新車試乗レポート
更新日:2018.10.24 / 掲載日:2016.07.15
ホンダ クラリティ フューエルセル 試乗レポート
ホンダ クラリティ フューエルセル 試乗レポート
試乗
【ニューモデル】
発表/2016年3月10日
ホンダ・お客様相談センター
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文●石井昌道 写真●編集部
■クルマとしての完成度は申し分ないホンダの水素燃料電池車が登場
いよいよホンダも量産型FCV(水素燃料電池車)を発売してきた。ただし、MIRAIが個人向け販売を開始しているのに対して、当面は企業や自治体などへのリースのみだという。車両価格は766万円。水素の充填は3分程度ですみ、航続可能距離は約750kmに達する。
■ドライビング/ユーティリティ
Report 石井昌道
FCVは水素を化学分解して取り出した電気で走行するため、クラリティも電気モーター特有の静かでトルクフルな走りが楽しめる。ホンダのFCVの実験車や市販車には幾度となく試乗しているが、当初は電気モーターの特性を強調するかのようなトルクどっかん型だったものの、ここ最近は伸びやかな特性を追求するようになった。クラリティはトルクフルなのはもちろん、上品でどこまでも速度が伸びていくかのような絶妙なバランスをみせる。MIRAIは昔のホンダのようにトルク重視型でレスポンスに優れるが、0-100km/h加速を比べてみるとクラリティのほうが速い。
シャシーが望外によくできているのは嬉しい発見だった。どっしりとして操縦安定性が高く、パワーステアリングのフィーリングも良好で高速道路の直進性もいい。現行ホンダ車のなかでもっともプレミアムカーらしさがあると言っても過言ではない。このプラットフォームはFCVのみならず、今後発売するPHEVなどとの共有も考えているようで、開発には相当気合いが入っているようだ。
単体でみれば満足度の高い仕上がりとなっているが、普及のカギを握るのは水素をエネルギーとして活用する社会の実現にかかっていて、それを水素燃料電池車が単独で引っ張っていくとは考えにくい。とはいえ、資源の乏しい日本では大いに期待がかけられているのもたしかだ。
■インテリア/エクステリア写真[1]
操作や機能をできるかぎり集約させ、見た目がスッキリとしたデザインを作り上げているコクピット。ボタン操作のエレクトリックギヤセレクターも、このクルマの性格によく合っている。
静かなモーター走行ではインテリア、とくにシートに対して意識が向きがちだが、たっぷりとしたサイズと感触のよい座り心地はロングクルーズに適している。
豊富に存在する水素を原料に、走行するときに「水」のみを排出するという環境負荷の少なさが魅力。
■インテリア/エクステリア写真[2]
専用の水素ステーションで補給する。3分で完了する充填は、EVの充電と比べてアドバンテージだ。
圧縮水素のタンクは後席下部(24L)とラゲッジ下部(117L)に設置される。ラゲッジにも張り出すが、実用性は十分確保されている。
初代インサイトを思わせるリヤ部分をはじめ、燃料電池車という希少性にもまったく引けを取らない個性の強いスタイリングを持つ。
ホンダ クラリティ フューエルセル(CVT)
全長×全幅×全高 | 4915×1875×1480mm |
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ホイールベース | 2750mm |
トレッド前/後 | 1580/1585mm |
車両重量 | 1890kg |
モーター種類 | 交流同期電動機 |
燃料電池スタック最高出力 | 140ps |
最高出力 | 177ps/4501-9028rpm |
最大トルク | 30.6kg m/0-3500rpm |
一充填走行距離 | 750km |
サスペンション前 | ストラット |
サスペンション後 | マルチリンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤ前後 | 235/45R18 |
価格
クラリティ FUEL CELL | 766万円(企業や自治体のリース専用) |
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