車の最新技術
更新日:2019.04.02 / 掲載日:2019.04.02

MAZDA CX-30 ズバリ、アリか?ナシか?

新型マツダ3の発表時から、SUVモデルの存在は噂されていたが、ついにジュネーブショーで全貌が明らかにされた。その詳細が分かるにつれて見えてきたのは、CX-30は既存のマツダSUVの弱点を巧みにカバーする、本気で造られたSUVということだ。
●文/山本シンヤ ●写真/マツダ

マツダの新世界戦略SUV ジュネーブショーで衝撃デビュー!

  • 大きすぎず、小さすぎず。CX-30のボディサイズはその言葉がしっくりとくる。スタイリングも、世界で戦う使命が与えられた戦略モデルゆえに、最新の魂動デザインを注入された。

  • ジュネーブショーを発表の場に選んだのは、欧州市場でコンパクトSUVの存在感が著しく高まっているという理由が大きい。実際、現地での注目度はとても高く、アンベールの瞬間には多くのフラッシュを浴びていた。

流麗スタイリングの中には優れた機能と実用性が宿る

ジュネーブショーで世界初公開されたCX-30(シーエックス サーティ)。CX-3とCX-5の間に位置する新コンパクトクロスオーバーなのだが、多くの人の疑問は「なぜ車名が2桁なのか?」だろう。実はこれにはマツダの事情が絡んでいる。

すでにラインナップされるCX-3はデミオがベースであり、本来は「CX-2」と呼ぶのがふさわしい。だが、キャラクターや価格の面から「3」を名乗った。一方、中国向けにはCX-5をベースにクーペルックのCX-4がラインナップするためそれも使えない。そこで前席優先でパーソナルユースがメインのCX-3に対して、CX-30は後席やラゲッジも重要視してファミリー需要を狙うというのだが、この車名を発売までに浸透させることが必要だろう。

車名には紆余曲折がありそうだが、クルマはしっかりと造られている。サイズは全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm、さらにホイールベース2655mmと、まるで日本市場を見据えているような絶妙なサイズだ。主査の佐賀氏によると、「コンパクトクロスオーバーとしての適正サイズは日本も欧州も同じ」と語る。

以前からマツダ3ベースのクロスオーバーを開発していると聞いていたので、デザインコンシャスなクロスオーバーを予想していたが、デザインは意外と普通だ。チーフデザイナーの柳澤氏は、「マツダ3は減少傾向のハッチ市場に投入するためあえてクセの強いキャラを採用しましたが、CX-30は今後基幹車種として成長させていきたい想いが強く、幅広いユーザーを想定しています。クルマのコンセプトと同じようにデザインも 直球勝負を選びました」と語る。面で表現する深化した魂動デザインに加えて、クラッディングを厚めにすることで、上半分はスポーツカーのようなタイト感を持ち、一方で下半分はSUVの力強さを表現しているという。

インテリアは横基調かつ要素をシンプルにしたデザインや上級のマツダ6(=アテンザ)を超える質の高い空間は新型マツダ3譲りだが、家族で乗る事をイメージし包み込むような空間を演出。クラフトマンシップにもこだわり、アッパーのステッチやインテリアカラーにもこだわったそうだ。居住性もホイールベースはマツダ3より短くなっているが、フロアを下げシートバックのトルソ角を立てた上で、アップライトなポジションの工夫を加える。ラゲッジも十分なスペースの確保はもちろん、開口部も広く取られている。

  • 最新の魂動デザインを具現化したスタイリングも目玉のひとつ。“移ろい”や“反り”を表現した造形がボディパネルやフェンダーアーチに注がれることで美しいプロポーションを実現している。

  • キャビンの仕立ても人間中心の設計思想はそのままに質感を向上。

  • 従来は前席優先の設計が常だった既存SUVに対してCX-30は後席の頭上空間を確保を試みたり、開口部まわりからのラゲッジアクセス性を配慮するなど、実用面にも多くの配慮を注いでいることも注目ポイント。

新開発エンジンがズラリ走りの向上もぬかりなし

公開された欧州仕様車のパワートレーンは、2LガソリンとスカイアクティブX(共にマイルドハイブリッド)、1・8Lディーゼルターボの3種。シャシーはマツダ3と同じく新世代車両構造技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャ」を採用する。Gベクタリンクコントロールプラスと協調制御する新型i-ACTIV AWDなども水平展開。走りの味付けはマツダ3と変わらないものの、CX-30独自の世界観を構築しているそうだ。筆者は一足お先にマツダ3に試乗済みだが、あの滑らかな走りがクロスオーバーで実現されていると思うと、CX-30も相当期待できるはずだ。

発売はヨーロッパを皮切りに順次世界の主要市場に導入を行なう予定だが、気になる日本向けは2019年内に正式発表されるという。間違いなく秋から冬にかけてその詳細は明らかになるはずだ。

主査の佐賀氏は「SUVのラインナップが揃ったので、自分の感性やニーズに合うものを選んで欲しい」とも語るが、CX-30の登場でCX-3とCX-5のユーザーを一気に奪ってしまうことが、筆者の唯一の心配ごとである。それほどCX-30に魅力を感じてしまったのだ。

パワートレーン&メカニズムは マツダ3と共通

 走りの質感向上にも積極的なマツダらしく、メカニズムの多くはマツダ3と共通。新世代エンジン「スカイアクティブX」や次世代型にアップデートしたばかりのi-ACTIV AWD、G-ベクタリングコントロールプラスなどの最新メカニズム&機能が惜しみなく注がれる。

マツダの次世代エンジン SKYACTIV-X車の設定もあり

  • 独自の燃焼方式「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を採用したスカイアクティブXエンジンは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いとこ取りを狙った野心的なユニット。

  • 「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」を用いた最新シャシーの採用もトピックス。これによりボディ側とサス側共に足回り構造が強化されたことで、走りの質感向上が期待される。

●主要諸元(CX-30 欧州仕様車)
●全長×全幅×全高(mm):4395×1795×1540 ●ホイールベース(mm):2655 ●パワーユニット:SKYACTIV-G2.0/SKYACTIV-D1.8/SKYACTIV-X ●ミッション:6速MT/6速AT ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●ステアリング:ラック&ピニオン式 ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R)●タイヤ:215/65R16、または215/55R18

2019年末に日本上陸が確実

  • CX-30 車格的にはCX-3とCX-5の間を埋める存在

  • CX-3

  • CX-5

CX-3を完全に食ってしまう かなり魅力的なSUVになりそう

■CX-30/CX-3/CX-5 ボディ比較 ※CX-30の数値は暫定値。

年末には日本にも導入されるCX-30。そうなると気になってしまうのはCX-3とCX-5との関係だ。特にCX-3とはスカイアクティブX以外のパワートレーンの設定が同じで、価格帯も近いことが予想できる。

まずボディサイズを比較してみると、マツダ3ベースのCX-30は、デミオベースのCX-3よりも少し上の設定。寸法的にはCX-5とは少々差があることがわかる。さらにCX-30はキャビン&ラゲッジの使い勝手も考慮した設計が与えられていることも考慮すると、影響が大きそうなのはCX-3だろう。

パワートレーンもスカイアクティブXを選べるCX-30の方が上位設定。CX-5は2.2Lディーゼルターボが選べるため、車格としては1ランク上だが、スカイアクティブXの実力次第では、下克上の可能性も十分。マツダ車ナンバーワンの人気者と高みの見物はできないだろう。

そうなると鍵となるのは価格だが、そこでキーになるのが、間も無く販売が開始されるマツダ3の価格だ。現時点では編集部調べとなるが、思った以上に戦略的な価格設定なのだ(詳しくはP39をチェック)。SUVゆえにプラスα分は高くなるだろうが、正式発売される際には、CX-3はもちろん、CX-5もうかうかできない価格設定になる可能性大だ。

従来型アクセラベースのCX-4は中国専売モデル

CX-30のキャラを考えれば、本来はCX-4になるのが妥当だ。しかしすでに中国市場向けにCX-4は投入されており、しかもかなりの人気を集めている。この人気を壊すのは……。CX-30と名付けられたのは、こんな理由もあるのでは?

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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