車の歴史
更新日:2021.04.27 / 掲載日:2021.04.24
国産エンジン歴史絵巻 TOYOTA 1970~1980年代編2
DOHCエンジンが身近に。ファン垂涎の銘機も続々と登場
1970年代は日本で自動車が本格普及した時代。カテゴリーの多様化が進み始めたことで、幅広いジャンルのモデルが求められるようになってきた。
トヨタはいち早く直列四気筒のR型やK型などの信頼性の高いエンジンを開発し、市場に投入することで、ファミリー向けの実用車においては確固たる地位を築きつつあったが、一方でエンジンの高性能化に関してはやや遅れ気味。特にスポーツ分野に関しては2000GTに直6DOHCの3M、1600GTに直4DOHCの9Rを投入していたが、スカイラインやブルーバードでモータースポーツの世界を席巻する日産と比べると、イメージ的に大きく負けていた。直6のM型に続く高性能エンジンとして、直4エンジンのテコ入れも求められていたのだ。
1970年に投入されたT型は、そんな流れから脱却を狙った新世代の直4ユニット。燃焼室を半球形とし、さらにV字型のクロスフローバルブ配置とすることで熱効率を大きく高めたほか、ダブルロッカーシャフトクランク方式を採用することでプッシュロッドの惰性力によるパワーロスも大幅に低減。従来の4気筒エンジンと比べると、高回転に耐えうる設計により出力も大きく向上している。また直4のOHVをベースに開発しながらも、設計の初期段階からDOHCユニット開発を進めており、OHVとほぼ同時期にDOHCも投入されていることもT型の特徴の一つだ。セリカGTに初搭載された2T-Gは、本格的なDOHC時代の幕開けを切り開いたエンジンとしても名高い存在だ。
1970年代に誕生したエンジンの中で、もう一つ外せないのは、1978年にターセルで初採用された直4エンジンのA型(2代目)だ。K型/T型の後継として開発されたこのエンジンには、M型やT型の開発で得た多くの知見が注入されることで、低燃費、低騒音、低公害という当時の実用エンジンに求められた課題をクリアしている。また最初期の1A-Uは縦置き配置のままFF化されたことでも有名だ。
このA型は改良も頻繁で年月を重ねるごとにエンジンの完成度が高まっていくが、特に1980年代にスポーツ系モデルに採用された4A-GEは、それまでの2T-G系に代わる高性能エンジンとして高い評価を受けている。
B型(製造開始年:1972年)
写真はダイナ用。ディーゼルエンジンとしては小型になる直4OHV。5点支持のクランクシャフトや燃焼効率の高い渦流室式にクロスフローポート構造、インジェクション点火や強制潤滑式オイル供給機構など、多くの新機軸が盛り込まれていた。
B型ディーゼルはランドクルーザーにとっても重要エンジンの一つ。排気量の拡大と内部機構の改良を受けながら、40系以降のランドクルーザーにも搭載され続けている。
開発製造はダイハツが担当。堅牢さと信頼性でロングセラーへ
直6ディーゼルのD型と直4ディーゼルのJ型はトヨタが自社で開発したが、直4ディーゼルのB型は1967年に業務提携を結んだダイハツ工業が開発を担当。当時のダイハツ工業は船舶からトラックまで様々な用途に合わせた小型ディーゼルエンジンを供給する有力サプライヤーの一つであり、B型は堅牢さと信頼性で高い評価を受けている。2000年前後まで様々なモデルに採用され続けている。