新車試乗レポート
更新日:2025.03.17 / 掲載日:2025.03.17
トライトン&アウトランダー「三菱四駆の底力!」
三菱四駆の底力!
1月末に北海道・新千歳モーターランドで開催された三菱の雪上試乗会に用意されたのはトライトンとアウトランダー。パジェロの技術を継承する4WDトラックとランエボを彷彿とさせる意のままの走りを実現した最新電動SUVの実力をあらためて検証することができた。全日本ラリー選手権に参戦中の竹岡圭がガチ勢の視点を交えてお伝えする。
●文:竹岡 圭 ●写真:MITSUBISHI


プラグインハイブリッド搭載の最先端クロスオーバーSUV
OUTLANDER[アウトランダー]
伝統と信頼を継承するクロカン4WDスポーツトラック
TRITON[トライトン]

ゴリゴリ進む!!


スイスイ進む!!


安心感に楽しさをプラス。今後の発展も楽しみ!
そもそも四駆というものは、4輪の摩擦力に合わせて、タイヤの能力をバランス良く最大限に発揮させる技術。三菱車が目指す「どんな路面や天候でも、誰もが安全・安心・快適に自信をもって意のままに愉しく走れる」クルマ作りには、ピッタリの技術です。
そこで三菱自動車は、’67年からWRCに、’83年からダカールラリーに、’12年からEVスポーツに参戦を始め、モータースポーツと共にさまざまな基本技術と四駆技術を磨いてきました。
その過程でWRCのようなシーンに対応する四駆技術として、’87年にAWCと4WSを量産車に投入。’10年からは車両運動統合制御システムであるS-AWCへと進化し、その後も深化と熟成を続け、最新型がアウトランダーPHEVに盛り込まれています。
もうひとつダカールラリーのようなシーンに対応するものとして、’91年にSS4をパジェロに投入。現在はSS4-ⅡとブレーキAYCを組み合わせることでS-AWCに近いような動きができる技術を、トライトンに盛り込んでいます。
そんな三菱の四駆技術を安全に体験しようと開催された、千歳モーターランド雪上特設コースでの試乗会に行って参りました。
まずはアウトランダーでノーマル、グラベル、スノーと3つのモードを選択して走行してみました。ノーマルを基準とするとグラベルモードは前へ前へと進ませる駆動力が強く、アグレッシブに走るには最適ですが、通常走行では踏み出し時のアクセルコントロールの繊細さが求められます。簡単に言うと、必要量よりやや前に出すぎる傾向が強い感じですね。
制御の入り方は立ち上がりから大きめ。例えると、黒子が常に椅子に座ったスタンバイ状態で待っていて、必要な時にガバッと立ち上がってサポートに入る感覚です。
それに比べてスノーモードは、早めから薄めに自然に制御が入っている感覚。黒子は常に立ち上がり、半歩踏み出しそうなスタンバイ状態で待っていて、必要になりそうなうちから、気づかせないようにスーッとサポートに入ってくる感覚となります。
ちなみに、雪道を安全重視で走るならばスノーモードのイノベーティブペダルONが最強。特にアイスバーンでいちばん怖い操作はブレーキを踏むことですが、アクセルペダルオフで強力な回生ブレーキが入るおかげで、特設コースをノーブレーキで走り切れちゃうくらいラクに走れます。この心強さ、一度体験していただきたい。
そして、オマケでマッドモードを試してみましたが、これは泥濘地脱出モードなので、当然のごとく曲がりにくくなりました(笑)。
いずれの制御もツインモーターを生かし、必要な時に細かくサッと介入に入れるのが大きなポイント。S-AWCの技術は、電動車の方がより際立つと言えそうです。
さて、お次はトライトン。こちらは空しか見えないくらいの急勾配の上り下り、すり鉢、テーブルトップ等々といったヤンチャコースでしたが、これぞ真骨頂が発揮できるコース。センターデフフリーの4Hモードを持っているのもトライトンの大きな特徴で、狭いコースを縦横無尽に駆け抜けることができるんですよね。
と言いながら、個人的にはセンターデフロックの4HLcが好みで、ラリーでもメインでこちらを使っているため、ついついこちらを選択。ちなみにこのモードだとブレーキAYCがオフになりますが、これでも十分に曲がりますし、さらにはリヤデフロックという、地球上のどんなぬかるみからも抜け出せると言ってもいいくらいの最強のモードも有るので安心です。
四駆は安心安全な生活のために役立つ技術でもありますが、三菱車の四駆はあくまでもドライバーが主体。でも最後まで諦めずにフォローする、冒険への後押しをしてくれる技術でもあります。今後も世界を駆け巡る三菱の四駆に期待したいですね!
四駆機構に注目!! ““ガチ勢”もニンマリの本格システム”
トライトン【スーパーセレクト4WDⅡ】ポイント解説


パジェロで採用されていたスーパーセレクト4WD-Ⅱ(SS4-Ⅱ)に、ブレーキAYCを加えることで、S-AWCのようなシームレスな動きができるのが特徴。特に4Hモードは、トルク感応式センターデフを用い、ドライ路でもタイトコーナーブレーキ現象の発生もなくフルタイム4WD走行ができる。本来仕事車ゆえに日常的な使用シーンも考慮されている。
















アウトランダー【S-AWC】ポイント解説


アウトランダーでは、S-AWC/パワートレーン/パワステの制御特性を、運転スタイルや走行路に合わせて最適化した7種類のドライブモードから、ダイヤルを回すだけの簡単操作で選べるのがポイント。三菱車の四駆はドライバーにしっかり差がわかるモードの作り込みがなされていて、人の感覚に合わせてシームレスに働くのも特徴だ。











MITSUBISHI トライトン

トラックの使い勝手と乗用車的な快適性を両立
基本は商用のピックアップトラック。海外ではシングルキャブやクラブキャブといったモデルもあるが、日本へはタイからダブルキャブのみが持ち込まれる。ピックアップトラックとは思えない乗り心地の良さと静粛性の高さとインテリアの質感の高さは、もはやSUVの新カテゴリーと言ってもいいくらい。GLSなら全幅1865㎜(オーバーフェンダーのついたGSRは1930㎜)、数値以上に小回りも利くなど、意外と扱いやすい。ただし、5320㎜(5360㎜)の全長で駐車場は要注意。



MITSUBISHI アウトランダー

SUV&電動車の可能性を大きく拡げるPHEV
急速充電器に対応したPHEVの本格派SUV。パドルシフトで6段階の回生力の変更や、自己発電できるチャージモードを有していたりと、自分でエネルギーマネジメントをしながら走れる賢さと、7つのドライブモードを生かした走破力が魅力。また、大容量の電気が取り出せるために、V2Hへの対応はもちろんのこと、V2Lを使ってアウトドアシーンでも電気製品が使えるなど、移動できる充電池として走行時以外にもさまざまな可能性を秘めた世界的にも貴重なモデルだ。


