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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06

世界のトヨタ カムリの走りっぷり

カムリは恋人というより長年連れ添うカミサン的存在のクルマ

【本記事は2006年3月にベストカーに掲載された記事となります。】カムリは恋人というより長年連れ添うカミサン的存在のクルマ日本では少々影の薄いカムリだが、トヨタ自動車にとってはカローラ、ヴィッツと並ぶトヨタを代表するグローバルカー。欧州を除く世界で年間60万台を販売し、9工場(日、米、タイ、中国、台湾、オーストラリア、ベトナム、フィリピン、ロシア)で生産するというから凄い。ここまでくると失敗は絶対に許されない、トヨタの命運を左右するクルマといっていい。ちなみに北米にはハイブリッドが設定されるが、日本にはない。その日本の月販目標台数は発売後1カ月が2000台、その後の安定期に1000台と、少々弱気。世界戦略車は日本でどう評価されるのだろうか?

レクサスと比べてどう?

トップグレードには本革シートが標準装備される。室内の広さはトヨタのセダンではナンバーワンクラス。アメリカのスタンダードも日本では広い!

トップグレードには本革シートが標準装備される。室内の広さはトヨタのセダンではナンバーワンクラス。アメリカのスタンダードも日本では広い!

いまや「アメリカ人にとってのカローラ」となったカムリだけに、日本の路上で見るとやっぱりそのサイズに圧倒される。全長4815×全幅1820mmというそのスペックは、北米ではコンパクトセダンに分類されるものの、日本ではクラウンをしのぐ堂々たるサイズ。当然、室内はかなりゆったりと余裕がある。例えば、マークXあたりと比べると室内前後長や室内幅はひとまわり以上大きく感じるしシートサイズも大ぶり。レクサスIS、GSと比べてもしかり。平均的な日本人より「体格の大きい人たち向け」に企画されていることがそこはかとなく感じられる。

インテリア

ステアリングを含め操作系は軽いタッチ。センターコンソールのデザインは家電を意識したデザインを採用

ステアリングを含め操作系は軽いタッチ。センターコンソールのデザインは家電を意識したデザインを採用

インテリアはT型にセンターコンソールを配したオーソドックスなデザインで、明るいウッド調パネルがカジュアルな雰囲気を感じさせてくれる。特にオーディオ部にブルーの半透明樹脂パネルをあしらったデザインはちょっと「家電調」のライトな感覚。このあたりが重厚さやクォリティを強調するレクサスと明らかな路線の違いを感じさせるところだ。内装のクォリティに関してもトヨタ車としては標準レベルで、とりわけ「かっちりと建てつけがイイ」といった印象はない。これは、このクルマが北米のケンタッキー工場をはじめ、ロシアやベトナムに至る世界中の工場で生産されることが微妙に関係している。つまり、日本でだけ生産するならもっとカチッと精度を追い込んでクォリティを高めることは可能だが、サプライヤーの技術がそこまで追いついていない地域のことを考慮して、あえて限界まで精度を追い込んでいないということ。このへんはレクサス車の大半がいまだに日本で生産されている大きな理由のひとつで、ワールドカーたるカムリにはそれなりに難しい事情がある。ただ、キャラ的にレクサスが恋人感覚なのに対し、気張らずに乗れ、存在自体が空気のようにあって当たり前、というカムリは、長年連れ添うカミさんのような存在で、これはこれでいいものだと感じた。

走りはどうなの?

エクステリアの雰囲気はベルタの親玉といった感じ。2.4Lの2AZ-FEエンジンはトルク感も増し、どの回転域からでも加速

エクステリアの雰囲気はベルタの親玉といった感じ。2.4Lの2AZ-FEエンジンはトルク感も増し、どの回転域からでも加速

●走りはどうなの?走りっぷりについては、パワートレーンに大きな変更がないわりには熟成を感じさせるものがあった。2.4L、直4の2AZ-FE型エンジンは今回若干パワーアップされて167psとなったが、トップエンドの吹け上がりがよりパワフルかつスムーズになっている。絶対的なパフォーマンスに関しては、167psだからそう驚くものではないのだが、従来の2AZよりも高回転域がスムーズかつ強力になったことで、よりストレスなく引っ張れるようになった点は大きい。これまでは、フル加速をすると途中で加速騒音が大きくなってきてメーターを見ないでもレッドゾーンが近いことがわかったが、新型は自動シフトアップが行なわれてはじめて「あ、もうリミットまで回ったんだ」と気づくといった違い。組み合わされる5速ATも今回から新しくなったユニットでドライバビリティは上々だし、加速フィールの“質”は着実に向上していると評価していいと思う。シャシー性能も乗り心地を中心にバランスのいいハンドリングを心掛けた感じの仕上がり。走り出してすぐ、ステアフィールが自然なことに感心したがカムリのパワステは最近のトヨタのニューモデルとしては例外的に油圧パワステを採用。年間40万台近い生産台数に対し、電動パワステはサプライヤーの供給が追いつかないという事情があるらしいが、ワールドカーらしい事情といえるだろう。ただ、そのおかげといってはなんだが、ステアフィールは自然で好ましいものとなっている。また、サスペンションは従来モデルから引き継いだ4輪ストラットだが、こちらもゆったりとしたいい意味で鷹揚な乗り味。特に、リアサスのフリクションの少ないストローク感と、ソフトなわりに正確なライントレース性は、トヨタのFFの主流であるトーションビームリアサスより1段上のクォリティを感じさせる。乗り心地を上質にしようと思えば思うほど、位置決めのきちんとした正確なサスペンションレイアウトが求められるといういい見本だと思う。

カムリの存在意義とは?

適度なロール感、しっとりした乗り心地などレクサス系とは対極にあるカムリの走り味。ちょっと乗っただけでは感激はないが、長くのるほどしっくりくる

適度なロール感、しっとりした乗り心地などレクサス系とは対極にあるカムリの走り味。ちょっと乗っただけでは感激はないが、長くのるほどしっくりくる

●カムリの存在意義とは?率直に言って、カムリには自動車マニアの興味をひくような圧倒的な動力性能や痛快なハンドリングみたいな要素は皆無だから、月販1000台という目標もそう容易なものではないと思う。約250万円からというプライスは、ボディサイズや実用性を考えればリーズナブルなものだが、この価格帯のセダンを売るためには、なんらかのプレミアム性やスポーツ性がないと苦しいのが実情だからだ。それから、北米市場に最適化すればするほど、日本市場で影が薄くなるというジレンマも。それゆえに、「だったら日本市場向けのカムリはハイブリッドのみにしちゃえばいいじゃん」という提案も、あながち冗談とばかりは言えない。なんらかの付加価値がないとセダンが売れない日本市場で、いまハイブリッドほど強力な付加価値はないと思うんだけどなぁ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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