代シビックハイブリッド、’04年12月登場のアコードハイブリッド(北米のみで国内販売はなし)、’05年9月登場の現行型シビックハイブリッド(228万9000~285万6000円)と、これまで4モデルをラインアップ。今回の新型インサイトが5車目となる。インサイトというネーミングは初代インサイトが生産を終了した’06年7月以降“空席”となっていたが、専用ハイブリッドモデルのイメージを色濃くアピールする目的もあり、今回復活。「新しい時代を築く、コンパクトカーのスタンダード」開発責任者の関康成LPLはいう。ハイブリッドカーを“特別”なものではなく、多くの人が買えるよう、広く普及させることが大切である、との考えの基に開発されたのだ。

安さが正義。みんなが買えなきゃ意味がない!!

インサイトに設定されるグレードは3タイプ。メカニズムは全車共通で、グレードの違いは装備の差によるもの。189万円の「G」でも充分納得の装備である

インサイトに設定されるグレードは3タイプ。メカニズムは全車共通で、グレードの違いは装備の差によるもの。189万円の「G」でも充分納得の装備である

■安さが正義。みんなが買えなきゃ意味がない!!189万円。3グレードある新型インサイトのボトム価格は189万円である。とはいえ、価格の安さをアピールするための「見せグレード」ではない。189万円の「G」でもフルオートエアコン、電動格納ドアミラー、マルチインフォメーションディスプレー、エコアシスト、プライバシーガラス、イモビライザー、セキュリティアラームなどといった基本装備はしっかり付いている。カーナビは全グレードオプションとなっており、189万円の「G」は本気で買ってもらおうとしているグレードだということがよくわかる。中間グレードの「L」と比べても、ヘッドライトがディスチャージではなくハロゲンだったり、ステアリングホイールが本革巻きではなくウレタンだったり、ドアミラーウインカーが装着されていなかったりする程度の差でしかない。3グレードの価格差はそれぞれ16万円ステップとなっていて、最上級の「LS」(221万円)では16インチタイヤ&アルミホイール、VSA、CVTのマニュアルモード用パドルシフトが備わるなど、充実した装備となっているが、車重が他グレードよりも10kg重くなることと、タイヤサイズが175/65R15から185/55R16となることなどにより、10・15モード燃費が30.0km/Lから28.0km/Lにダウンしてしまっている。やっぱりインサイトは燃費を重視したいから、30.0km/Lの「G」か「L」が中心だよなぁ、と思うのだ。

ハイブリッドシステムは小型軽量化で効率を追求

全長4390mm、全幅1695mm、全高1425mm、ホイールベース2550mmがインサイトのボディサイズ。手頃なサイズで使いやすい

全長4390mm、全幅1695mm、全高1425mm、ホイールベース2550mmがインサイトのボディサイズ。手頃なサイズで使いやすい

■ハイブリッドシステムは小型軽量化で効率を追求ンサイトの魅力はパッケージングと燃費のよさに尽きる。というか、開発陣はこれを実現するためにあらゆる努力をしてきたのだ。全長4390mm、全幅1695mm、全高1425mmという5ナンバーサイズに収めた5ドアハッチバックボディは適度な大きさで、3ナンバーサイズとなったプリウスと、フォルムが似ているといわれるが、実際に両車を並べてみると、インサイトのコンパクトさが際だってくる。リアエンドのデザインは初代インサイトのイメージを踏襲している。

IMAと呼ばれるホンダ独自のハイブリッドシステム

ホンダのハイブリッドシステム

ホンダのハイブリッドシステムはIMAと呼ばれるもので、エンジンとモーターを直結したシリーズタイプに分類される。

このボディに搭載されるハイブリッドシステムは、1.3L、直4i-DSIエンジンと新開発薄型DCブラシレスモーターを組み合わせたIMAと呼ばれる初代インサイト以来の、ホンダ独自のハイブリッドシステム。トランスミッションはホンダマルチマチックと呼ばれる、ホンダ独自のCVT。最上級の「LS」には7速マニュアルモードも備えられている。基本はシビックハイブリッドに搭載されるシステムを踏襲するが、システム全体の小型化、軽量化が図られているのがポイント。

バッテリーとパワーコントロールユニットを統合

新型インサイトのハイブリッドシステムを覗き込むとこんな感じ。エンジンに直結したモーターがCVTを介して前輪を駆動。バッテリーとコントロールユニットは一体化されてリアシート後方、荷室下にコンパクトに収納

新型インサイトのハイブリッドシステムを覗き込むとこんな感じ。エンジンに直結したモーターがCVTを介して前輪を駆動。バッテリーとコントロールユニットは一体化されてリアシート後方、荷室下にコンパクトに収納

特に室内で大きなスペースを必要とするバッテリーとパワーコントロールユニット(ハイブリッドの心臓部)を統合し、リア荷室下に効率的に収納しているのがポイント。シビックハイブリッドに対して容積で19%、重量では28%の小型軽量化を果たし、荷室スペースの拡大に大きく貢献している。リアシートに関しては、バッテリー搭載によるスペースの犠牲はまったく影響していない。

エンジン

エンジンはシビックハイブリッドにも搭載される直4、1.3Lのi-DSI。3ステージVTECは省略されているが、全気筒休止はもちろん採用される

エンジンはシビックハイブリッドにも搭載される直4、1.3Lのi-DSI。3ステージVTECは省略されているが、全気筒休止はもちろん採用される

エンジンはシビックハイブリッドにも搭載される直4、1.3Lのi-DSIエンジンだが、シビック用では3ステージVTECだったものから高速カムを省略した2ステージタイプ。これにより、最高出力はシビックハイブリッドの94psから88psにダウンしているが、最大トルクは12.3kgmで変更なし。全気筒休止モードは備わっており、減速時や低速巡航時などにエンジンを空回りさせ、一定の条件下ではモーターのみでの走行を可能としているのはシビック同様だ。

モーター

エンジン&モーター

エンジン&モーター

モーターはクランクシャフト直結タイプだから本当の意味でのモーター単独での走行はなし。あくまでもエンジン主体でモーターはアシストというのがホンダの主義。このモーターはシビック用に対して20%も薄型化を果たしているが、バッテリー電圧が144Vから100Vに低くなったため、出力は20ps→14ps、トルクは10.5kgm→8.0kgmとそれぞれ低下。システム出力も110psから98psへと低下しているが、車重の低減(インサイト=1190kg、シビックハイブリッド=1260kg)の効果で動力性能的にも燃費面でもシビックハイブリッドよりも勝っているという。システムトルクは17.0kgmでシビックハイブリッドと同じである。シビックハイブリッドの10・15モード燃費は「MBX」グレードのみ31.0km/Lで量販グレードの「MX」は28.5km/Lとなるが、インサイトは量販グレードでも30.0km/Lなので、実質的にはインサイトのほうが燃費がいいと判断してよかろう。

Q&Aでインサイトを知る

あくまでエンジン主体、モーターはアシストに徹する

あくまでエンジン主体、モーターはアシストに徹する

Q&Aでインサイトを知る ECONモードで省燃費ドライブをクルマが積極的に支援Qモーターでの単独走行はないの!?Aありません。ホンダのハイブリッドシステムは、エンジンのクランクシャフトとモーターが直結している構造のため、プリウスのようにエンジンと機械的に切り離れたモーターが単独で駆動することはない。が、減速時や低速巡航時にはVTECの作動によりエンジンのすべてのバルブを停止させ、全気筒休止状態として、モーターのみでの走行モードを実現している。ただし、この状態では、モーターは空回りするエンジンを引きずることになる。Qシビックハイブリッドよりもエンジンパワーもモーター出力もダウンしているけど!?A前ページの本文中でも触れているとおり、エンジンの最高出力は6ps、モーターの最高出力も6psそれぞれシビックハイブリッドから低下している。エンジンは3ステージVTECを省略し、高回転の出力をカットしたためで、また、モーターはバッテリー電圧を144Vから100Vにしたため。バッテリー電圧の低下は、バッテリーのサイズを小型化するためと、費用を抑えるためにセルの数を減らしたためで、車両トータルでのスペース効率と動力性能、燃費効率、そして価格などのバランスをベストにするため。車重は1190kgに抑えられており、動力性能、燃費ともにシビックハイブリッドと同等か、それ以上の性能である。

エコ運転を支援するシステムが備わっているというけど!?

インパネ右側に配置された緑色のスイッチがECONモードスイッチ。エンジン、CVTなどの統合制御で、より省燃費を重視した制御となる

インパネ右側に配置された緑色のスイッチがECONモードスイッチ。エンジン、CVTなどの統合制御で、より省燃費を重視した制御となる

Qエコ運転を支援するシステムが備わっているというけど!?Aインパネ右側の「ECON」と書かれた緑色のボタンを押すと、より燃費を重視した制御モードに切り替わる。具体的には、・ アイドリングストップ領域の拡大・エアコンの省エネ制御・パーシャル領域でのスロットル開度の制限・アクセル操作に対するスロットル応答性の抑制(ラフなアクセル操作をスロットルに伝えないことで燃費を向上)・CVTのキックダウン制御特性の変更・減速回生量増加など。ECONモード中でも、急加速で危険を回避するような場合を想定し、ドライバーがアクセルペダルを床まで踏み込んだような時には制御は解除。また、インサイトには、ドライバーの意識をよりエコ運転にシフトしてもらうために、コーチング機能とティーチング機能を搭載。スピードメーターの背景色をエコ運転度に応じてグリーン→ブルーグリーン→ブルーと変化させることで、瞬間瞬間の運転状況をドライバーに知らせるとともに、瞬間燃費計で燃費を掲示。さらに、メーターパネル内の「ecoガイド」画面では葉っぱのアイコンで燃費運転を採点。運転終了後には成績を表示し、今後のエコ運転への意欲と励みを刺激。ゲーム感覚でエコドライブのスキルアップを果たせる、という寸法だ。さらにオプションのカーナビを装着すると、画面上でエコドライブのコツをアドバイスする機能まで備えており、「エコドライブ=楽しいもの」という意識をドライバーが持てるようになる。10・15モードも大切だが、実燃費をどれだけよくできるかが新型インサイトの狙い。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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