車の歴史
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2017.10.16
【日産】レーシングエンジンを市販車へ S20型エンジン

goo-net編集チーム
日産の「S20型エンジン」は、歴史的なユニットとして未だに語り継がれる、画期的なパワーユニットと言えるでしょう。
現在、日産を代表するスポーツカーである「GT-R」の系譜をたどるなかでも、スカイラインの歴史上、欠かすことのできない輝かしい稀有なストーリーを持つエンジンです。
ここでは、現在も脈々とDNAを残す、名機として誉の高いS20型エンジンについて説明します。
S20型エンジンの開発の背景
1969年2月、レーシングカーのR380(日産の前身にあたる当時のプリンス自動車工業製)に搭載していた、レーシングエンジンを市販車にデチューンして、世に放たれました。
そのGR8型 2.0L直列6気筒4バルブDOHCエンジンをベースに、市街地走行を想定し改良された、S20 型エンジンを搭載する4ドアセダンボディの車が「スカイラインGT-R(PGC10型)」です。
モデル名のGT-Rの「R」はレースに由来し、その背景や高いパフォーマンスからも一世を風靡(ふうび)した一台となり、同時に「ハコスカ」の愛称でも親しまれました。
コストを度外視したレーシングエンジンを使用するため生産台数も少なく、今でもS20 エンジンを搭載するスカイラインやフェアレディZが中古市場に出れば、高値で取引されるほどの名車として位置付けられています。
中でもS20型エンジンを搭載したスカイラインGT-Rは、今や世界トップレベルのスポーツカーとして君臨するGT-Rの原点とも言えるモデルです。
S20型エンジンのパフォーマンス
S20型エンジンを搭載したハコスカは、レーシングシーンでも活躍し、当時は誰もがあこがれるスポーツカーでした。
なんといっても、サーキットを走行するレーシングカーのベース車両が、市販車として販売されていることが人気に拍車をかけ、大きな話題になりました。
レース用のスカイラインGT-Rは1969年5月、「69‘JAFグランプリレース大会」のクラブマンレースの、特殊ツーリングカークラスでデビューウィンを飾った後も連勝を続け、「‘72GOシリーズ 富士インター200マイルレース大会」のスーパーツーリングTS-bcレースまでに、通算52勝をマークするまでに至りました。
S20型エンジンを採用した車種名一覧
S20型エンジンを採用した車種は次の通りです(2017年9月現在)。
【スカイライン】
・初代スカイラインGT-R(ハコスカ)
PGC10型:4ドアボディ
KPGC10型:運動性能を向上させる目的でホイールベースを短縮した2ドアハードトップボディ
・2代目スカイラインGT-R(ケンメリ)KPGC110型
前後にオーバーフェンダーを装着した2ドアハードトップボディ。
排ガス規制により僅か195台の生産台数を持って生産終了。
3代目のスカイラインGT-Rは、長い沈黙から1989年5月に16年ぶりに復活しましたが、排気量を2.6Lへ拡大したターボエンジン、駆動方式がFRをベースとした4WDへ大きな変貌を遂げ、戦闘力の高さからレースシーンでも活躍しました。
さらに4代目、5代目スカイラインGT-Rへと進化し、日産の誇る本格的なスポーツカーとして確固たるポジショニングを築きました。
S20型エンジンは、日産のスポーツカーの礎となるパワーユニットであり、その遺伝子は絶えることなく受け継がれる名機として名を残しています。