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更新日:2023.07.06 / 掲載日:2023.07.06

秋デビュー! レクサスLBXがプレミアムコンパクトの大本命と言えるこれだけの理由

もうすぐ出る注目NEW先取りチェック

6月5日にイタリアのミラノで、同9日にアメリカのテキサスで、レクサスは立て続けに3車種のニューモデルを発表した。中でも大注目のコンパクトクラスSUV・LBXをチェック!

●文:横田晃

【2023年秋以降、国内デビュー】プレミアムコンパクトの大本命

LEXUS LBX

●主要諸元(LBX プロトタイプ) 全長:4190㎜ 全幅:1825㎜ 全高:1560㎜ ホイールベース:2580㎜ タイヤサイズ:225/60R17、225/55R18

ブランドの威信をかけて小さな高級車にチャレンジ
 レクサスLBXは、いわゆる”小さな高級車”の商品企画だ。デザインはマッチョだが、全長4190㎜のコンパクトサイズ。パワートレーンやシャシーは、トヨタ最小クラスとなるGA-Bプラットフォームがベースになっている。

 そう書くと「なーんだ」と言う人もいるかもしれないが、今日のレクサスの実力を侮ってはいけない。ブランドのローンチから30余年、日本でも20年に近い歴史を重ねてきたレクサスは、いまや数値では語れない高級車の味を醸すノウハウを完全に我が物にしている。

 高級車とはいかなるものかという問いへの回答は、容易ではない。軽自動車にも高度な運転支援機能が用意される現代では、装備が豊富なだけでは高級車とは呼べないし、ボディサイズや排気量も今や高級車を定義する要件ではない。

 レクサスというブランドが成功するまでの道のりは、その答えを探す旅だったと言えるだろう。

 1989年に誕生したレクサスブランド初号機のLSは、圧倒的な快適性や品質を高級の拠り所にした。ただし、それだけでは世界の高級ブランド車の、歴史が育んだ個性に勝てなかった。米国では成功できたが、日本や欧州では継続的な評価は得られなかったのだ。

 そんなレクサスの躍進のきっかけとなったのは、1998年に登場したRX(国内ではハリアー)だ。オンロードメインの快適な上級SUV=ラグジュアリークロスオーバーという、海外メーカーにはなかった斬新な企画は、たちまち世界で認められ、名だたる高級ブランドたちにも後を追わせた。

 それは次の世代ではハイブリッドで武装し、エコとラグジュアリーを両立させて、レクサスの個性を決定づけるコアのひとつとなる。

 その一方で、豊田章男前社長の肝いりで開発されたスーパースポーツカーのLFAは、パフォーマンスとラグジュアリーの両立に挑み、新しい高級車像を築いた。

 そこで得られた知見をベースに確立されたのが、レクサスドライビングシグネチャーと呼ばれる、ドライバーの意のまま、かつ上質な乗り味を柱とするブランド独自の世界観なのである。

 じつは、高級ブランドを高級ブランドたらしめている決め手は、そうした揺るぎない世界観の存在だ。それがセレブリティに強く共感されてこそ、本当の意味での高級ブランドになれる。

 だからレクサスLBXは、ただのコンパクトモデルではない。一流の職人が寿司を芸術の域に高めるように、このクルマには隣町への用足しも幸福な体験へと変える世界観が表現されているはずだ。

すっかりレクサスのアイデンティティとなったスピンドルグリルは、空力性能向上も果たした、ボディとの一体感のあるユニファイドスピンドルへと進化。これが新しいレクサスの顔だ。
灯火類にLEDが多用されるのはレクサスのアイデンティティ。テールランプにも印象的なL字型のキャラクターが与えられて、単なる小型車ではないことを周囲に印象付ける。
ヘッドランプと、その上で精悍な目つきを印象付けるデイタイムランニングライトも、すべてLED。ターンシグナルランプとして点滅するときには、白から燈色へと鮮やかに変わる。

商品企画の始まりは豊田会長のスニーカー
 ミラノでの発表イベントで、レクサスのチーフ・ブランディング・オフィサーのサイモン・ハンフリーズ氏は「始まりは豊田章男会長のスニーカーでした」とプレゼンテーションしている。

 すべてのトヨタ/レクサス車の味付けに責任を持つマスタードライバーでもある豊田章男会長(前社長)は、言うまでもなく、日本有数のセレブリティだ。ビジネスでは一流の職人が仕立てた高級スーツや靴を身にまとい、モリゾーの名で出場するレースでも、F1パイロットと同様の最高峰のレーシングスーツを着る。

 そんな彼が週末に買い物に出かけるときに履くスニーカーも、もちろん高級ブランドだ。Tシャツもジーンズもベルトもそう。ならば、使うクルマも高級カジュアルファッションで乗り込むにふさわしい、小さくても乗り手の心を満たしてくれる世界観を持つべき。それがLBXの出発点なのだ。

 もちろん、初代LS以来の、本物の素材で丁寧に仕立てられたレクサスクオリティは、LBXにも受け継がれる。乗員が触れるすべての素材のタッチにこだわり、見て、触れるだけで幸せになれるような精緻な作り込みは、レクサスの世界観の大きな柱だ。

インパネ周りのデザインは、近年のレクサス車に共通するTazuna Conceptに基づき、気負うことなく意のままにクルマとの一体感を楽しめるよう造形されている。水平基調のシンプルなコックピットは視界も良好だ。
握り心地のいい本革巻きステアリングの向こうのメーターパネルは、12.3インチのフル液晶ディスプレイ。鮮やかな発色で運転支援機能などのさまざまな情報を表示できる。
メーターパネルには、スピードやタコメーターなどの一般的な情報に加えて、アダプティブクルーズコントロールの作動状況や電動走行の割合、瞬間/平均燃費なども表示する。
センターコンソールは操作しやすい位置と高さ。コーナリングなどの際に身体を支えるポイントとなるニー(膝)サポートは上質な表皮で巻かれて、プレミアムカーにふさわしい見栄えとタッチに仕上げられている。
室内のイルミネーションカラーは64色。代表的なシチュエーションなどに合わせた14色がプリセットされているほか、センターディスプレイのカラーパレットで、その他50色から選択できる。
9.8インチのセンターディスプレイを組み込んだコンソールは、見やすく操作しやすい高さにセット。ステアリングスイッチと連携したヘッドアップディスプレイでも、ナビやオーディオなどが操作できる。
ドアハンドルの操作を電気信号で開閉機構に伝えるe-ラッチシステムによるドア開閉。実用車には求められないスムーズな操作性と滑らかな操作フィーリングも高級ブランドならではのこだわり。

強化されたボディが醸す意のままで上質な乗り味
 最新のレクサスモデルに共通するシャシー性能のこだわりも見どころのひとつだ。リリースには「コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を刷新」と記されている。その言葉の意味は、リリースの詳細な内容を読み込めばなるほどと納得できる。

 クルマの骨格となるボディは、ショートピッチでの溶接や構造用接着剤の適用拡大、フロントサスタワー間のカウル部分の剛性向上など、トヨタ系モデルとは別物と言える補強がなされている。インパネ内部構造の補強によるステアリングコラム剛性向上や要所へのホットスタンプ材使用など、改善箇所は枚挙にいとまがない。

 サスペンションも形式こそ前ストラット、後トーションビーム(リヤにモーターを搭載する4WD車はダブルウイッシュボーン)だが、ジオメトリーは見直されている。ハイキャスター角で高い直進性を確保しつつ、ロール時のトーイン変化量を抑えてアンダーステア特性を軽減することで、225/55R18の大径ワイドタイヤを履きこなす。

 ブレーキも高い容量を持つだけでなく、スムーズなフィールとペダルタッチの質感までこだわってチューニングされているという。

 一見すると逞しいクロスオーバーSUVのフォルムだが、全高はアンテナ込みで1560㎜に抑えた上に、ドライバーの着座位置は可能な限り下げて車両の重心位置に近づけることで、クルマとの一体感を感じやすくしている。

 そうして、あらゆる走行シーンでドライバーの意図に忠実でリニアな応答を目指す、レクサスドライビングシグネチャーの乗り味を実現させているというのだ。

 パワートレーンは、1.5ℓ3気筒エンジン+モーターのハイブリッドのみ。アクセル操作に対するモーターアシストを強化した上、加速中のエンジン回転数と車速、エンジン音を連動させるという緻密な制御で、伸びのある、リニアな走りを楽しませる独自のチューニングがプラスされている。

 登降坂時には路面の勾配変化を読み取り、加減速トルクをアシストすることで、アクセルやブレーキ操作回数を低減。ワインディング走行などで前後左右へのGが高い状況を察知すると、アクセルオフ時の減速アシストを増やし、エンジン待機回転数を維持して再加速をアシストするなど、ドライバーの意図を汲み取った、スポーティな走りのアシストまでする。

 レクサスの一員であるLBXは、ただの経済的な実用車ではなく、乗り手をとことん楽しませるエンターテイナーなのだ。

ボディ&シャシー

パワートレーン

サスペンション

5つの世界観を表現したスタイルグレードを用意

プレミアムカジュアルを体現する贅沢な室内空間
 レクサスLBXはグレード構成も、大衆車とは異なる思想でなされている。装備の数やトリム(表皮)の質で上下の差をつけるのではなく、方向性の異なる内装加飾により、5つの世界観を選択肢としているのだ。

 もちろん、本革シートを備えるCOOLやRELAXと、合皮やファブリックのシートも設定されるACTIVE、URBANでは価格も異なるだろうが、その差は上下ではなく、求める世界観の違い。お気に入りのファッションのブランドラインを選ぶのと同じように、好きなテイストを選んでください、というわけだ。

 さらにこだわりを貫きたいオーナーには、シート表皮の素材や色はもちろん、シートベルトやステッチの色、トリムの加飾追加など、専用アイテムを含む約33万通りの仕様から自分だけの一台を作り上げることができる、ビスポーク・ビルドと呼ぶオーダーメイドシステムも用意されている。

 世界の高級ブランド車の中でも、このクラスでここまでできるモデルは少ないだろう。まるでシルクの下着を職人に仕立てさせるような、セレブのわがままに応えるそれは、レクサスだからできる、最高級のおもてなしの表現なのだ。

COOL

RELAX

ELEGANT

ACTIVE

URBAN

オーダーメイドシステム Bespoke Build

分厚いリストから、トリムやシートの表皮色、シートベルト、ステッチ糸の色替え、配色の組み合わせやトリム部の加飾追加などのメニューを自分のセンスで選べる。計算上約33万通りもの組み合わせが可能だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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