マツダスピードアクセラの264ps、38.8kgmの実力　こいつは凄いことになるゾ！　アテンザと同じエンジンでもこんなに違う！

【本記事は2006年7月にベストカーに掲載された記事となります。】WRCには『WRカー』で競うトップカテゴリーのほか、4WDを使うグループNの『PCWRC』とFFの『JWRC』が存在する。この2つのカテゴリーのパワーウエイトレシオは、いずれも5kg／ps。興味深いことにほとんど同じような速さなのだ。強いて言えば荒れた路面で4WDが速く、ターマックに代表される良路じゃFF優勢。つまり「高い完成度を持つFF」であれば、4WDに負けない速さを持つのだ。しかし！ これまでFFのハイパワーバージョンというと、ホンダ車に代表される限界を追求したサーキット志向のモデルばかり。「振り回して楽しい」クルマはありませんでした。JWRCのラリーカーを見ると、コーナーの進入でキッチリとタックイン決め、楽しそうにテール流して走ってる。ラリーカーのようなFFスポーティモデルが出てくれば、新しい世界を見せてくれるんじゃなかろうか。果たしてマツダスピードアクセラ（以下アクセラMPSと略します）はいかに？ おおいに期待できるのがマツダというメーカーのDNAである。アテンザMPSに乗って驚いたのは、楽しく曲がること。4WDだからフロント重く強いアンダーステアだと思いきや、荷重移動で自由にテールの流れをコントロールできるのだ。これ、アテンザMPSだけでなくすべてのマツダ車に当てはまること。マツダって昔からテールの流れに寛容だった。私がテール流して走ることの楽しさを知ったのも、初代RX-7でしたから。マツダのDNAをしっかり引き継いでいてくれれば、アクセラMPSはホンダのFFと対照的な「一般道で存分に楽しめるスポーティモデル」になっている可能性大。

さて、ここで気になるのが、264ps／38.8kgmというFFとしちゃ「ホントかよ！」のパワー＆トルク。なんせインプレッサやランエボに匹敵するトルクなのだ。おそらくアクセル全開したら、スタートから大ホイールスピン大会必至。実はアクセラMPSにかぎりなく近いスポーツモデルが先日日本でも発表された。フォードフォーカスSTである。ご存じのとおりアクセラとフォーカスは兄弟車。ホイールベースまで同じ。STはフォーカスにボルボ製の2.5Lターボを搭載。最高出力225ps、最大トルクも32.6kgmと太い！ アクセラMPSがフォーカスSTにかなり近い雰囲気を持っているだろうことは想像できる。果たしてフォーカスSTってどんなクルマか？ さっそく試乗してみましたね！ 結論から書くと「めちゃパワフル！」。アクセルを積極的に踏み込んでスタートしようものなら、ESP（スタビリティコントロール）が効きっぱなし！ ずっと制御中のランプ点いてるじゃないの！しかも1600回転で最大トルクが出る。コーナーの立ち上がりなどアクセル踏めば即座にESP稼働。前輪のグリップ能力とエンジン出力のバランスからすれば、完全にオーバースペックなんだと思う。それじゃ、とESPをカットしてみたら、いやいやジャジャ馬のお手本みたいなもの！ 丁寧なアクセルコントロールをしないと、さすがの18インチホイールもまったくグリップせず。ただフォーカスのシャシーは高いポテンシャルを持つ。キッチリとアクセルコントロールしてやれば、予想外に曲がってくれます。コーナーへの進入も荷重移動するとアンダーを消すことが可能。日本人にとっちゃ長い間FFスポーツのスタンダードだったホンダとまったく違う味つけ。さすがWRCの雄、フォードだけあると感心しきり。気がつくと左足ブレーキなんか使って遊んじゃってました。

アクセラMPSは、フォーカスSTより40kg軽くてパワフル。一段とジャジャ馬に仕上がっていることだろう。けれどフォーカスSTと同じく、アクセルコントロールさえキチンとマスターすれば乗りこなせると思う（速く走ろうとすれば左足ブレーキをマスターしなくちゃダメ！）。何より嬉しいのは4WDターボ車より圧倒的にフレンドリーな価格。DSCやLSD、18インチタイヤ付きで241万円なのだ。安いぞ！

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