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更新日:2021.03.10 / 掲載日:2021.03.10

マツダ CX-5/2017年~【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、日産
(掲載されている内容はグー本誌 2021年3月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年2月調べ。


CX-5はやや大きめのSUV。人気も高く、マツダを代表するモデルだ。その魅力と、ユーザーが感じられる長所を探っていこう。

2017年式 マツダ CX-5 XDプロアクティブ(6速AT) ●全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm ●ホイールベース:2700mm ●トレッド前/後:1595/1595mm ●車両重量:1620kg ●排気量:2188cc ●エンジン:直4DOHC ディーゼルターボ ●最高出力:175ps/4500rpm ●最大トルク:42.8kgm/2000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/55R19 ●中古車参考価格帯:150万円~350万円(17年~20年 ※全グレード)

洗練されたルックスの上級クロスオーバー

力強く燃費もいいディーゼルエンジン

編集部●今回取り上げるのはマツダCX-5。2012年に初代がデビューし、今回紹介するのは2017年に発売された2代目。同社を代表するSUVといえますね。
工藤●世界規模でみると年間40万台ほどが販売されていて、これはマツダの年間総生産台数の3割。何を隠そう、CX-5は今、マツダで最も多く作られているモデル。同社のSUVを代表するというよりも、同社を代表するといえる重要な車種だ。CX-5抜きにマツダを語れない、というくらいの存在感。
編集部●どうしてそんなに売れているんですか?
工藤●グローバルで考えると、やはりSUVブームだから。特に販売台数の多い北米では、このサイズのSUVが売れ筋だからね。
編集部●日本では?
工藤●ひとつはディーゼルエンジン。国産ライバルの現行車種にはなく、CX-5でしか選べないんだ。
編集部●なるほど。
工藤●一度ディーゼル車を所有すると、運転のしやすさや燃料代の安さからガソリン車には戻りにくい。そういったユーザーの心をしっかり掴んでいるといっていい。CX-5の新車販売は、約6割がディーゼルエンジンという人気ぶりなんだ。
編集部●走りも力強いですしね。
工藤●あとはデザインの評価が高い。
編集部●たしかに、マツダのデザインには魅力を感じます。美しい。
工藤●ボディサイズも、ちょうどいい。日本だとちょっと大きいと思われがちだけど、このくらいなら意外と困らない。全長は日産「セレナ」やトヨタ「ノア/ヴォクシー」などミニバンの人気モデルよりも短いし、1.8mをちょっと超える全幅も普通の駐車場なら問題ないよ。ただ、自宅駐車場が狭いというなら、厳しいかもしれないけれど。
編集部●たしかにそうですね。

 マツダが「魂動デザイン」と呼ぶデザインテーマは、猛獣が獲物をねらうような躍動感を表現。大きなフロントグリルや前後の鋭いライトでシャープさを感じさせつつ、やわらかい曲面を用いた滑らかなボディはエレガントだ。ボンネットを長めにしたプロポーションも美しく、4545mmの全長はライバルに比べると短めで軽快な印象だ。タイヤは19インチを標準設定としている。

[モデルヒストリー]

2017年2月:フルモデルチェンジ

 フルモデルチェンジした2代目を発売(発表は2016年12月)。搭載するエンジンは2L自然吸気ガソリン、2.5L自然吸気ガソリン、そして2.2Lディーゼルターボの3タイプ。ATは全車6速だ。

2017年8月:「i-ACTIVSENSE」を標準装備

 後退時の「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」、車線逸脱警報システム(LDWS)、「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」を全車標準採用とするなど、先進安全技術設定を拡大。

2018年3月:一部改良

 すべてのエンジンが進化。ガソリン車は新設計のピストンやインジェクターを採用し、ディーゼルはターボに可変ジオメトリーという技術などが組み込まれた。また360度モニターをオプション設定。

2018年11月:一部改良

 2.5Lターボエンジンを追加。最高出力230馬力で、高出力型ではなく低回転からの扱いやすさを重視したドライバビリティ重視の味付けだ。エアコン操作パネルなど内装の意匠も一部を変更した。

2020年1月:一部改良

 4WDモデルに、悪路におけるタイヤの空転を防ぐ「オフロード・トラクション・アシスト」を新採用。インパネ中央上部の、地図などを表示するディスプレイサイズも7インチから8インチに大型化された。

2020年12月:一部改良

 ディーゼルエンジンは高回転時のトルクを太らせて最高出力を向上。加速の“伸び感”を増した。またアクセルの操作力を重くし、ドライバーと加速の一体感を向上。ナビ画面も最大10.25インチに拡大。

[インテリア]精緻な仕立てが生む圧倒的な上質感に驚く

疲れにくいシートもCX-5の美点。ラゲッジルームは、このクラスの国産車では採用が少ない3分割の後席背もたれが便利。中央だけを倒してスノボを積むアレンジもできる。

 乗り込んだ瞬間に感じられるのが、圧倒的な上質感。インパネなどの表面の仕立てに加え、スイッチ一つ一つの精巧な仕上げなど、高いクオリティを実現している。注意すべきポイントがひとつ。デビューから2020年11月までのモデルはインパネ中央上部の画面を(停車中のみ)タッチパネル操作できたが、2020年12月からのモデルはできなくなっている。

[メカニズム]エンジンは4タイプも! 主力はディーゼル

 エンジンは排気量2Lと2.5Lのガソリン自然吸気、2.5Lのガソリンターボ、そして2.2Lのディーゼルターボと合計4タイプから選べる。ガソリン自然吸気は車両価格を最重視する人、ガソリンターボは力強い走りと高回転の爽快感を求める人に向き、ディーゼルは発進加速や中間加速の力強さを持ちつつ、低燃費で燃料代が安く済むのが魅力だ。

SKYACTIV-D

 ディーゼルエンジンといえば、うるさくて振動も多く、加速も悪い。そんな常識は過去のもの。最近のクリーンディーゼルエンジンはそれらを克服し、環境性能も優れる。

SKYACTIV-BODY

 操縦安定性と走る歓びを支える強さ、最高レベルの衝突安全性を兼ね備える設計。基本骨格はできるだけ真っすぐ通すと同時に、開口部を強固に囲む環状構造が特徴だ。

アクティブ・ドライビング・ディスプレイ

 速度やクルーズコントロールの作動状況、死角となりがちな斜め後方を走る車両の有無などの情報をフロントウインドウへ投影して表示。自然に視界に入る位置だ。

Gベクタリングコントロール

※参考画像はアテンザのもの。

 ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルク(進化版は加えてブレーキ)を変化させることで、タイヤ接地荷重を最適化。正確なハンドル操作を実現する。

中古車市場でも多いディーゼルエンジン車

編集部●ところで、インテリアの質感が高いですよね。
工藤●もはやプレミアムブランドといっていい水準だよ。これは買った人の満足度が高いだろうね。
編集部●それはCX-5の大きな魅力だと、触れるたびに思います。
工藤●ライバルはトヨタの「RAV4」や「ハリアー」、日産「エクストレイル」、スバル「フォレスター」、そして三菱「アウトランダー」あたりだけど、そのなかでCX-5よりもインテリアが上質なのはハリアーだけじゃないかな。ハリアーは価格帯も高めだけど。
編集部●そうなんですよ。最近のマツダは「高い」って思われがちですが、じつはそうでもない。CX-5って先進安全装備は、運転支援装備のレベルが高くて、それを考慮すると多くのライバルより割安なんですよね。
工藤●ナビも、機械的にはすべての車両に組み込まれていて、販売店オプションの地図データを購入すれば使えるし。中古車で買った人も装備の充実度に満足できるはず。特に、先進安全装備の水準が高いのは買う側も安心できるポイントだ。
編集部●中古といえば、人気車種だけに中古車も豊富に揃っています。グーネットでは、2017年以降のモデルだけで約1800台。そのうち1200台ほどがディーゼルなので、人気がうかがえますね。
工藤●相場はちょっと高めだけど、商品として優れているものはやはり評価が高いということかな。

先代モデルがお買い得!? 100万円台前半で購入可能に

 コストパフォーマンスを求めるなら、先代モデルが超魅力的。2012年の2月から2016年の終わりにかけて新車販売されていて、もちろんディーゼルエンジンも選択可能(中古車でもその比率が高い)。オススメは外観もメカニズムも大幅改良を受けた、2015年1月以降に販売されたモデルだ。
●中古車参考価格帯:80万円~240万円(12年~17年 ※全グレード)

[インプレッション]セールスポイント多数人気の高さも納得できる

 CX-5のポイントは「美しいデザイン」、「上質な雰囲気」、「室内の仕立てがいい」、「走りがいい」、「ディーゼルエンジンが魅力」そして「コストパフォーマンスが高い」と数え上げればきりがないほど。ライバルを見まわしても、これだけセールスポイントの揃ったクルマはちょっと見当たらない。
 イチオシはディーゼルエンジン。停止状態からの発進加速が力強くて扱いやすいし、燃費がよく、おまけに軽油は単価が安いから燃料コストはハイブリッドカーと同程度なのがいい。

[マーケットデータ]

  • 年式
    最も豊富なのが発売年である2017年式で、4割以上を占める。逆に少ないのが2019年式となっている。

  • グレード
    ガソリンとディーゼルの比率は、圧倒的に後者のほうが流通。なかでも「XD Lパッケージ」の物件が豊富。

  • 走行距離
    1万km未満の物件が3割以上あり、全体的に低走行なものが中心。安心したクルマ選びができそうだ。

工藤貴宏が注目するCX-5の「ココが○」

その1:美しいデザイン。SUVとはいえ無骨さや泥とは無縁で都会的。
その2:装備の充実度。特に先進安全装備の内容が充実している。
その3:ディーゼルエンジンの力強さと燃費のよさ。運転が楽しく感じる。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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