ドライブ
更新日:2023.07.24 / 掲載日:2023.07.22

S660で最北の地 宗谷岬へ! 実際に走ってわかったこと【工藤貴宏】

文と写真●工藤貴宏

 そうだ、宗谷岬へ行こう!

 宗谷岬というのは、北海道のもっとも北に位置する場所。海の向こうは樺太だ。東京からだと直線距離にして約1100km。グーグル先生によると、筆者の住んでいる東京西部からは“クルマ利用の最短ルート”で距離にして1522km、時間にして21時間7分かかるらしい。遠い、本当に遠い場所である。

人生に一度は自分のクルマで宗谷岬に行きたい!

北海道ツーリングの夢は、S660を購入したことで具体的に動き出した

 この夏、やっと実現した「宗谷岬へのクルマ旅」は個人的な「やりたいことリスト」の上位に入っていたもの。思い立ったのは、ホンダ「S660」を購入した2年前である。

 自動車ライターという仕事柄、雑誌の企画において試乗車両で東京から自走して宗谷岬まで行ったことがある。しかし、心の中になにか引っかかるものがあった。それは「人生にいちどは、自分のクルマで、自分だけの運転で宗谷岬へ到達しないといけないのではないか」という、たぶん勘違いの使命感とどうでもいい征服心だ。

 そんな心のわだかまりが、S660購入によって具体的に動き出したのである。

 オーナーなら同意してもらえると思うが、S660はまるでバイクのようなクルマだ。バイクと違って雨風こそしのげるけれど、荷物はほとんど載らないし、乗用車としては軽量・コンパクトでドライバーとの一体感が高い。そして風と触れ合う歓びもある。まるでバイク乗りが夏になると北海道へ吸い寄せられるように、S660オーナーが北海道へ出かけたくなるのはきっと誰もが逆らえない自然の摂理なのである(たぶん)。

 というわけでこの夏、ボクは愛車S660で北海道へ行くことにした。「どうせ行くならいちばん先っぽ」というわけで、目的地は念願の宗谷岬だ。

本州から北海道に行くにはフェリーが不可欠だ

本州から北海道へ渡るフェリーには複数の選択肢がある

 ところで北海道はクルマ移動だけで行くことはできない。そう、海を渡る必要がある。かつては鉄道にクルマを積んで青函トンネルで渡る方法もあったのだが、いまはないのでフェリーを使うしかない。

問題はフェリー選びだ。本州と北海道を結ぶフェリー航路はいくつかあるが、往路はスタンダードな「青森~函館」便を使うことにした。もっと距離と乗船時間の短い「大間~函館」というルートもあるが、それだと大間まで出る必要があるからトータル時間としては長くなるし、便が少ないから時間的なロスも生じる。そこで乗船時間の短さでは2番手だが、トータルではもっとも時間が短く済む青森~函館便を選んだというわけ。

 逆に復路は、「苫小牧~仙台」という少し長めの航路を選択。これは「帰り道は運転する距離を減らしたい」というなんの濁りもないピュアな手抜きの精神と、「夜便でゆっくり寝たい」というズボラさゆえの選択だ。本州を走る距離を半分程度に縮めてくれる、15時間の航路をひとことでいえば、「楽だった~」。

 ちなみにもっと楽をしたければ、「苫小牧~大洗」という選択肢も。これは18時間とさらに時間がかかるが、言い方を変えればそのぶん船内でゆっくり過ごし、船旅を満喫することができる。

S660のロングツーリング性能は実質「一人旅」専用

荷物を搭載するスペースの少ないS660では、助手席が実質的なトランクスペースになる

 閑話休題。バイクのようなS660にロングツーリングの荷物を積むのはそれなりに大変だ。そもそも「トランクスペース」なんてものはないに等しい(ボンネット内に“気持ち程度”の物入れがあるだけ)。今回のツーリングの荷物は機内持ち込みサイズのキャリーバッグひとつと手荷物程度と少ないけれど、それでも助手席をつぶす以外の選択肢はなかった。というわけで参考までにお伝えしておくと、S660のロングツーリングは“ソロ”でしかこなせないので覚えておくといいだろう。

牽引ロープなどの非常時に必須のアイテムを入れると、トランクに荷物を入れることは難しい

 ちなみに、今回自分自身に課したお題のひとつは北海道内の移動中は可能な限りオープンにしておくこと。オープンドライブもS660の醍醐味のひとつだからだ。

 S660のボンネット内の狭い収納スペースは外した幌を収めるためのスペースでもあるのだが、あいにく牽引ロープやブースターケーブルなどの「愛車セット」で半分くらい埋まっている。そのため外した幌は助手席に置くのがボクのS660ライフだ。というわけで、キャリーバッグ+αの荷物と外した幌に占領されている助手席を見るとなんだか楽しくなってくる。言っておくけど、こういうのは普通のクルマじゃあちょっと味わえないよ。

高速道路での巡行は正直苦手だが、クルーズコントロールの存在は大きな助けになった

 そうそう、もうひとつ正直に告白をすると峠道がメチャメチャ楽しいS660だけど、高速巡航は苦手だ。直進安定性が悪いし、乗り心地もピョコピョコするし、なにより騒音がうるさいから疲れる。

 いっぽうで心強いのはクルーズコントロールがついていることで、そのおかげで延々と続く退屈な東北道も発狂せず走破することができた。クルーズコントロールって偉大だ。S660  にもついていてよかったー! もし「クルーズコントロールのないクルマで北海道へ行って帰ってこい」と提案されたら、ちょっとだけ迷ったふりをして断るだろう。

 始点から終点まで約680キロと日本最長の高速道路である東北道を走る途中で、アクセルを踏む右足がツルかもしれない。

まわり道をしたからこそ出会えた絶景ドライブルート

旅を楽しみたいなら、高速道路よりも一般道がオススメ

 「可能な限り天井を開ける」とともに、今回のツアーに自ら課したお題は「高速道路を使わずできるだけ海沿いを走る」こと。ときどき宗谷岬へ行くのに北海道の真ん中を高速道路で北上する最短ルート派の人がいるけれど、筆者に言わせればそんなのもったいなさすぎる。

 なぜなら、西海岸沿いを北上する「オロロンライン」が絶景だからだ(今回走ってはじめて知ったのだけど)。「こんなに美しい道があるんだ!」っていうくらいのレベルで、同行した旅の友も「ここはまた走りたい道。この夏のうちにもう一度来てしまうかも」と大絶賛していた。宗谷岬へ行くのなら、イチオシの道である。というか、通らないなんて言う選択はあり得ない。

 そもそも高速道路よりも一般道のほうが景色を楽しめるし、高速道路でスッと行くのではなくジワジワ北上したぶんだけ宗谷岬到達時の満足感も高い……に違いない。とにかくおすすめは「オロロンライン」だ。ここは絶対に通るべし!

「日本海オロロンライン」は宗谷岬ツアーでぜひ走ってもらいたい絶景ルート

 というわけ函館から上陸し、江差へ抜けて日本海側へ。そこから、小樽、石狩、留萌、羽幌、天塩、とひらすら日本海沿いを走り続けて稚内へ。そしてついに到達した宗谷岬。「♪はーるばるきたぜ!宗谷岬♪」という満足感に浸れる瞬間だ。

東京→宗谷岬。走行距離とかかった費用は?

ついに到着した宗谷岬。東京から2日と半日かけただけに、達成感もひとしお

 海沿いへ遠回りしたこともあって東京から2泊と半日かかったけれど、その分到達感がハンパない。

さて、今回のツーリングをまとめてみよう。総走行距離は2373.7キロ。内訳は東京から青森までが751.3キロ。北海道内が1237.1キロ。そして帰りの仙台から東京までが385.2キロだ。

 使ったガソリンはトータルで105.8L。燃費が満タン法で計算すると22.4km/L。メーターの燃費計だとトータル燃費23.9km/Lだった。メーターと燃費計では1.5km/Lほど開きがあるけれど、いずれにせよS660は本当に燃費がいい。

 ちなみに北海道内で海沿いの道を走っているときは、メーター内の平均燃費計が27.0km/L前後で推移していた。

 かかった費用は、ガソリン代が1万8062円、主に本州内移動(北海道で有料の高速道路を使ったのは余市から石狩にかけてのみ)で利用した高速代が1万5450円(軽自動車は安い!)、ネット割引などを使ったフェリーは往路が1万1000円+復路は移動距離が長いのに加えて部屋を個室へアップグレードしたこともあり3万2000円。

 あとは北海道内の3泊の宿泊代(今回は2万5000円ほど)と、食事代程度だ。

まとめ

北海道宗谷岬への5日にわたる旅は、愛車と向き合える幸せなひと時だった

 こうして旅を終えて思うのは、北海道の美しい風景を楽しめたのに加えて、5日間にわたってとことん愛車と時間を過ごすのは運転好きにとっては幸せなひと時だということ。これだけ愛車とゆったり向き合える機会なんてそうそうなく、いい休暇になったと実感している。疲れたことは疲れたけれど。

 また行きたいのか?と問われれば、答えはもちろん「YES!」だ。今度は道東の海沿いルートを制覇したい!

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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