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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04
今度のキューブはおおらかな魅力で勝負
新型への変化は川の流れに洗われ

キューブの進化、純化はまさに川を流れる小石のよう。特に先代から新型への変化は川の流れに洗われ無駄なものがそげ落ち、よりシンプルになり、いい手触りの丸みを帯びたように感じる
【本記事は2008年12月にベストカーに掲載された記事となります。】「キューブ」というモデルが自動車史に登場したのは’98年2月のこと。’02年10月には2代目にスイッチし、車名から連想されるとおり直線基調のボディが与えられ、さらにボディサイドのデザインが運転席側と助手席側で異なるという斬新なデザインで、大ヒットを記録した。そして、まさにこの号の発売日である11月26日本日、3代目キューブが発売となった。というわけで、その3代目の魅力に詳しく迫っていきたい。
キープコンセプトながら、見慣れた感を与えない外観

新型は「ライダー」もイケるんです 初代から設定されている「ライダー」は、当然新型にも設定される。特徴は全長が延長される専用フロントバンパー&リアバンパー、専用グリルなど。そのほか16インチ専用アルミホイールや、HKS製の専用マフラーなども装着される。価格は15Xが187万9500円。15X-FOURが210万7350円だ。
その3代目、パッと見には「2代目と変わらないな」と思われるかもしれない。確かに運転席側と助手席側で異なるボディサイドのデザインなどには、2代目の影響を色濃く感じられる。だがそう感じた方はぜひ実車を見ていただきたい。先代比で160mm伸びた3890mmという全長、1695mmまで拡大された(先代比+25mm)全幅のみならず、全体に丸みを帯びたデザインとされたことにより、先代に比べいい意味で緩やかな印象を受けるのだ。新型を見た後だと先代は「せせこましい」とさえ思ってしまうほど。とにかく意外なほど新鮮に見えるのだ。このエクステリアデザインを担当したのは、ベトナム生まれのカリフォルニア育ちというサース・ジョン氏。「今度のキューブのデザインは、進化よりもむしろ純化を意識しました。キューブが持つDNAは残し、さらに普遍性を持つものに仕上げています」という。先代のデザインアイコンを残しつつ、新しいものを作ることに苦労もあったというが、その甲斐あって、新型は先代に似ているけれども新鮮、という相反する要素を見事に両立させているといえるだろう。
パワートレーンは全車1.5Lエンジン+CVTを採用

HR15DEエンジン。出力は109ps/6000rpm、15.1kgm/4400rpmと先代と同じ
搭載エンジンは先代にあった1.4Lエンジンを廃止し、全車1.5Lを採用。組み合わされるミッションも全車エクストロニックCVTとなった。新制御プログラムであるアダプティブシフトコントロールが追加されたことにより、0~100km/h加速は先代に比べ0.5秒短縮。燃費もエンジンとミッションを綿密に協調制御させるなどにより、JC08モードで1.8km/Lも向上されているという。エクステリアそして燃費、今度の新型はやはり魅力充分と判断していいでしょう。室内だって大幅に快適に、上質になっているんです(先代比)新型キューブの外観デザインの純化については、前ページまでで触れたが、外観の次に気になるのはやはり内装だろう。そこでこちらでは機能性などを中心に紹介していきたい。
曲線基調に生まれ変わった新しいインパネデザイン

新型
写真を見ていただければわかるが、先代はナビの収まるコンソール部、およびグローブボックス部のデザインは、外観イメージとの整合性を考えたのだろうが、かなり直線を基調としたものになっている。いっぽうの新型は一転して随所に曲線を多用。外観同様、いい意味での緩やかさが感じられ、視覚的にもリラックスできる雰囲気になっている。先代も「マイルーム」というキャッチで、リラックス空間を謳っていたが、新型はよりリラックスという言葉にふさわしい空間を演出しているといえるだろう。ユニークなのはメーター類が収まるポッドが、独立して設置されていること。このポッドとステアリングなどを外せば、運転席側も助手席側も同じような形状になる。これは新型が左ハンドル圏内での販売も行なうことを意味しているわけだが、そのために生まれた助手席側エアバッグ下のスペースがいい感じにデザイン上のアクセントとなっている。
ソファを思わせる座り心地がさらに進化。ナイスなシート

内装ではシート地およびフィニッシャーが専用装備とされている
くどいようだが先代モデルも快適を謳っていただけに、シートの座り心地はかなりのものがあったわけだが、新型はさらに磨きがかかっている。具体的な数値としては、フロントシートの厚みの増加(最大40mm)、リアシートの座面長50mm延長、前後シートのシートバック高アップなどだが、それ以外にもフロントシートの座面部に「Sバネ構造」を取り入れ、質感のあるクッション性を実現している。また、後席乗員にとって座り心地と並んで重要となるのが、膝下の余裕だが、これも240mmというスライド量のおかげもあり、写真のように膝を組んでも余裕で座ることができる。先代でも余裕を感じたヘッドクリアランスは、前席で+20mm、後席でも+10mm増やされており、圧迫感は皆無。後席着座位置を前席より若干上げたシートレイアウトなどもあり、どの席に座っても居住性は充分以上と感じさせてくれた。
総合判定は? 新型は先代よりもどれくらい上なのか?
さて一見すると先代ソックリと思われがちなため、先代モデルと比較して新型の進化、および純化具合を検証してきたのだが、そろそろ結論に入りたい。まず、外観&内装の新鮮さだが、これは充分評価できる。外観、内装のいずれにも大らかさが感じられ、視覚からくるリラックス度は先代を間違いなく超えている。室内の快適性に関しても同様。厚みを増したフロントシートや、座面長の伸ばされたリアシートなどの改良の効果は大きく、座り心地は先代を大きく超えている。先代ではできたフルフラットができないというのはあるが、通常時の快適性は、おおいに評価していいだろう。ラゲッジの使いやすさなどのユーティリティは、シートの快適性を重視しすぎたのか、スライド以外にダブルフォールディングなどのアレンジでラゲッジスペースを拡大することはできないなど、やや先代が有利と思われる点もあるが、実質不便と感じる場面は少ないだろう。外観および内装デザインの新鮮さ、そして非常に快適な居住性。さらに今回は試せなかったが走行性能も底上げされているという新型キューブ。オシャレで使えるコンパクトをお探しのアナタは、ぜひチェックしていただきたい。
新型は「ライダー」もイケるんです

主要諸元
初代から設定されている「ライダー」は、当然新型にも設定される。特徴は全長が延長される専用フロントバンパー&リアバンパー、専用グリルなど。そのほか16インチ専用アルミホイールや、HKS製の専用マフラーなども装着される。価格は15Xが187万9500円。15X-FOURが210万7350円だ。