車のエンタメ
更新日:2016.06.03 / 掲載日:2016.06.03
NASCARトニー・スチュワートの愉快な1万5000マイルドライブ

先日ご紹介したF1チーム「マクラーレン・ホンダ」のドライバー2名の「Endless Raodtrip」に続いて、アメリカの最高峰レースであるNASCAR スプリントカップに参戦する「スチュワート・ハース・レーシング」のドライバー3名のロードトリップが公開されました。アメリカ国内のサーキットを転戦する1万5000マイルのドライブです。トニー・スチュワート、ケヴィン・ハーヴィック、ダニカ・パトリックのかけあいが実に軽妙で、クスッと笑わせてくれますよ。
チームの3人が乗るのはシボレー「インパラ」のコンバーチブル。ボンネットの「Mobil 1」のロゴはF1バージョンよりも大きくて派手になっていて、同じモータースポーツでも文化がちがうんだなぁということが見て取れます。もちろん今回もバリバリの合成です(笑)。
シャーロット(Mile 345 of 15,000)
ノースカロライナ州の「シャーロット・モーター・スピードウェイ」を目指す3人が、菜の花畑のあいだののどかな道を走っていると、リアシートに座ったトニーが、なにかをかじりながら「車酔いしたみたいだ」と言い出します。助手席のダニカが「トニー、ビーフジャーキーなんか食べてるからじゃないかしら?」とやさしくたしなめるのですが、相変わらずモグモグしながら「それがなにか?」とトニー。運転中のケヴィンもバックミラーでトニーをチラッと見てから「トニー……」と呆れ顔。やんちゃな息子を持つお父さんとお母さんに見えてきます。
ミシガン(Mile 1,540 of 15,000)
デトロイトの街中を走るインパラ。ステアリングを握るトニーがいつになく神妙な様子で「どうしようかと思ってるんだよ」と話しはじめます。後ろから、ダニカが「あなたたちどうしちゃったの? もっといい男になりたいとか?」と茶化すと、助手席のケヴィンは不服そうにダニカのほうを振り返って「そうじゃない。テストステロン(男性ホルモン)は多いんだから」。トニーが「ドクターは、あなたの年齢にしてはテストステロンが多すぎるくらいだって言ってたよ」と言うのを聞いて、「そうだそうだ」と言わんばかりにうなずきます。ダニカの「男ってめんどくさい……」って表情がなんとも笑えますね。
ソノマ(Mile 2,420 of 15,000)
カリフォルニアでゴールデンゲートブリッジを走行中、リアシートのトニーが「20クエスチョン・ゲーム(出題者がひとつの名詞を選び、回答者は「はい」か「いいえ」で答えられる質問を最大20回投げかけて、それが何かを当てるゲーム)をやろう」と提案します。何度も繰り返しているのか、助手席のケヴィンはめんどくさそうに「また?」と言い、運転席のダニカも深いため息……。トニーはめげずに「僕が出題者ね」と質問を待っていると、ダニカが気だるそうに「それはバルーンではありませんか?」と答えをズバリ。トニーはちょっとうろたえた様子で「まだなにも質問してないじゃないか」と抗議するのですが、「だってあなたいつもバルーンを選ぶじゃない」とダニカ。「そんなことないよ」と言うトニーにケヴィンも「それはバルーン?」と畳みかけ、最後は「もうやりたくない」とふてくされるトニー。なんだかこどものケンカみたいで微笑ましいですね。
ニューハンプシャー(Mile 6,244 of 15,000)
リアシートのトニー、またまたいたずらを思いついちゃったって顔で運転中のケヴィンに話しかけます。「ヘイ、ハーヴィック!」とボストン訛で嬉しそうに呼びかけるトニーに、「ボストンはとっくに過ぎただろ。もうたくさんだ」とケヴィン。それでもなおボストン訛でしゃべり続けるトニーに、ケヴィンもダニカもうんざり。ダニカが「トニー、やめて!」と強い口調で告げると、トニーは「わかったよ。怒ってる?」と言いながら、またしてもボストン口調で「はらぺこ!」と言い放ってニコニコ顔に。すっかり疲れ果ててしまうケヴィンとダニカでした。
インディアナポリス(Mile 12,881 of 15,000)
トニーが運転を担当していた夜間ドライブ。ケヴィンは眠ってしまっていたのか「トニー、ここはどこだ?」と問いかけます。「本当にわからないんだ」とシリアスに答えるトニー。リアでアイマスクをして熟睡していたダニカも目を覚まし、荒涼とした風景を見回して「……月にいるの?」。トニーは何食わぬ顔で「そうかもしれない」と言いますが、遠くになにかを見つけたダニカは「トニー、あそこに岩が見えるわ」と言ってまたアイマスクを装着。トニーとケヴィンも目を凝らして見つけ「あぁ、そうだね……」とトニーもおとなしくなります。ほんとうに、トニーっていたずらっ子ですねぇ。
Poconos(Mile 14,001 of 15,000)
ペンシルバニア州ポコノ山地をドライブ中の3人。「ポコノではレースを楽しんだものさ」と想い出を語りめるトニーに、ケヴィンも「僕もだよ」と応じます。ダニカもふたりの話を聞いて楽しそうにしていますが、トニーが「さらによかったのは……」と続けるとみるみる顔色を変えていきます。このあとダニカがトニーを嫌いにならなかったか、心配です……。
Richmond(Mile 15,000 of 15,000)
夜の道路の真ん中でインパラを停めたケヴィン。ケヴィンも助手席のダニカもため息まじりでクルマを降りようとします。後席のトニーは「え? 終わりじゃないでしょ? ジャーキーもまだあるよ?」とふたりを引き留めようとしますが、ダニカが「楽しんで」と言い残し、ふたりして立ち去ってしまいます。さみしそうに天を仰ぐトニーがかわいいこと! 街灯の下にポツンと停まったインパラの脇を、自転車がベルを鳴らしながら過ぎ去っていくのは哀愁……。
F1編では、旅の終わりにはバトンとアロンソの友情が深まっていましたが、NASCAR編ではチームの危機とも取れるような終焉。いずれも「その後」が気になりますね。