徹底分析中古車相場
更新日:2020.04.23 / 掲載日:2018.03.16
【マツダ アテンザ】ライバルはマークX!? 売れ筋セダンの相場を比較してみた
いまアテンザが人気のワケとは?
ミドルクラスのセダンやワゴンは、以前と比べて売れるジャンルではなくなってしまった。2017年の登録台数を見ると、上位にランクインするのはコンパクトカー、SUV、ミニバンばかりで、セダンやワゴンはかぎられている。とくにミドルクラスは厳しい状況で、ここ最近は新車のラインアップも少なくなっている。
そのなかでも比較的健闘しているのがトヨタ マークXとマツダ アテンザの2車種。どちらもデビューから時間が経っているが、このジャンルのなかでは継続的に売れているクルマである。逆に、日産スカイライン、ホンダ アコードなどは苦戦を強いられ、昨年は登録台数の上位50位にもランクインしなかった。
今回紹介するアテンザは、今年でデビューから6年が経過するが、いまだ人気が衰えないモデルだ。先日ビッグマイナーチェンジした新型が海外でお披露目され、日本導入が目前で注目度はさらに高まっている。しかし、その人気ぶりゆえ中古車はほとんど値崩れしておらず、いまの段階ではお買い得感は薄い。そもそも、現行アテンザの人気の秘密はどこにあるのだろうか。
まず注目したいのが、洗練されたスタイリング。初代CX-5で初採用された「鼓動」デザインをさらに昇華させ、現行型ではマツダらしいスポーティさと高級感をうまく融合させたエクステリアを構築した。これが従来のアテンザにはなかったプレミアム性を体現し、マツダのブランドイメージを強く牽引したことは間違いない。そして、国産ミドルクラスとしていち早くクリーンディーゼルを導入したことも、売れ行きに繋がったキーポイント。いままでマツダが得意としていたスポーティさに加え、デザイン性、先進の環境性能が加わり、現行アテンザの存在感はライバルに抜きん出たものとなったのだ。
ライバルの相場と比較してみた
この表のなかで、もっともお買い得感のあるモデルはマークXだ。物件数は群を抜いて多く、平均は168万円とかなり魅力的。ただし、デビューは2009年と古く、多走行な物件もかなり多めである。検索条件を5年落ち以降に設定してみると、平均価格はおよそ200万円だから、実質的にアテンザとほぼ同程度の価格帯と考えてよい。ちなみに物件の大半は5年落ち以前のモデルだから、高年式で低走行な車両にこだわると、アテンザ以上の出費が必要となるだろう。
一方、スカイラインは2014年2月デビューだから、新車保証が残る高年式物件が多い。しかし全体的に相場は高めで、いまは手が出しにくい状況。スカイラインは、北米などではプレミアムブランド「インフィニティ」チャンネルで販売されるから、BMWやメルセデスがライバルと言っていいかもしれない。アコード、レガシィB4は、アテンザよりも物件数が少なく、相場はやや高めとなる。以上を踏まえると、アテンザは高値安定と言われているが、ライバルと比べて特別に高値というわけではないようだ。
また、輸入車勢であるパサート、508にも注目してみよう。今回はすべて現行モデルで比較しており、パサートは2015年デビューとかなり新しいクルマ。それゆえアテンザよりも80万円以上相場が高いが、新車価格もそれなりに高額なので、それを考えると意外にもバリュー感はある。一方508は2011年デビューと古く、先日のジュネーブショーで新型が発表された。だから、相場は低めで、輸入車としては手が出しやすいゾーンにある。ただしVWに比べると物件が少ないので、じっくり探す必要がある。
トヨタ マークX(2009年10月発売)
日産 スカイライン(2014年2月発売)
ホンダ アコード(2013年6月発売)
スバル レガシィB4(2014年10月)
フォルクスワーゲン パサート(2015年7月発売)
プジョー 508(2011年7月発売)
年式別の相場動向をチェック
現行型アテンザがデビューしたのは2012年11月。ボディタイプはセダンとワゴンが用意され、エンジンはガソリンが2.0L/2.5L、ディーゼルが2.2Lという3つのパワートレーンから選択できた。先代に存在した5ドアのアテンザスポーツは廃止され、大人のプレミアムセダン/ワゴンという位置付けが一層明確になったのが現行型のトピックである。
デビュー後は、ほぼ毎年のペースで一部改良を実施。2013年11月には「スマートシティブレーキサポート」が全車標準装備となったほか、ガソリン2.5L車の燃費がアップ。2014年11月は前後デザインがリフレッシュされるマイナーチェンジを実施。このタイミングで「アダプティブ・LED・ヘッドライト」をはじめとする先進の安全装備を搭載した「i-ACTIVESENSE」が導入されたのが大きなポイントだ。また、サスペンションの見直し、静粛性の向上、シート設計の改良など、細部にわたって手が入っている。
2016年8月の改良では、ドライバーのハンドル操作に応じて横と前後の加速度を統合的にコントロールする「Gベクタリングコントロール」を採用。より自然なドライビングが可能になり、乗り心地がアップ。さらにディーゼル2.2Lが改良され、レスポンスが向上している。
それでは、年式別の相場を見てみよう。
年式 | 中古車平均価格 |
2012年式 | 162万円 |
2013年式 | 174万円 |
2014年式 | 199万円 |
2015年式 | 239万円 |
2016年式 | 276万円 |
2017年式 | 283万円 |
2014年11月のマイナーチェンジ前後で、相場に差が生まれている。これ以前の前期型は100万円台後半の物件が中心だが、以降の相場は200万円オーバーし、まだまだ高い印象がある。物件数に注目すると、デビュー翌年の2013年式がもっとも豊富だから、最初の一部改良以前の初期型がもっともねらいやすい。ただし、この年式条件で絞り込むと走行距離は伸びている車両が目立つ。3万km~5万kmを目安に探すとよいだろう。
買うならガソリン?それともディーゼル?
もっともベーシックな20S系は、100万円台後半の物件が中心で、比較的ねらいやすい。一方、ディーゼルのXD系は平均価格が222万円と高値を維持し、お買い得感はそれほど高くない。しかし、アテンザセダンの中古車はディーゼルが大半で、ガソリンは1/3程度しか流通していない。またXD系は、装備充実の「Lパッケージ」の割合が高いのも特徴だ。そうは言っても、クリーンディーゼルはアテンザ人気の要因のひとつでもある。価格重視なら20S系だが、ランニングコストやリセールを考えると、XD系も前向きに考慮したほうがよさそうだ。
まとめると、現行型アテンザは大幅な値崩れはしていないが、年式、グレードをうまく考慮すれば、アンダー200万円の予算でも良質な物件が手に入る。価格重視なら、多少走行距離は伸びていても初期型がねらい目。グレードは、購入後の満足度やリセールまで考慮するとディーゼルのXD系がオススメできる。また、近日中に行われるビッグマイナーチェンジの影響で、中古車相場が変動する可能性もある。年度末の決算セールを控えたいまのタイミングで買うのもありだが、改良後のアテンザが登場するまで待つのもひとつの手だろう。