オートサロン
更新日:2024.01.21 / 掲載日:2024.01.13
モーターよりもエンジンが主役【東京オートサロン】【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●川崎泰輝、ユニット・コンパス
妙にガソリン臭いイベントだなあ。
東京オートサロン会場をひとまわりして、まずはそんなことも思いました。というのも、2カ月ほど前に開催された「ジャパン・モビリティショー」とのコントラストがあまりにも激しいんですよね。
クルマ好きが心からワクワクできるイベント

モビリティショーは「クルマの楽しさ」というよりは社会性を前面に押し出したイベントで、スポーツカーの提案も多かったものの、EVとかハイブリッドカーが主役でクルマ好き目線からすると少し遠い感じ。超ワクワクする、みたいなノリとはちょっと違ったんですよね。
いっぽうでオートサロンは未来への提案ではなく、ハイパフォーマンスカーあり、チューニングカーあり、そして過激なクルマありで、クルマ好きとして地に足についた感じがする展示。そういうノリは昔のオートサロンから変わっていないんですが、モビリティショーを経たことでより鮮明になったような気がしました。
自動車メーカーのトレンドが変わった

もうひとつ感じたのは、今年の自動車メーカーのブースは「これ見よがしではなく、さりげない高性能車」が多かったということ。たとえばマツダの「MAZDA SPIRIT RACING RS concept」は、一見したところ内外装とサスペンションをスポーティに仕立てたカスタマイズモデルと思いきや、エンジンは何と日本向けのロードスターソフトトップモデルには設定のない2.0L。普通のロードスターよりパワフルなんです。でも説明などではそこに触れておらず、パッと見ではわからないけれどわかる人にはわかる高性能仕様をさらっと展示していたのがおもしろいところ。

ホンダがこの秋に発売として先行展示した「シビック RS」もさりげない高性能仕様だし、大改良したトヨタ「GRヤリス」には「MTと速さを争えることを目標に開発」というATが追加されていたりと、派手じゃないけど味わい深いモデルが多かった気がします。スーパーカーみたいな派手なクルマもいいですが、こういった身近なスポーティモデルもオートサロンらしくていいですよね。
自分の足で歩いて探し出すおもしろさ

また、派手なドレスアップカーに交じってスズキではなく業者が並行輸入した「ジムニー」の5ドアがシレっと置いてあったりと、会場を歩いていると思がけない出会いがあるのもオートサロンらしいなと思ったりして。ジムニーといえば、トヨタのブースに「トヨタ自動車会長の愛車の一台」としてジムニーが置いてあったのも想像を超えた展示でした。そんなことってありますか?(笑)
オートサロンは、やっぱり楽しいですね。あまりにも展示が楽しいから毎年思うのですが、たまには仕事ではなくプライベートで来て、隅から隅までじっくりと展示を見ながら会場を巡るのが夢だったりします。ここだけの内緒ですけどね。






というわけで、今年もオートサロン会場はやっぱりガソリンの香りが漂っていたのでした。もちろん、本当にガソリンのにおいがするというわけではなく、モーターよりもエンジンが主役だったということですよ。