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更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.10.10

マツダ アテンザ【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2018年10月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2018年9月調べ。


最高峰の上質さを具現化したフラッグシップセダンステーションワゴン。そんなアテンザの、ライバルにはない独自のメカにも注目だ。

2012年 マツダ アテンザ XD Lパッケージ(6速AT) 全長×全幅×全高:4860×1840×1450mm ●ホイールベース:2830mm ●トレッド前/後:1595/1585mm ●車両重量:1510kg ●総排気量:2188cc ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:175ps/4500rpm ●最大トルク:42.8kgm/2000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/45R19 ●中古車参考価格帯:100万円~320万円(12年~18年 ※セダンのみ)

力強いディーゼルやマニュアル車も魅力だ

 アテンザは、マツダでもっとも上級に位置するセダン&ステーションワゴン。日本の感覚でいえば車体は”大きなサイズ”で、マツダを代表するモデルとして十分な風格を持っているといえる。
 このクラスのセダンはスバルレガシィやトヨタカムリなど他メーカーにも存在するけれど、他社にはない特徴が備わっていて、それがアテンザ独自の魅力となっているのは見逃せない。それは「ディーゼルエンジン」と「MT(マニュアルトランスミッション)」だ。
 マツダはディーゼルエンジンを強く推奨しているメーカーであり、このクラスのモデルにそれを積むのは日本メーカーの日本向け車種としてはアテンザだけ。メリットは低回転から力強いトルク(ガソリンエンジンでいうと排気量4500ccの自然吸気クラス)を発生することで、日常的な走りにゆとりがあることだ。また燃費に優れ、燃料の軽油はガソリンよりも単価が安いから、使い方によっては燃料コストがハイブリッドカーと同等で済む。日常的な走行距離が多く、渋滞はあまり走らないひとに最適だ。
 MTを用意するのも、このクラスではアテンザのみ。意のままに走りを楽しめるMTを好むドライバーにとって、アテンザは“他にはない”選択肢なのだ。

【EXTERIOR】全長4.8mオーバーの堂々とした風格

 セダンの車体は全長4865mm×全幅1840mm(2014年11月以降のモデル)。これはトヨタ カムリの現行モデルと同等で、日本のセダンとしてはかなり大きなサイズだ。流麗なデザインは古さを感じさせず、デビューから6年が経過しているとは思えない。

 ヘッドライトの内部形状やフロントバンパーのデザインは大規模マイナーチェンジ時にデザインが改められていて、年代を見分けるヒントとなる。しかし、どの時期のモデルでも完成度は高く、まるで獲物に飛びかかろうとする猛獣のような躍動感を感じさせる。

アテンザワゴン

実用的なワゴンは全長がセダンよりも短い
 ステーションワゴンは全長4805mm(2014年11月以降のモデル)とセダンよりも短い。じつはセダンに対してホイールベースも短縮されていて後席の膝まわりスペースはセダンよりも狭いが、そのぶん荷室の拡大に当てているのだ。荷室容量は定員乗車時で506L、最大1648Lまで広がる。

中古車参考価格帯:60万円~220万円(07年~13年 ※全グレード)

【INTERIOR】インパネは生産時期により3タイプある

 キャビンスペースはゆったりしていて、後席も広い。インテリアの質感も高く、なかでも2014年11月以降の中期モデル以降の上級グレード(Lパッケージ系)ではレザーをふんだんに使うなどプレミアム感が味わえる。後期型のインパネは左右を貫く水平基調がより強まっている。

前期型(2012年11月~2014年11月)

中期型(2014年11月~2018年5月)

後期型(2018年5月~)

 インパネは前期、中期、後期でデザインが異なっており、前期はナビを埋め込んで使うタイプとなる。中期以降はディスプレイが標準装備化され、中期は7インチだったサイズが後期モデルは8インチに大型化された。

【MECHANISM】マツダの最新技術を積極的に採用

 フラッグシップモデルゆえに、パワートレインをはじめ操縦性や先進安全デバイスまでマツダの最新技術が積極的に投入されている。なかでも、もっともマツダらしいのはディーゼルエンジン。圧縮比を下げた異例の設計によりクリーンな排出ガスと、ディーゼルとは思えない軽快なフィーリングを実現。

エンジン

 エンジンはどの世代も3タイプ。2Lガソリン、2.5Lガソリン、そして2.2Lディーゼルだ。いずれも数多くの改良を受けていて、デビュー時に比べると燃費が向上。またディーゼルは音や振動も大きく減少した。

スマート・シティ・ブレーキ・サポート

 自動ブレーキの搭載状態は車両の販売時期によって異なり、新しくなるほど充実。当初は「SCBS」と呼ぶ赤外線による低速域だけの仕掛けがメインだったが、後期型はレーダーも使ったより高度なシステムに進化。

Gベクタリングコントロール

 ドライバーがハンドルを切るのと同時にエンジン出力をわずかに抑えることで、タイヤの接地性を高める仕掛け。タイヤ接地性を高めることでハンドルを切る角度や修正舵が減り、乗員にとっては快適性が高まる。

MODEL HISTORY

  • 2012年12月:フルモデルチェンジ
    フルモデルチェンジし3代目のアテンザがデビュー。ボディタイプはセダンとステーションワゴンをラインアップ。エンジンは排気量2Lと2.5Lのガソリン&初登場の2.2Lディーゼルを用意。

  • 2013年11月:一部改良
    低速走行時に作動する自動ブレーキを全車標準装備化。同時に「25S Lパッケージ」の燃費向上、「XD」系のサンルーフの設定、「XD Lパッケージ」へのMT設定など細かい改良が施された。

  • 2014年11月:マイナーチェンジ
    フロントグリルやテールランプなど外観デザインのリフレッシュを含む大幅改良を実施。ダッシュボードやセンターコンソールのデザインも変更された。安全装備の機能や走行性能も向上している。

  • 2016年8月:一部改良
    自動ブレーキの作動速度範囲拡大、操縦性や安定性の制御技術「Gベクタリングコントロール」の新採用、ディーゼルエンジンの改良などで機能をレベルアップしている。静粛性も高められた。

2018年5月:マイナーチェンジ
外装デザインをリフレッシュしたほか、ダッシュボードの刷新、全面新設計したシートの採用、車体構造まで見直しての操縦安定性や静粛性の向上など大幅改良を実施。合計3タイプのエンジンもすべて進化し、2.5Lガソリンは気筒休止機能を採用した。

【先代モデル】5ドアハッチバックも選べる!

 2008年1月末から販売された2代目アテンザ。日本仕様のエンジンは全車ガソリン自然吸気で、排気量2Lと2.5Lの2タイプ。ボディはセダンとステーションワゴンのほかに、リヤウインドウまでトランクリッド部分と一体で開くリヤハッチを備えた5ドアハッチバックも選べる。

中古車参考価格帯:60万円~120万円(08年~12年 ※全ボディタイプ)

エクステリアはフロントフェンダーにヘッドライトがつながる大胆なデザインで躍動感を演出。斜め後方の車両の存在を教えてくれる「リアビークルモニタリングシステム」を日本車ではじめて採用。

【MARKET DATA】前期~中期型なら100万円台でねらえる

 少し前までかなり相場が高値だったが、後期型が登場してようやく落ち着いてきた。2014年までの前期型ならガソリンが150万円、ディーゼルでも180万円の予算で十分検討可能。また、物件数は圧倒的にディーゼルが多いのも特徴だ。比較的低走行車両も目立ち、今が買い時と言える。

  • 年式
    2012年12月発表だから、2012年式はごくわずか。もっとも多いのは翌年の2013年式で、前期型の物件が大半である。2016年式も比較的豊富。

  • 走行距離
    登場から6年が経つが、全体的に見ると3万km未満の低走行車が目立っている。初期型でも3万km未満があるので、手ごろで高品質を実現する。

  • グレード
    セダンとワゴン比はほぼ同程度。ガソリンとディーゼルは、後者が圧倒的に豊富だ。ガソリンの2.5L車はセダンに多いのも興味深い。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「マツダ アテンザのGOODとBAD」

【GOOD】まずはデザイン。そして独自のメカニズム

 何を置いてもまずはデザインだ。「全員に好かれようとは思わない。10人にひとりがとても気に入ってくれればそれでいい」という決意のもとにおこなわれたデザインは、ひと目でアテンザだとわかる個性と、どのクルマとも違う躍動感や美しさが魅力的。そのうえディーゼルエンジンやMTなど、個性を加えるメカニズムもアテンザを選ぶ理由になり得る。


【BAD】日本では気になる大きな車体サイズ

 初期型の登場は6年前で、たしかに前期型は内外装デザインに時間の流れを感じる。とはいえ中期型以降のモデルであればリフレッシュで新鮮さを取り戻しているので、モデルチェンジからの長い時間が気にならないのはさすがだ。メカニズム面も同様である。強いて言えば、日本の道では大きいと感じるサイズが欠点と言えるだろうか。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「XD Lパッケージ」

ガソリンのほうが相場が低いものの、中古車を買うならディーゼルが断然オススメ。物件豊富で、エンジンも洗練されている。豪華なLパッケージを探せばより満足できるはず。




ユーザー口コミレビュー

  • 総合評価:4.5/5.0
    ドライバー歴:13年
     グレード:セダン 20S


    ターボディーゼルの強烈なトルク、実燃費リッター17kmで軽油という経済性のよさ、スタイリッシュな外観および高級感のあるインテリアなど、後にも先にも最高のクルマだと思います。

  • 総合評価:4.9/5.0
    ドライバー歴:1年
     グレード:セダン XD Lパッケージ


    とにかくデザインが秀逸。とくにセダンは素晴らしいです。ガソリンのエンジンフィールも良好。ボディが少し大きく感じるのと、欧州車と比べて足まわりの熟成が進めばもっとよいです。

  • 総合評価:4.4/5.0
    ドライバー歴:16年
     グレード:ワゴン XDプロアクティブ


    外観のデザインに惚れ惚れする。周りの人も褒めてくれます。リッター当たり15kmと、燃費も良好。走りも安定しています。気になる点は、車体が大きく小まわりが利かないこと。

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