新車試乗レポート
更新日:2026.08.18 / 掲載日:2026.08.17
【スバル レヴォーグ レイバック】燃費だけでないS:HEVモデルの価値【石井昌道】

文●石井昌道 写真●スバル
ステーションワゴンのレヴォーグをベースに、最低地上高を高めてクロスオーバーSUVとしたレヴォーグ・レイバック。2023年の登場から3年が経ったタイミングでストロング・ハイブリッドのS:HEVが追加となった。
低燃費で走りもいいストロングハイブリッド仕様が加わった

水平対向エンジンには低重心で吹き上がりが滑らかであるなどメリットがある一方、燃費や低速トルクといった弱点があるが、ストロング・ハイブリッドがそれを一気に改善する。1.8Lターボを搭載したモデルのWLTCモード燃費が14.1km/Lのところ、2.5L自然吸気を搭載したS:HEVは19.0km/Lとなっている。
S:HEVを搭載したレイバックは、フロントセクションを中心にボディサイズやエクステリアデザインも変更された。
1.8Lターボの全長×全幅×全高が4770×1820×1570mmなのに対して、S:HEVは4735×1820×1550mm。全長が短くなっているのはフロントのオーバーハングが切り詰められたからで、先にS:HEVを搭載しているクロストレックのフロントセクションを組み合わせている。ちなみに、スバルでは既存の技術の組み合わせで新しい商品を生み出すことを“技術アセット”と呼んでいるが、同モデルはその一例と言える。

全高は、日本のほとんどの立体駐車場に対応する1550mmとなった。そもそもスバルは、クロスオーバーであってもSUVと名乗るからには最低地上高をきちんと高めるのがポリシーであり、その基準は200mm程度とされる。
ベースのレヴォーグは最低地上高145mm、全高1500mmに対して、初期型レイバックは最低地上高を200mmとして全高は1570mmだった。1.8Lターボでは現在でも継承されるが、新しいS:HEVはユーザーからの要望なども踏まえ、都会派クロスオーバーとしてのキャラクターを強めたのである。フロントセクションのデザインでも、ボンネットからあのターボダクトがなくなったことは都会派を求めるユーザーからは歓迎されることだろう。
モーターのアシストが運転しやすさにつながっている

今回は長野県の白馬八方尾根スキー場の取り付け道路を封鎖したワインディングロードで試乗。アップダウンが多く、タイトコーナーと長いストレートで構成され、路面が適度に荒れているため乗り味を見極めるには好適なコースだった。
S:HEVで走り始めると、まずはモーターの強いアシストによってドライバビリティが良好なことを実感した。特にタイトコーナーの立ち上がりではアクセルオンと同時に豊かなトルクが立ち上がるのが気持ちいい。
下り坂でステアリングのパドルを操作すると程よい感覚でエンジンブレーキがかかる。じつはクロストレックやフォレスターのS:HEVは、スバル社内でエンジンブレーキをもう少し強めたいという声があり、エンジン回転の制御などでより減速感が味わえるようにしているという。
1.8Lターボも同じ条件で試乗したが、低速からの立ち上がりの鋭さやレスポンスの良さはS:HEVが明確に優位なものの、高速域での伸びの良さでは立場が逆転する。ストレート区間の後半ではターボの威力が発揮されるのだ。ただし、標高が1600mと高い同コースではターボのレスポンスが鈍くなる現象も見られた。

S:HEVは乗り心地と操縦安定性が、高い次元でバランスしていた。低速域で細かな凹凸をスムーズにいなすとともに、うねりのある路面をハイスピードで通過したときのボディの伸び上がりが抑えられていて安定感がある。一方の1.8Lターボはやや上下動が大きく感じられる。ただし、大きな凹凸を通過したときには、よりストローク感が豊かでスムーズでもあった。
S:HEVは最低地上高を20mm下げるにあたり、サスペンションに手を入れている。スプリングの自由長を短くし、ショックアブソーバーのケースも短くした。そのままではストロークも20mm短くなってしまうので、バンプストッパーを切り詰めて1.8Lターボとほぼ同等のストロークを狙ったという。実際には数mm短くなっており、そのわずかな差が比較試乗ではストローク感の違いとして表れていた。
とはいえ、今回はクローズドとしたワインディングロードで、やや非現実的な走りでもあったので、日常域では最低地上高180mmのS:HEVであっても、ストロークは十分に豊かに感じるはずだ。
また、車両重量は約100kg重くなっているもののバネレートはあえて同じにすることで、凹凸を吸収しやすくして乗り心地を向上。それに対応してショックアブソーバーは動き始めから適度な減衰力を立ち上げるとともに、高速域では伸び側でボディの上下動を抑えた。
車高の低さはハンドリングにもいい影響をもたらしていた。ステアリングの切り始めからスムーズにノーズがインへ向いていきながら、リアがしっかりと安定した感覚もある。パワーステアリングの制御で軽快感を出しつつ、AWDの前後締結によって安定感を得ている。ドライやウエットのグリップ力に限りのあるオールシーズン・タイヤの能力に合わせたセッティングだ。
都会派クロスオーバーSUVとしての完成度が高まった

燃費性能を向上させただけではなく、都市部での使い勝手の向上や、微に入り細に入り走りの性能を追求したことで都会派クロスオーバーSUVとしての完成度を大いに高めたことが、S:HEVを搭載したレイバックの最大の価値だと言えるのだ。
レヴォーグ レイバック新車価格帯:424万6000円〜452万1000円(S:HEVのみ)



