高級車の王道はセダンだと思っています【輸入車コンシェルジュ】

　ここ数年の大きなトレンドであるSUVジャンルの急速な拡大によって、乗用車の勢力図に大きな変化が生まれています。従来、ハッチバックやセダンが担ってきた役割の一部をSUVがカバーするようになり、プレミアムセグメントにおいても、新型車が続々登場しています。
　今回の相談者は、そんな状況をよく理解しながらも、自分の感覚に合っていて、乗りたいのはセダンだと看破したようです。新しいものを取り入れる柔軟性も大切ですが、クルマはパーソナリティを映す鏡のような存在でもあります。「自分はコレ」と言い切れる姿勢は格好いい。
　そもそもセダンとは一般的に3ボックス・4ドアで構成されており、居住スペースがエンジンルームやラゲッジスペースと隔離されています。さらに、SUVと比べて重心が低いという物理的資質を持ちます。
　つまり、快適性と運動性能のバランスにおいて高レベルなクルマを作れるのがセダン。多くのブランドがいまだフラッグシップをセダンとしているのには、このような理由があるからです。
　では、相談者の希望を叶える高級車の王道となるセダンを紹介しましょう。もちろん、予算内でお買い得感のあるチョイスです。

　高級セダンとはどういうものなのか、それを知る最高の教材となるのがメルセデス・ベンツのSクラス。Sクラスの歴史を紡いできたのはメルセデスだけではありません。Sクラスを選び、愛用してきたオーナーたちの存在が、確固たるバックグラウンドとしてあるのです。　相談者の予算でSクラスを選ぶとすれば、現行型前期モデルが適切でしょう。それは、現行型Sクラスが高級SUVが台頭した現在のマーケットにおいて企画されたクルマだから。高級車とはなんぞや、それに対するアンサーというわけです。　こちらの「S 550 プラグインハイブリッド ロング」は、3LV6ツインターボにモーターを組み合わせたPHEV。重厚かつウルトラスムーズな加速感は白眉。新車価格1590万円が中古車なら手が届くところにあります。　これ以外にも、前期「300h」もオススメ。2.1L直4ディーゼルターボとモーターアシストの相性は抜群。こちらは中古車市場での物件も豊富で、探しやすいのも魅力です。

2015年 メルセデス・ベンツ S 550 プラグインハイブリッド（７速AT） ●全長×全幅×全高：5250×1900×1495mm ●車両重量：2330kg ●エンジン：V6DOHCツインターボ＋モーター　●最高出力：333ps ／5250-6000rpm ●最大トルク：48.9kgm／1600-4000rpm ●排気量：2996cc ●中古車参考価格：440万円～1300万円（13年～20年 AMGを除く）

　高級セダンという入れ物に、運転する気持ちよさをぎっしり詰め込んだのが７シリーズというクルマ。精緻にまわるエンジンはアクセルの動きに即座に反応し、乗り心地がいいのにステアリングは正確無比。カーボンを用いたボディや路面状況認識機能付きエアサスなど高級車だから到達できた境地。

2015年 BMW 740i Ｍスポーツ（８速AT） ●全長×全幅×全高：5110×1900×1480mm ●車両重量：1900kg ●エンジン：直６DOHCターボ　●最高出力：326ps ／5500rpm ●最大トルク：45.9kgm／1380-5000rpm ●排気量：2997cc ●中古車参考価格：360万円～1160万円（15年～20年 全グレード）

　ファッションに「アンダーステートメント」という言葉があります。日本語にすると“奥ゆかしい”とでもいいましょうか。アウディ最上位モデルであるA8を表現するには、まさしくこの言葉がぴったり。すべてを備えながら、それを声高に主張しないところに美学と強者の余裕を感じさせるわけです。

2015年 アウディ A8 4.0 TFSI クワトロ（８速AT） ●全長×全幅×全高：5145×1950×1465mm ●車両重量：2040kg ●エンジン：V8DOHCターボ　●最高出力：435ps ／5100-6000rpm ●最大トルク：61.2kgm／1500-5000rpm ●排気量：3992cc ●中古車参考価格：220万円～600万円（10年～18年 全グレード）