車の最新技術
更新日:2026.08.17 / 掲載日:2026.08.17
CLAに搭載されたメルセデスの次世代技術を解説【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●メルセデス・ベンツ
7月に日本導入されたばかりのメルセデス・ベンツCLAは、多くの新技術を搭載した新世代のモデルだ。最新のMMA(Mercedes-Benz Modular Architecture)プラットフォームを採用し、BEV、ハイブリッドともにパワートレーンも新世代となった。E/Eアーキテクチャーも刷新して自社開発のオペレーションシステムMB.OSを採用している。

BEVのバッテリーは新世代の三元系で容量は85.5kWh。負極にグラファイトとシリコンオキサイドを組み合わせることで、従来型に比べて重量あたりのエネルギー密度は最大20%向上。体積エネルギー密度680Wh/Lを実現した。電動パワートレーンも新世代でCLA250+はリアに最高出力200kW(272PS)の永久磁石同期モーターを搭載。ドライブユニットは自社開発で効率は最大93%を実現しているという。WLTCモードでの一充電走行距離は771km。Cセグメントに属するモデルとしては望外とも言える航続距離だ(全長4725mmなのでDセグメントに迫るサイズではあるが)。

さらに特徴的なのは2速トランスミッションとしたことだ。ポルシェ・タイカンなどスポーツタイプでの採用例はあるものの、ほとんどのBEVが1速であるところ、2速化したのはBEVの課題の1つである高速域の電費を改善することにある。低回転から大きなトルクを発生するモーターは、1速でも高速域までカバーすることが可能ではあるが、高回転域は効率が落ちてくる。そこで高速域ではモーター回転数を抑え、効率のいい領域を使うべくギアを1つ増やしたということだ。アクセルを全開にすれば1速で110km/hまで引っ張るが、負荷が低ければ70km/h程度でシフトチェンジ。WLTCモード電費は132Wh/kmで、市街地モードは125Wh/km、郊外地モードは129Wh/km、高速道路モードは138Wh/km。他のモデルと比較すると、低速の市街地モードに対して高速道路モードの電費悪化がかなり抑えられているのがわかる。同クラスの一般的なモデルは18~20%程度悪化するが、新型CLAは10.4%だ。

高速域での電費に大きな影響をもたらす空力性能も徹底的に磨き上げられている。アンダーボディは全面的にフラットとされ、フロント周りのフラッシュサーフェス化、格納式ドアノブや高効率デザインのホイールなどでCd値は0.21とベスト・イン・クラスとなっている。もちろん走行抵抗には、空気抵抗のほかにドライブトレーンやタイヤの転がり抵抗なども含まれる。メルセデスの説明では全体の走行抵抗に占める空気抵抗の割合は、中国のモード電費であるCLTCモード(平均速度29km/h)では23%、世界標準のWLTPモード(平均速度46km/h)では42%であるのに対して、メルセデス独自のロングディスタンスモード(平均速度97km/h)では57%にも及ぶという。高速電費にフォーカスした開発は、アウトバーンの国ならではだ。

従来のメルセデスの48V電源MHEV(マイルドハイブリッド)は、BSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)とISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)があったが、CLA用は新開発。1.5L直列4気筒ガソリンエンジンはミラーサイクルで、排気流路を分割し、その接続を運転状況に応じて切り替えるセグメント化タービンを採用。低回転域の応答性と高回転域の十分な排気流量を両立している。22kWのモーターを統合した8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)である8F-eDCTと組み合わされる。DCTには奇数ギア用と偶数ギア用の2つのクラッチがあるが、さらにエンジンを切り離してEV走行するためのクラッチを追加したトリプルクラッチとなっている。従来のシステムに比べて燃費改善効果は大きく、CLA180は20.3km/L、CLA200は20.2km/L(ともにWLTCモード)となっている。

自社開発したオペレーティングシステムのMB.OSの採用も新しい。インフォテインメント、運転支援、ボディ&コンフォートの各領域を統合的に制御する新世代E/Eアーキテクチャーと組み合わせ、車両ソフトウェアはOTA(Over the air)で継続的にアップデートできる。また、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)は第4世代となり、複数のAIを1つのシステムに統合したバーチャルアシスタントを採用。友人との会話のようなコミュニケーションが可能になっている。
安全運転支援システムは新世代へと切り替わり、新たにMB.DRIVEという名称となった。8つのカメラ、5基のレーダー、12個のソナーセンサーに加え、コンピューターが高性能化されているので、大幅な性能向上が図られている。
あらゆる面で刷新された新型CLAは、これからのメルセデスを占うモデルでもある。試乗が待ち遠しい1台だ。