中古車購入チェックポイント
更新日:2019.02.12 / 掲載日:2019.02.12

マツダ CX-3【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

※写真は2015年式

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年2月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年1月調べ。


コンパクトなSUVで仕立てが上質。しかも、ディーゼルエンジンを搭載する。そんなマツダの意欲作といえるCX-3の魅力を解明していこう。

●全長×全幅×全高:4275×1765×1550mm ●ホイールベース:2570mm ●トレッド前/後:1525/1520mm ●車両重量:1260kg ●最高出力:105ps/4000rpm ●最大トルク:27.5kgm/1600~2500rpm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:215/50R18 ●中古車参考価格帯:130万円~250万円(15年~18年 ※全グレード)

ライバルを凌駕する美しいスタイリング

 いま、日本でも売れ筋ジャンルになっているSUV。そのなかでもとくに人気があるのが「コンパクトクロスオーバーSUV」と呼ばれる、小さな車体で車高が高すぎないタイプだ。マツダCX-3もそんなコンパクトクロスオーバーSUVの1台である。
 日常の範囲でSUVの優れているところは、一般的な乗用車よりも座る位置が高いから見晴らしがいい。前方がよく見えるから運転がしやすい。その上ロードクリアランス(道路から車体下までの高さ)のゆとりがセダンやハッチバックよりも確保されているから、駐車場などで段差に気を使わなくてすむ。
 そして、クロスオーバーSUVならではといえるのが乗り降りのしやすさ。”低すぎず高すぎない”着座位置は、大人が地面に立ったときの腰の高さとほぼ同じで乗降時の身体の動きが楽なのだ。
 それを踏まえたうえでCX-3の魅力はまず、所有する喜びをもたらす美しいデザイン。室内に乗り込めば、ライバルとは比較にならないほど上質なインテリアも実感できる。車体サイズは同様でも、ライバルより高級感が強い。そして、走りが力強く、燃料代が安く済むディーゼルエンジン車を用意することも特徴といえる。

[エクステリア]独自のプロポーションで勝負

 意図的にボンネットを長く見せ、対照的にキャビンを短く小さく見せるプロポーションをつくっている。マツダのデザインは”狩りをする獣のような躍動感”をテーマとしていて、CX-3のスタイリングもライバルとは一線を画する美しさだ。SUVとして低めの天井で、機械式駐車場にも入庫可能と都市生活にも向いている。

スタイリングは前後のタイヤに対するキャビンのサイズや位置のバランス感を重視し、SUVながら背の高さを感じさせない伸びやかなプロポーションに仕立てている。ヘッドライトやテールランプは鋭い目を連想させる造形で、光り方も個性的だ。

[モデルヒストリー]ガソリン車は途中で追加

2015年2月:CX-3を発表
マツダ初となるコンパクトクロスオーバーSUVとしてデビュー。日本仕様のエンジンは排気量1.5Lディーゼルだけの設定とし、個性を強めた。

2015年12月月:一部改良
エンジン内の音を静かにする部品をオプション設定から全車標準化し、フロントドアガラスの厚みを増すなど、静粛性をアップ。サスペンションの設定も変更され、乗り心地を改善した。エンジンのレスポンスも向上。

2015年11月:マイナーチェンジ
バッテリー容量の従来の24kWhに対して25%も増やし30kWhとした仕様を追加。航続距離が大幅に増えた。自動ブレーキなど先進安全装備も新たに搭載。
バッテリー総電力量:24kWh/30kWh/一充電走行距(JC08モード):228km/280km

2016年10月:一部改良
歩行者検知機能を組み込み、従来に比べて作動速度領域を広げた自動ブレーキを全車標準化。静粛性向上、操縦安定性向上、ボディカラーやグレード名称の一部を変更など多岐にわたり変更が行われた。

2017年6月:ガソリン車を追加
ガソリンエンジン搭載車を追加。エンジンは排気量2Lで、トランスミッションは6速ATのみ。車線逸脱警報や後退時の自動ブレーキ機能を全車に標準装備化するなど、先進安全装備がさらに充実した。

2018年5月:マイナーチェンジ
サスペンション設定を見直して乗り心地と操縦安定性を底上げ。吸音材や遮音材の追加に加えドア鉄板の厚さまで変更して静粛性も高めた。ディーゼルエンジンは排気量を1.8Lへ拡大して実燃費を向上。

[マツダ・クロスオーバー・アーカイブ]マツダのクロスオーバーSUVを振り返る

 CX-3はマツダのSUVラインアップのなかで、いちばんコンパクトなモデル。もっとも大きな車体に作られているのは「CX-9」だが、これは北米向けモデルで日本への導入なし。日本仕様向けはCX-8を頂点にCX-7(生産を終了)やCX-5を展開し、好みの車体サイズを選べる。

2006年12月:CX-7
ラージサイズのボディを持つクロスオーバーの先駆け的なモデル。位置が高めのシフトレバーなどスポーツカー感覚の運転環境も特徴的。
中古車参考価格帯:60万円~140万円(06年~11年 ※全グレード)

2012年2月:CX-5(先代)
新世代技術を投入し、マツダが元気を取り戻すきっかけになったモデル。ディーゼルエンジンの人気は初代CX-5からはじまった。
中古車参考価格帯:100万円~270万円(12年~17年 ※全グレード)

2017年2月:CX-5
第2世代のCX-5はスタイルがひときわ洗練され、インテリアの上質感も大幅に増した。車体はCX-3よりふたまわり大きい。
中古車参考価格帯:200万円~350万円(17年~18年 ※全グレード)

2017年12月:CX-8
CX-5よりもさらに大きな、日本におけるマツダSUVのフラッグシップ。3列シートを備え、多人数乗用車としても使える利便性も魅力。
中古車参考価格帯:320万円~400万円(17年~18年 ※全グレード)

【インテリア】前席重視のスポーティ空間

※写真はXDツーリング Lパッケージ(2015年式)

 「クラスを超えた上質なインテリア」をテーマとし、インパネの表面処理からスイッチ類の仕立てまでライバル以上の質感が魅力。空間的には前席を優先していて、後席は大人が座るのに無理はないものの余裕は最小限と割り切っているのでファミリーユースにはオススメではない。

床に対しての着座位置が低く、運転ポジションはSUVらしくない。インパネ周辺は、ドライバーの正面にヘッドアップディスプレイ、インパネ中央上部にナビ画面を配置。ナビはセンターコンソールのコマンダーで動かす(停車中はタッチパネル操作可能)。

ノーベルエディション

ブラウンレザーが特徴的な特別仕様車
ブラウンを基調にグレーのアクセントと金属調加飾でコーディネート。表皮はナッパレザーとスエード調の人工皮革を組み合わせた肌触りが自慢だ。外装は高輝度ダーク塗装のアルミホイールが特徴。当初はディーゼル車のみだが、2017年6月からはガソリン車も選べる。

【メカニズム】次世代技術を積極投入

 マツダの素晴らしいところは、先進技術を出し惜しみせず、高価な上級車種だけでなくコンパクトカーにも積極的に投入していくこと。自動ブレーキをはじめとする先進安全デバイスや操縦安定性を高める「Gベクタリングコントロール」などの新機構がCX-3にも採用されている。

左:SKYACTIV-D 右:SKYACTIV-G

SKYACTIV
市販車として世界でもっとも圧縮比が低いディーゼルエンジン「スカイアクティブD」と、同様に世界でもっとも圧縮比を上げたガソリンエンジンの「スカイアクティブG」を採用。前者の排気量は当初1.5Lだったが、2018年5月からは1.8Lへと拡大されている。

※画像はアクセラのものです。

SCBS
低中速域で働くSCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)と、高速域を担うSBS(スマート・ブレーキ・サポート)を組み合わせた自動ブレーキを搭載。前者はカメラ、後者はミリ波レーダーを使う。衝突しそうな状況でブレーキを作動させる。

※画像はアテンザのものです。

G-VECTORING CONTROL
操縦安定性を高める仕掛け。ハンドルを切った際に、連動してエンジン出力をほんのわずかに絞り(運転者や乗員には伝わらない範囲)、タイヤの接地性を高める。タイヤが路面に対してしっかり接地することで曲がりやすくなり、直進時のステアリング修正も軽減されるから運転が疲れにくい。

【ライバル】ほかにもまだある人気のコンパクトSUV

 コンパクトクロスオーバーSUVは欧州や日本におけるSUVの売れ筋ジャンルで、世界中に強豪がひしめいている。日本車で相当するのは、世界的にみてもこのカテゴリーを切り開いた立役者である日産「ジューク」や、こちらも世界中で人気のあるホンダ「ヴェゼル」。そのほかトヨタ「C-HR」なども強力なライバルだ。どれも魅力的。

  • ホンダ ヴェゼル
    CX-3やジューク、そしてC-HRより後席や荷室が広く、実用性の高さがセールスポイントだ。1.5L自然吸気ガソリン車やそこにモーターを加えたハイブリッド車のほか、高出力の1.5Lターボも用意。
    中古車参考価格帯:140万円~300万円(13年~18年 ※全グレード)

  • 日産 ジューク
    個性的デザインが自慢で、ライバルに先駆けて発売。欧州でも日本でも大ヒットした。後席や荷室の広さよりも個性的なスタイルを重視している。通常グレードは、全高制限で機械式立体駐車場は利用不可。
    中古車参考価格帯:50万円~230万円(10年~18年 ※全グレード)

【MARKET DATA】以前に比べて少し買いやすくなった

 人気モデルゆえ、デビュー以降強気の価格を掲げていたCX-3も、ここに来てやや相場が下がっている。とくに4年落ちの2015年式は、100万円台半ばの物件も増加しているから、この年式を中心に探すとよい。全体的に低走行車が目立ち、ボリュームも豊富で買いやすい。

  • グレード
    デビューしてから日が浅いガソリン車「20S」系は1割未満。中間グレード「XDツーリング」が豊富。Lパッケージ車はまだ相場が高め。

  • 年式
    デビュー年の2015年式がもっとも豊富。高年式ほど物件が少なくなる傾向だから、価格が低めの初期型がターゲットになるだろう。

  • 走行距離
    1万km~3万kmが全体の半数近くを占めている。デビューから丸4年が経過しているものの、低走行車が中心となっている。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「マツダ CX-3のGOODとBAD」

【GOOD】美しいスタイルと走り、そしてディーゼル

 なにより魅力的なのは美しいスタイルと上質なインテリアで、そこを気に入ったら積極的に選んでも後悔しない。また、ドライバ-の意のままに操れる操縦性もライバルに勝っている。そのうえで強調したいのがディーゼルエンジンを用意していること。加速が力強くて燃費にも優れるのが特徴のディーゼルを選べるのは、このクラスではCX-3だけだ。


【BAD】ファミリーユースには向いているとは言い難い

 ジュークほど割り切ってはいないものの、ヴェゼルやC-HRに比べると後席や荷室は狭くて実用性という面では一歩劣る。また、初期モデルではガソリンエンジンが選べないというのも、中古車購入でディーゼル車ではなくガソリン車を買いたい人にとってはウィークポイントといえる。年式により差があるが、後席では乗り心地が悪いと感じるかもしれない。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「XDツーリング」

2017年に追加されたガソリン車は物件が少なく、選びやすいのはディーゼル。数が豊富で、装備内容と価格のバランスがよいのは「XDツーリング」だ。


この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ