新車試乗レポート
更新日:2025.05.07 / 掲載日:2025.05.06

【メルセデス・マイバッハEQS SUV】ショーファーカーも電気の時代【九島辰也】

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ

 メルセデス・ベンツグループの中で我々メディアが一番疎いのがメルセデス・マイバッハかもしれない。主軸となるメルセデス・ベンツは当然のことメルセデスAMGの方が圧倒的に触れる機会が多い。特にハイパフォーマンスなAMG系は興味を誘うこともありステアリングを握ることは多々ある。ペトロナスと組むF1チームの印象は強く、レーシーな香りがプンプンするのは魅力的だ。

いつものメルセデスとはオーラが違う

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV

 それに比べるとメルセデス・マイバッハは取材対象になりにくい。いわゆる豪華版であることはわかるが、新たなテクノロジーを見つけることが難しいからだ。かつてのように独立したブランドとして存在していればまだしも、ラグジュアリーな“グレード”となるとその傾向は余計強くなる。

 とはいえ、今回久しぶりにメルセデス・マイバッハに対面し、走らせてみると、存在感はすごい。駐車場に置いてあるクルマは遠くからでも感じるくらいオーラを放っていた。その佇まいは「普通じゃない」というのが正直な印象だ。

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV

 用意されたクルマはメルセデス・マイバッハEQS 680 SUVである。昨年8月に日本導入が開始されたモデルだ。ベースとなるメルセデス・ベンツEQS SUVが2023年5月に日本発売されているから、一年以上経ってからとなる。マーケットが特異だからそこは焦る必要はないのだろう。オプションやビスポークオーダーが多そうなクルマだから、時間をかけてそれぞれが世界に一台になるといった感じだ。

 ではその特徴だが、“マイバッハ”といえば高級感盛り盛りの専用フロントマスクとツートンに塗られたボディ、それと個性的なアルミホイールに他ならない。モダンかつクラシックな装いが彼らのアイデンティティとなる。今回もそれは健在なほか、ドアに仕掛けがあって、モニター操作で開け閉めができたりする。なんとも贅沢な装備。この辺は“あったらいいながある”といったところだろう。

最先端のインターフェースシステムと豪華な後席空間

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV

 インテリアはリアルウッドのパネルと植物由来原料で加工したナッパレザーでクラシックな雰囲気を出すと同時に、MBUXハイパースクリーンで未来感を同居させている。インターフェイスはもちろん最新で、後部座席用にMBUXリアエンターテインメントシステムが標準装備される。なるほど、こちらも“あったらいいながある”と言えそうだ。世界的な富裕層向けには、十二分過ぎるほどの装備が展開される。

 パワーソースは容量118kWhのバッテリーで、前後2つのモーターがそれを駆動力に変換する。最高出力は658馬力(484kW)で、最大トルクは955Nmとなる。メルセデス・ベンツEQS450 4MATIC SUVが360馬力(265kW)/800Nm、EQS580 4MATIC SUV SPORTが544馬力(400kw)/858Nmということからもその差はハッキリしている。高出力であることは明白だ。

上質なやわらかさを感じさせる乗り心地

メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV

 では走らせた印象は、まずは乗り心地がめちゃくちゃ良い。彼ら自慢のAIRMATICサスペンションが標準装備されていることもそうだが、3210mmという超ロングホイールベースがいい具合に柔らかさを感じさせてくれる。きっとこの味付けは徹底的にテストを積み重ねた結果だろう。ベントレーやレンジローバーまでは届いていないが、かなりいいレベルまで来ている。上質さを感じさせる仕上がりだ。ちなみにタイヤサイズは前後275/40R22となる。

 それと意外なほどハンドリングがいいのが際立った。リアアクスルステアリング効果で、タイトコーナーをクルッと回ってくれる。全長5135mmにして最小回転半径5.1mは素晴らしい。きっと車庫入れも楽に感じることだろう。

 パワーに関しては多くを語るまでもない。0キロからのスタートダッシュはかなり速く、3tのボディをこれだけ軽々しく動かすのはBEVならではだ。中間加速もそうで、身体がシートに押し付けられるGフォースを生む。そこは本領発揮となる。

作りのよさは間違いない。必要なのはブランド力

 そんなメルセデス・マイバッハEQS 680 SUVの価格は2790万円。試乗車はそれに700万円近くのオプションが装着されていた。果たしてこれは高いのか安いのか。個人的にはメルセデス・マイバッハのブランドバリューをもっと上げる必要がある気がしなくもない。つくりがいいだけにバリューを知ってもらうのは大事に思える。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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