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更新日:2018.11.14 / 掲載日:2017.12.04

13代目クラウン、初試乗。気持ちいい走りと乗り心地に感動!

13代目クラウンは変わった……クルマ通が触れたクラウンの変化。

クルマ好きに人気を呼びそうなスポーツグレードのアスリートはこんな顔。メッシュグリルが精悍です!

クルマ好きに人気を呼びそうなスポーツグレードのアスリートはこんな顔。メッシュグリルが精悍です!

【本記事は2008年4月にベストカーに掲載された記事となります。】いやいや驚く! 新型クラウンのセールスポイントは数々の電子制御モノだと思っていたけれど、そうじゃありませんでした。後述するとおり電子制御についちゃ、むしろ「発展途上にある」という感じ。意外なことにクルマそのものが「突然変異したのか?」みたいによくなっているのだ。足回りの考え方など、今までの「トヨタ流」から180度変換させてきたのである。以下、少し長くなるけれど、キッチリ紹介したい。トヨタ車の乗り心地、クルマ通からすれば大いにもの足りなかった。良好な路面こそ静かで滑らかながら、ザラついた舗装区間に行けば極端に騒音レベルが高まり、路面の継ぎ目を通過すると「どしゃん」という予想より大きい振動を感じさせる。スポーティグレードを選ぼうものなら、荒れた路面を探す探査装置に乗ってるんじゃないかと思うほど。そいつの象徴が先代クラウンと同じシャシーを使うレクサスGSやISだった。なぜか? 何度も書いてきたとおり、ショックアブソーバの動きが渋いからだ。大昔の日本のショックアブソーバは、滑らかに動かなかったんだろう。そこでトヨタは路面からの入力を「ブッシュ」と呼ばれるゴムで吸収しようとした。これなら動きの渋いショックアブソーバでもOK。むしろショックアブソーバが中途半端に動いてしまうと、ブッシュを上手に使えない。トヨタの実験担当の人と何度も話をし「なんで初期の動きのいいショックアブソーバを使わないのか?」と聞いた。そのたびに「ブッシュで対応したほうがいいと考えている」。世界の流れとまったく違っていたのだ。

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クラウンの開発思想が13代目にして180度変わった!

もちろん、先代のゼロクラウンも、従来の足回りの考え方に心酔していた古い考え方を持つチーフエンジニアの作だ。しかし13代目クラウンを任された寺師茂樹チーフエンジニアは、最初から「こらショックアブソーバがダメ。なんでこんなに動かないのか?」と感じたそうな。すぐさまKYBにフリクションの少ないショックアブソーバを作るよう要求を出す。ところがなかなか期待値に届かず。寺師チーフエンジニアは荒療治を選ぶ。後輪駆動車用ショックアブソーバの生産ラインを持つ日立(旧トキコ)を使ってみたら、凄くよかったそうな。そらそうだ。当時の日立、スカイラインを開発していた日産の厳しいリクエストに応え、滑らかに動く良質の製品を作れるようになってきていた。「これだ」とばかり日立に標準仕様のショックアブソーバをオーダー。以後、日立の「性能」をKYBに要求していく。参考までに書いておくと、日立のショックアブソーバ、純正ナビの付いていないグレードにのみ採用されてます(ナビ付きはKYBの可変ショック仕様になる)。つまりロイヤルサルーンの2.5Lベーシックグレードだけ、ということ。日立、当て馬みたいで少し可哀想ですね……。今回は試乗できなかったけれど、いい味を出しているそうな。閑話休題。「キチンと動くショックアブソーバを使うようになったため、足回りからエンジンマウントに至るまで全面的な見直しになりました」(実験担当の技術者)。動かないショックアブソーバのカバーをすべくグニャグニャだったブッシュをカッチリさせたら、トヨタ車の課題だった「センター付近のステアリングインフォメーション」が圧倒的に向上したという。もちろん乗り心地の質感はゼロクラウンと比べる気にもならないレベルになった。

エンジンも感動するくらいに気持ちいい!

レーンキーピングアシストは高速道路や自動車専用道でのクルーズコントロール走行時に車線維持をサポート。今回のような雨天での走行は苦手とする

レーンキーピングアシストは高速道路や自動車専用道でのクルーズコントロール走行時に車線維持をサポート。今回のような雨天での走行は苦手とする

足回りの変更は試乗前の車両解説じゃ「乗り心地を改善しました」程度の軽い扱い。だから劇的な変化があったことを知らずに乗ったワケであります。100m走って「ありゃりゃ?」1km走ると「どうなってるの?」さまざまな路面で30分乗った後、試乗会場に戻る。「すいませんけれどお聞きしたいことが山ほどあるので足回りのエンジニアの方、いらっしゃいますか?」以後、夕食を挟み多数の開発担当者から深夜までかかって聞いたのが上記の内容。最後の質問として「今までクラウンを作ってきた人から抵抗されませんでしたか?」と聞いてみたら「今でもチクチクきます。とはいえ岡本副社長が絶賛してくれていますので、まったく気にしていません。おそらく今後トヨタ車は変わっていくと思います」新型クラウンのよさは、5分もハンドルを握れば誰にでもわかると思う。何より今までのトヨタ&レクサスとまったく違うレベルの「乗り心地の質感」を持つ。どんな路面状況でも乗り心地や路面騒音が変わらず、トヨタ車の弱点だった「中程度の入力」も余裕でいなす。目の前に大きめのギャップがあったとする。そいつを乗り越える際、今までのトヨタ車に慣れていると拍子抜けするくらいの小さい入力しかないのだ。ショックアブソーバが動くようになったため、2.5Lと3Lはエンジンマウントの減衰力を30%以上硬くできたそうな。2.5Lで全開加速してみたら「これがトヨタのエンジンか?」と感動するくらい気持ちいい音と振動でレッドゾーンに飛び込んでいく。絶対的な動力性能も、2.5Lで充分すぎるほど。3.5Lのアスリートになると、使いきれないほど。強いて改良してほしい点を挙げるなら、ハンドルからチカラを抜き気味にした時の直進性と、少し大きめの入力を受けた時の減衰力(現状だと突っ張り気味です)、そしてロイヤルサルーンの木目調パネルの質感くらい。いずれも「認識しています」というので、遠くない将来、いちだんといいクルマに仕上がることだろう。お薦めは2.5Lのベースグレード(374万円)。10年乗るつもりでどうぞ!

ロイヤルとアスリートはどこが違う

新型も旧型同様、ロイヤルサルーンとアスリートのふたつが用意される。アスリートはフロントバンパー&グリルがロイヤルよりもスポーティなデザインとなっているほか、タイヤもロイヤルの17インチに対して、アスリートは18インチを履く。エンジンは2.5Lは共通で、上級グレードはロイヤルが3L(256ps)、アスリートは3.5L(315ps)が設定される。トランスミッションは両車ともに6速ATで同じ。国沢光宏氏による両車の走りの違いの印象は以下のとおり。「ロイヤルとアスリートは同じような味つけの固さ違い。ロイヤルはベンツEクラスのような快適性重視で、アスリートはBMW5シリーズ風にスポーティ。強いていえば、リアシートに人を乗せる機会が多ければロイヤル、自分で乗ることが多い人にはアスリートを薦めます」装備関係はほぼ同じだが、アスリートにはギア比可変ステアリングのVGRSが付くのが特徴(一部を除く)。価格は2.5Lベーシックグレードでロイヤルが368万円、アスリートが374万円。上級グレードではロイヤルサルーン3.0が458万円、アスリート3.5が487万円という価格差となっている。

ハイブリッドは5月発売

11代目1999~2003年:3L D-4エンジン搭載。アスリート、マイルドハイブリッド誕生

11代目1999~2003年:3L D-4エンジン搭載。アスリート、マイルドハイブリッド誕生

発表は同時だったが、発売は5月からとなるハイブリッドの価格は595万~619万円。レクサスGS450hと同様のFR用V6、3.5L+モーターのハイブリッドシステムを搭載するが、GS450hよりもパワーを若干落とし、燃費を向上させているのがポイント。システム出力は345、10・15モード燃費は15.8km/Lとなる。パワーを落としたといっても怒濤の加速力は健在。0~100km/h加速は6秒2という俊足を誇る(GS450hは5秒6)。エクステリアはフロントとリアが専用デザインとなっており、インテリアも専用のファイングラフィックメーターが設定される。また、新たに歩行者検知機能が追加されたナイトビューシステムはハイブリッドだけの装備だ。なお車重は1840kgでアスリート3.5に対し190kg増。

13代目クラウンの新装備を試す

クラウンに採用されている数々の新装備、けっこう誤解されているように思う。例えば「居眠り感知機能付きプリクラ」。これ、居眠りしたら警告を出してくれると考えられているようだけれど、そうじゃない。先行車に追突するイキオイで迫った時の居眠りを検知。見てなかったら「気をつけろ!」と警告するというもの。したがって普段の居眠り運転は防止できません。もちろん試乗中に試すなんてことなど不可能。ナビゲーションと連動し、一時停止の交差点の前で注意喚起してくれるというシステムも、試乗会場の近所にある交差点を探しまくり試したが稼働せず。戻って聞いてみたら「現在は東京23区内など限られた場所のみです」。改めてカタログを見たら、小さく書いてありました。加えて試乗日のような雨の日はバックカメラの視界に問題を抱えてしまうため、稼働しないケースも多いそうな。普及まで数年かかりそう。中程度の効能を期待できそうなのが、ナビと連動したAVS(可変ショックアブソーバ)と進化型自動バック装置。AVSはナビ情報からコーナーの有無を認知。手前で減衰力を高めるというもの。加えてGPSによる位置確認システムを使い路面のデコボコを記憶(高速道路に限る)。次に通過する際、挙動を抑え込むというお利口なシステムである。残念ながら今回の試乗コースではハッキリと認識できず。自動バック装置は超音波センサーを使うことにより、アプローチ段階からアシストしてくれるようになった。左バック駐車なら、アプローチの際、「ポン」という音に従って右にハンドル切り、「ポンポン」で停止すれば、青い駐車誘導可能表示がバッチリ出る。私のプリウスから比べると、飛躍的に使いやすくなってます。絶賛したいのが富士通テン製となる18スピーカーのオーディオ。鳴らしてびつくり! マークレビンソンの10倍くらいよいじゃありませんか! キッチリ音を出すし、ボリュームだって満足。これが8万9250円なら、マークレビンソンは2万5000円くらいでいい感じ。装着できるグレードを買うなら、ぜひとも薦めたい。

無謀な挑戦だなんて、とんでもない レクサスLS460と真剣に比べてみると?

新型クラウンに乗って「レクサスをどうする?」と思った。これまでレクサスの開発陣に新型クラウンのようなクルマを作るよう、さんざん言ったし書いてきてます。同じ思いの技術者も少なくなかったのですけど……。美味しい料理と一緒で、いいクルマは誰にでもわかる。乗り比べればクラウンのほうが明確に勝っていると皆さん感じるに違いない。実際、トヨタの幹部も副社長をはじめクラウンを絶賛しているという。いずれにしろISとGSについちゃ「非常に厳しい!」と評価するしかあるまい。GSとクラウンの3.5Lを乗り比べると、150万円くらいクラウンのほうが高いクルマに感じる。実際は同じ装備内容なら150万円程度安いから、いってこいで300万円分のお買い得。レクサスにマークレビンソンまで付ければ、これまた金額差つく。リセールバリューまで考えたってクラウン圧勝であります。ISになると、もう何もコメントできない。日産が育てた日立のショックアブソーバ付きクラウン2.5Lベーシックグレードに後付けのナビを付けてもIS250(トヨタが育てた日立のショックアブソーバ付き)と同じくらいの価格。並べても乗り比べても、小国沢光宏とトヨタの大渡辺社長くらいの激しい開きを(もういろんな意味で、ということです)感じるハズ。さてLS460である! 私の家を担当しているトヨペット店の営業マンによれば「セルシオに乗っているお客様の次のおクルマで悩んでいます。マジェスタに乗っていただいたんですが皆さん厳しいです。LS460ですか? ウチはレクサス店もやってますので私の口からはなんとも……」。実際、セルシオの代替えで迷っている人は少なくないようだ。クラウンならどうだろう?実はセルシオの少なくない割合の個人オーナーが高齢化しており、ボディサイズを持て余し気味となっている。セルシオよりひと回り大きいLS460になると、もっと厳しい。クラウンのハンドルを握り「これならいいか」となる可能性は充分考えられる。すでにそういった動きも出ているそうな。細部の仕上がりで圧倒するLS460ながら、オーナードライバーからすればクラウンのほうが乗って快適だと思う。遠くない将来、LS460の強敵になりそうなモデルの追加だってあります。新型クラウンと同じ方向性でセッティングされた乗り味を持つマジェスタと、クラウンのハイブリッドだ。価格的にもセルシオから乗り換えるモデルとしちゃピッタリ。さすがにLS460のユーザーがマジェスタなどに乗り換えることなどないだろう。しかし、セルシオのユーザーからすれば、クラウンへの乗り換えは大いに魅力的かと。

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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