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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04
全高1660mm、レガシィに似ててもちょっと違うエクシーガ 乗ってどうだ!? 使ってどうだ!?

レガシィよりも50mm背の高いアウトバックと比べてもこのとおり、エクシーガの背の高さがおわかりいただけるだろう
【本記事は2008年8月にベストカーに掲載された記事となります。】スバルが満を持して投入した7人乗り多人数乗車ミニバン「エクシーガ」。見た目にはレガシィツーリングワゴンなんだけど、さて、使い勝手はどうなんだ!? 走りはいかがなもんでしょう!? 気になる部分はいろいろあるだろう。
レガシィを2回り大きくしたエクシーガ

レガシィよりも50mm背の高いアウトバックと比べてもこのとおり、エクシーガの背の高さがおわかりいただけるだろう
「レガシィに似ていると思っていただけたなら、大成功です」エクシーガの開発責任者の大雲弘哉プロジェクトゼネラルマネージャー(PGM)は“してやったり”といった表情を浮かべる。「スバルが作る以上、多人数乗車モデルといっても運転の楽しさ、スバルらしい走りをお客さんに味わってもらわなくてはならないと考えています」と大雲PGM。ただ、現在、ミニバンが販売の主流だとはいっても売れているのはセレナ、ノア/ヴォクシー、ステップワゴンに代表されるBOX型ミニバン。正直、ヒンジドアで背が低い乗用タイプミニバンは販売的に苦戦を強いられている。5月の販売台数を見てもオデッセイが1246台、ウィッシュが2723台、ストリームが3287台だ。「たしかにおっしゃるとおりです。スライドドアのメリットは大きいですし、スライドドアを求めるユーザーも多いということはわかっています。ですが、全体のバランスでの判断、ということですね。スライドドアにすると2列目、3列目の室内幅がどうしても狭くなってしまいます。また重量も重くなる。エクシーガではそうなることを避けたかったということです」と富士重工の森郁夫社長は言う。エクシーガのボディサイズは全長4740mm、全幅1775mm、全高1660mm。レガシィツーリングワゴンと比べると全長が60mm長く、全幅が45mm広く、全高が190mmも高い。ホイールベースは2750mmで80mm長くなっている。遠くからエクシーガをパッと見ると、「おおっ、レガシィだ」と思うんだけど、いざ乗り込もうと思って近くによると「あらら、でっかいぞぉ!!」となる。写真で見るよりも圧倒的にボリューム感ありますから、エクシーガ。ちょいとアウトバックと並べてみたけど、大きさの差が実感いただけるだろう。明らかに大きい。全高1660mmというのはダテではなく、オデッセイよりも110mmも高くて乗用タイプミニバンとしては異例な高さともいえるのだ。
見た目よりもグンと広い室内空間!!

ミニパンらしさをまったく感じさせないインパネ。運転席に座っていると、「このクルマはレガシィだ」と思っちゃう。フロアシフトでウォークスルーはできない
リアドアを開けて室内へ入ってみる。3列目へのアクセスは2列目シートの背もたれのレバーを操作することでワンアクションで前倒&スライドするので簡単。さすがにBOXタイプと比べるとドア開口部の高さが低く、開口部のサイズも小さいので、やや「よっこらしょ」と乗り込む感じになるけれど、座ってしまえば3列目シートはビックリするほどスペースに余裕があって快適。座面の前後長がタップリあるので着座感がいい。シートバックの高さがやや足りないのが不満といえば不満だが、シートバックのクッション厚は充分あって座り心地がいい。2列目シートを最後端から2ノッチほど前に出せば(この状態でも2列目は膝スペースに余裕あり)膝が当たることはないし、靴もちゃんと2列目シート下に収まるし、ヘッドクリアランスもコブシ1つぶんあるので大人が座ってロングドライブしても充分大丈夫。実用性充分の3列目シートと断言できる。また、1列目から3列目にかけて座面高を70mmずつ高くしているので(3列目は1列目より140mm高い)前面展望が確保され、開放感を味わえるのもポイント。3列目に座っても「狭苦しいところに押し込められたぜ」といった感覚に押しつぶされることはない。思いのほか広い室内だ。
走りはちょっと重たいレガシィツーリングワゴン

エクシーガの魅力のポイントのひとつに質感の高い乗り心地がある。フォレスターでも乗り心地のよさを感じたのだが、エクシーガもゴツゴツした路面からの入力をスムーズにいなして上質な乗り心地を感じられる。プラットフォームの完成度の高さを感じる
エクシーガに用意されるエンジンは水平対向4気筒2L(EJ20型)のターボ(225ps/33.2kgm)とNA(148ps/19.5kgm)の2タイプ。ターボは4WDのみの設定となっているが、NAには4WDのほかにFFの設定もあるのがポイント。200万円を切るエントリー価格を実現するためにはFFの設定が不可欠だったし、幅広いユーザーニーズに応えるためにもFFの設定は不可避だったということだ。走り出せばターボもNAも極めて乗用車っぽいフットワークで、こいつが3列シートの多人数乗車カーであることを忘れさせてくれる。レガシィにも似たインパネの雰囲気もあって、運転しているうちに「いま運転しているのはレガシィツーリングワゴンだ」という気分になってくる。が、そう思いこんじゃうと「ちょっと後ろが重たいぞ」、「ステアレスポンスに一瞬のタイムラグがあるんだよなぁ」とレガシィツーリングワゴンとの違いを意識し始めちゃう。そりゃあそうだ。レガシィよりもホイールベースが80mmも長くて車重だって110kg重たい。車高も190mm高くて当然重心だって高くなっている。むしろよくぞここまで乗用車ライクなハンドリングを作り上げたな、と感心すべき。レガシィツーリングワゴンのフットワーク、ハンドリング性能は非常に優れていて、そのレガシィを比較対象にすれば、どうしても「厳しい評価」となっちゃうワケ。普通に乗用車として評価すれば、エクシーガのハンドリング性能はむしろ高性能の部類だし、3列シート乗用ミニバンとして評価すれば、全高1550mmのオデッセイと双璧といってもいいダイナミック性能を持っている。いや、オデッセイよりも素直なハンドリングといってもいい。ただ、FFに関しては少々ツメが甘かったかな、と感じる場面もあった。ちょっと前輪の接地感が不足するように感じる部分があり、濡れた路面でコーナーからの立ち上がりでアクセルを踏み込んでいくと、思いのほか早いタイミングでホイールスピンを発生してしまうのだ。もちろん、だからといって挙動を乱したり危険な状況になるということはないのだが、アクセルを踏み込めないのはちょっとストレス。久々の2L FFなのでこなれていない感じ。4WD車がいかにもスバルらしいトラクション性能とスタビリティの高さを感じさせてくれるだけに気になったということもある。しかし、なんといっても199万5000円という価格はFFの設定なしには実現しなかったこと。4WDに強いこだわりを持つスバルだが、2L FFを久しぶりに採用したことには大きな拍手を送りたい。
CHECK POINT 月販目標は2300台は強気か弱気か? 富士重工業直撃質問!! 一問一答そして売れゆきは?

エクシーガについて、富士重工業の森郁夫社長に直撃インタビューをした。BC「かなり頑張った価格だと思うのですが!?」森社長「ええ、頑張りました!! 200万円を切る価格から設定するというのがポイントです。」BC「スバルの2車としては久々のFFですが」森社長「レガシィとかインプレッサだと4WDということになるんですが、エクシーガのようなクルマだとFFもあったほうがいいだろう、ということです。当然、価格設定との兼ね合いという部分もあります。あとは燃費です。」BC「いわゆる乗用タイプと呼ばれる、リアドアがヒンジタイプのミニバンはいま、あまり販売的にいい状態ではありませんが」森社長「スライドドアに対するニーズは認識していますが、全体に対するバランスの問題です。室内の広さを確保したいということと、重量ですね。それらを考えると必ずしもスライドドアでなくてもいける、と考えました」BC「販売目標2300台というのはいかがでしょう!?」森社長「もっと売れますかね!? まずは目標をクリアするためにキッチリ売っていきます」