新車試乗レポート
                    
          更新日:2018.11.14  /  掲載日:2015.06.18      
ランドローバー ディスカバリースポーツ 試乗レポート(2015年06月)
                                                  フリーランダー2の実質的な後継モデルが日本上陸。その名は、ディスカバリースポーツ。このモデルはレンジローバー イヴォークの兄弟モデルで、メカニズムの多くを共有。その走りの実力は・・・?
ランドローバー最新のエントリーモデルが登場
 フリーランダー2の実質的な後継モデルが登場した。ディスカバリースポーツである。ランドローバーのホームページをご覧いただければわかるように、フリーランダー2は残すところ“ファイナルエディション”のみ。限定50台の売りつくしである。
 そこで登場したのがディスカバリースポーツだが、どこかイヴォークに似ていると思った諸兄も多いのではないだろうか。そう、これはイヴォークの兄弟車。ハードウェアを共有したランドローバー版となる。
 名前に“スポーツ”と付くことから誤解も生じるだろうが、レンジローバースポーツと同格ではない。スタイリングもそんなイメージだが、こいつはもっとコンパクトサイズのお手頃モデルとなる。
 ということで、パッケージングはエンジン横置きのモノコックボディで形成される。パワーソースもそうで、2L直4DOHCターボ+ZF製9速ATという組み合わせだ。240馬力を発揮するユニットはまんまイヴォークと変わらない。
 ひとつだけ明らかに違うのは、7名乗車可能の3列シートモデルがあること。基本形は5名乗車の2列だが、オプションでそれが用意される。ただしそこは年齢制限、つまり乗員のサイズが決められている。つまり、だれでも快適に座れるというわけではない。とはいえ、それは市場ニーズから生まれた。家族全員で移動できるクルマとしては、「子供用の3列目シートがほしい!」という声も少なくないらしい。
 そうしたマーケットを対象とすることもあり、安全装備も満載される。ステレオカメラを用いた自動緊急ブレーキや歩行者用エアバッグ、レーンディパーチャーウォーニング、オートマチックハイビームアシストなどだ。どれも最近は各社競って搭載する装備だが、ランドローバーや同じ会社のジャガーはその辺に遅れがちだったのは否めない。その点からすると今回はかなりスピーディに対応した。もはやブランドバリューにあぐらをかいてはいられない。
 デザインは、シュッとしたエクステリアもそうだが、インテリアもかなりいい。とくにダッシュパネルはタッチパネル式のモニターの活用範囲を広げ、スイッチ類を減らした。これはレンジローバーでも使われる手法で、デザイナーが中心となって高級感を出すために行われた。結果、モダンで上質な空間を演出する。
                                                                 それじゃ走るとどうか。総合的な印象としては重厚なオフローダーというのではなく、軽快なフットワークのコンパクトSUVといったところだ。しかも、初期のイヴォークより明らかに完成度は高く、各部の剛性感はしっかりしている。ステアリングを切ったときの一体感が強い。
 それに全長4610mmしかないことからとにかく扱いやすい。ロールは抑えられ、ヨーイングも少ないことから慣性モーメントに振り回されることはない。足の設定も絶妙で、硬すぎずクルマを安定させてくれる。
 この辺はレンジローバー/同スポーツでの経験が功を奏している。背が高くても重心やロールセンターを下げるなどした工夫が見受けられる。オフローダー専門メーカーもいまとなってはオンロードのエキスパートと呼べるレベルまで仕上がった。察するに、その辺はジャガーの技術スタッフが協力していることだろう。ネコ脚を有する彼らの足のセッティングはすばらしい。
 そういえば、今度ジャガーにもSUVが設定される。それは逆にランドローバーの技術陣が協力するに違いない。そいつもまたきっと素晴らしいクルマに仕上がることだろう。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ ランドローバーコール TEL:0120-18-5568
Detail Check
            日本仕様はナンバーステーの関係上全長4610mmとなるが、開発陣は4600mm以下にすることを心がけ、コンパクトにまとめ上げた。
コックピット
            コックピット
本文にも記したようにスイッチ類の少ないダッシュパネル。センターコンソールのダイヤルでギヤをシフト。4WD制御のテレインレスポンスはボタン式となる。デザインの自由度が高まり、上質感が生まれた。
インテリア
            インテリア
外からの見かけ以上に大きめのシートが装着されるキャビン。それはディスカバリーのコマンドポジションとは違いヒップポイントを下げているためだ。なので背の高いクルマを運転しているという意識は低くなる。
ラゲッジスペース
            ラゲッジスペース
写真は2列シートの5名乗車モデル。2列目は分割で倒すことができる。ワンアクションで倒せるがフラットにはならない。ただ、開口部は広く実用性が高いことは間違いない。
エンジン
            エンジン
イヴォークにも積まれる直噴式高効率4気筒ターボはコンパクトで軽量というメリットがある。ボンネットを短く設計することが可能。フロントが軽く軽快な走りができるメリットも大きい。
主要諸元:ランドローバー ディスカバリースポーツ HSEラグジュアリー(9速AT)
| 全長×全幅×全高 | 4610×1895×1725mm | 
|---|---|
| ホイールベース | 2740mm | 
| トレッド前/後 | 1620/1630mm | 
| 車両重量 | 1920kg | 
| エンジン | 直4DOHCターボ | 
| 総排気量 | 1998cc | 
| 最高出力 | 240ps/5500rpm | 
| 最大トルク | 34.7kg m/1750rpm | 
| サスペンション前/後 | ストラット/インテグラル・リンク | 
| ブレーキ前後 | Vディスク | 
| タイヤサイズ前後 | 235/55R19 | 
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年10月8日[予約受注開始])
| ディスカバリースポーツ SE | 492万円 | 
|---|---|
| ディスカバリースポーツ HSE | 582万円 | 
| ディスカバリースポーツ HSE ラグジュアリー | 692万円 | 
Body Color
|  □フジ・ホワイト ■インダス・シルバー・メタリック ■コリス・グレイ・メタリック ■フィレンツェ・レッド・メタリック ■エイントリー・グリーン・メタリック ■ロワール・ブルー・メタリック ※ほか5色。  | 
緊急用ではあるものの万一のときに便利な3列目
            オプションとなる3列目は2分割となる。なので、片方だけ座るといった使い方もできなくはない。乗り降りは2列左右のシートを2アクションで跳ね上げる。つまり、この列は3分割式。3列目は乗り降り、それとスペースにおいて決して使い勝手がいいわけではないが、ニーズに応える意味で用意される。