新型アクアの全貌の記事詳細

車種別・最新情報 [2021.08.03 UP]

新型アクアの全貌

一時はヤリス ハイブリッドの登場もあって、モデル存続が危惧されていたアクアだが、ついに待望のフルモデルチェンジを実施。10年ぶりの大進化を果たす2代目は、コンパクトクラスを検討しているユーザーにとっては見逃せない一台になりそうだ。

大本命コンパクト、満を持して登場!

ハイブリッド伝道師から実用ハイブリッドに変身

 初代アクア(従来型)が登場した時の立ち位置は、ハイブリッド車の普及と量産実用車燃費ナンバーワンが目標だった。登場は2011年であり、当時はカローラにもハイブリッド車はなく、小型軽量を活かしてプリウスを超えてくる省燃費性能は、当時のモデルの中では圧倒的だった。

 しかし、いまやハイブリッド車が普通のクルマとして選ばれる時代であり、プリウス共々、ハイブリッド伝道師としての役割は終わったといっていい。にもかかわらず、あえて新型として投入されるのが、10年ぶりにフルモデルチェンジされる2代目アクアだ。

 従来型と同じくハイブリッド専用車であることは変わらないが、新型は安全装備類の拡充もあって、先代の同等グレードと比べると重量が40kgほど増加している。先駆けて投入されたヤリスの同等グレードと比べてみても70kgほど重量が重い。実際、新型アクアとヤリスの両車をWLTC総合モード燃費で比較すると、ヤリスよりも2.2km/L劣る33.6km/Lになる。

 依然として燃費優等生であることは変わらないが、従来型と比べるとインパクトは弱くなったといえるだろう。

寛ぎ重視のキャビンで、逃したユーザー層を獲得

 むしろ新型で注目したいのは、実用面の存在価値が高まっていることだ。アクアの個性の一つとなるロングキャビンスタイルは、元々は空気抵抗減による高速燃費の改善と、キャビン実用性の確保が狙いだったが、新型ではプラスαとしてロングキャビンによる寛いだ居住空間を体感できることもアピールポイントとしている。特に後席はヤリスとは明らかに異なる、ゆとりや機能性を意識した設計が注がれている。前席重視が強いヤリスが逃したユーザーを、トヨタとして奪還するという使命が与えられているのだ。

 また、現代のクルマに不可欠な安全運転支援機能も、最新のトヨタセーフティセンスを採用。その多くはヤリスから移植されたもので、技術や機能的に新味のあるものはあまりないが、古さが否めなかった先代のシステムと比べると飛躍的な進化が図られたことも見逃せない特徴の一つになる。

 ヤリスのような飛び道具的なものは少なめだが、実用車として正常進化を果たした新型アクア。ヤリスはもちろんのこと、エコプレミアムに秀でた日産・ノートや、生活用途の実用性に富むホンダ・フィットとも互角以上に戦えるモデルに仕上がっている。

ボディカラーは全9色、グレードは4タイプを用意

月販目標台数は強気の9800台。今年一番のヒットモデルになるかも?

 コンパクトクラスは屈指の激戦区ということもあって、新型アクアの価格設定は相当踏み込んできた印象。法人需要を意識した廉価仕様のBが設定されるとはいえ、ヤリスハイブリッドの価格帯(199万8000~252万2000円)と比べても魅力的な設定だ。なおニュースリリースに記載されている月販目標販売台数は9800台。デビュー時のヤリスの目標台数はガソリン車を含めて7800台なので、トヨタとしても新型アクアの販売には相当自信があることが伺えるのだ。

エクステリア&インテリア

空力性&居住性向上を狙ったロングキャビンを採用

 側面形は空力抵抗減に最も効果的な涙滴型の後部を裁ち落としたようなコーダトロンカスタイル。リヤエンドの整流により空力的には涙滴型同様の効果を示す。キャビンが後すぼまりになるため、後席ヘッドルームで不利になるが、その補完と空気抵抗減の両得狙いでロングキャビンを採用している。

 基本フォルムを踏襲したため、遠目にはマイナーチェンジ? と思うほど従来型と似た印象を受けるが、穏やかになったフロントランプグラフィックやバンパー周りのデザインもあってか、いい意味で機能感や高性能感は薄まった印象を受ける。和みのタウン&ツーリングカーという感じだ。

 車体寸法は全長/全幅は変わらないが、全高は30mm増、ホイールベースは80mm増となった。ヤリス比では全長+90mm、ホイールベース+50mmとなり、ロングキャビン設計が車体寸法からも読み取れる。なお、全高アップでヤリスとの差は15mmとなっている。

 タイヤサイズが上がったせいもあって、最小回転半径が同クラスでは大きめの5.2mになっているが、ヤリスとの比較では+0.1mでしかない。コンパクトカーのボディサイズからして、取り回しに大きな影響はないだろう。

“便利”を強く意識させる機能&装備も目白押し

 センターメーターや整理されたスイッチ類など、運転時の視野や操作動線を意識した設計は、従来型の特徴だったが、新型のメーターはステアリング奧に配置するオーソドックスなレイアウト。ヤリス系にも採用されているカラーHUDは、最上級グレード限定のOPになるが用意される。

 デザイン面ではかなり先進感が高まった。要点の一つは中央上部に配されたパッドPC型のディスプレイオーディオ。全液晶表示メーターやコマンダー状のセレクター(シフト)と相まって、IT時代の新しい視認性と操作性を実感させるに十分である。また、センターディスプレイからセレクターも含む操作盤はプリウスにも似ている。

 新型の内装でもうひとつも見逃せないのがシート設定。メモリー機構がないのは残念だが、ヤリスクロス同様の運転席パワーシートを設定。さらにヤリス系で特徴的な装備となる乗降性向上のターン&チルトシート(運転席と助手席)と運転席イージーリターン機能をZとB以外にOP設定する。ユニバーサルデザインあるいはバリアフリー志向の設計で、肉体的あるいは状況的に乗降性とドラポジの相性が気になるユーザーには効果的なシート機能だ。

icon Z

最上級グレードのZの外装意匠は、ピアノブラックのグリルガーニッシュや15インチのアルミホイールで差別化。上級LEDライトやLEDフォグライトも標準装着となる。

デイライト、ウインカー点灯時共に独特の光り方をするBi-Beam LEDヘッドランプはZに標準装備される。GとXにもメーカーOPで装着可能。

  • フロント&バックのフォグライトも明るい光量が特徴のLEDタイプが採用されている。

  • リヤのコンビネーションライトは全グレードLEDタイプだが、Zはライトユニット内にラインLEDが配置される上級タイプが装着される。

  • 電動格納式のドアミラーは全グレード標準装備。ミラー部の下にはLEDタイプのウインカーライトも備わる。

ダッシュ中央にディスプレイオーディオを配置するレイアウトを採用。物理的なボタンを省略した新10.5インチモニターを採用するのはZのみ。シフトレバーはフロアではなくインパネコンソールに設けられる。

標準シートは上級ファブリックだが、オプションで合成皮革+ストライプ柄ファブリックのハーフレザーシート(写真 ブラック×ダークネイビー)を選択することが可能。

合皮意匠を用いるなど質感向上もなかなか巧み。助手席アッパーボックスにはボックスティッシュがそのまま収納が可能だ。

小物収納に便利なポケット類も充実。センターコンソールには、タブレットを収めるのに便利なスライド式トレイが設けられている。

コンソール中央にはエアコン吹き出し口と操作スイッチが配置される。オートエアコンは全グレードに標準装備。

シート格納はシンプルなタイプのため段差があるが、アジャスタブルデッキボードを用いることでフラット床面にすることも可能。

icon G

基本スタイリングは共通だが、ホイールがスチール、LEDライトもベーシックタイプに変更されるなど、ややコストを意識したチョイスが目立つ。

  • Zに比べると合皮意匠が省かれるため実用車らしいキャビンになる。ディスプレイオーディオも7インチモニターに変更される。

  • シート設定はZとほぼ共通。写真は上級ファブリックだが、ハーフレザー(ブラック)仕様も選択できる。

メカニズム&装備

基本はヤリスベースだが最新技術も相応にプラス

 ハイブリッドシステムの構成は駆動用バッテリーを除けばヤリスをほぼ踏襲している。パワースペックもヤリスと共通するなど、従来型とは一世代以上の進化を果たしたと言ってもいいだろう。

 注目は駆動用バッテリー。最廉価仕様のB以外には、新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を用いる。ニッケル水素式と聞くと退歩した印象を覚える人もいるだろうが、バイポーラ型は充放電の高出力化と高効率化で二次電池の次世代を期待されているものだ。

 特徴は複数セルを直列配置の積層型として隣り合う電極を一体化することで、充放電時の抵抗を減少。バッテリーに与えるストレスを低くするほか、駆動や回生時の最大電力を倍増し、電動走行域を拡大している。

 さらに新機能として「パワー+」走行モードにエンブレ回生を強化してペダル踏み替え頻度を減らす「快感ペダル」制御も加えている。

 シャシー関連では乗り心地向上のために微振動領域の滑らかさを高めるスイングバルブ式ダンパーを導入したことも特徴になる。

 新旧比較で大きく変わったのがトヨタセーフティセンスだ。従来車は歩行者にも対応しているものの衝突回避支援が主機能。対して新型はヤリスと同じ最新型が導入された。ヤリス同様の足踏み式パーキングブレーキを採用しているが、全車速型ACCにアップデートされ、停止保持機能も搭載している。

 その他の運転支援機能ではトヨタ チームメイトがバージョンアップ。自動駐車機能はシフト操作も自動化、パーキングサポートブレーキには内輪差巻き込みによる固定物接触回避機能を、BSMには二輪車との停車時ドア開け接触予防のためBSMの停車時警報が付加されている。いずれもトヨタコンパクトカーでは初採用の機能だ。

ボディ設計

TNGA技術由来のGA-Bシャシーを採用。ホイールベースは先代アクアやヤリス比で50mm拡大されている。骨格結合構造の最適化や超高張力鋼板の採用を積極的に用いることで軽量化と高剛性化も図られる。

フロントサスはマクファーソンストラット式を採用するが、リヤ側は駆動方式でタイプが異なる。FF車はトーションビーム式、4WD車はダブルウィッシュボーン式が使い分けられる。

リヤエンドを絞り込んだロングキャビン構造を採用することで十分な居住性を確保。高速走行時の会話明瞭度が15%向上するなど従来型に比べて静粛性も高まっている。

「Harmo-tech」(知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進)をコンセプトにした躍動感溢れるボディシルエットも見所の一つ。空力性とデザインを巧みに両立させている。

  • シート全体を回転させることで乗員の乗降を手助けするターンチルトシートは、運転席/助手席共に通常のメーカーOPとして用意されている。

  • 通常時の荷室長は656mm、最大荷室幅も1153mmと買い物などの普段使いレベルならば十分なスペースが確保される。脱着可能な床面ボードの採用によりアレンジ性もなかなか優秀だ。

ハイブリッドシステム

  • ヤリスと同じ1.5Lハイブリッドを採用。走りもヤリス譲りの高いレベルを実現していることが予想できる。完全停止までは対応していないが、1ペダル運転が可能な「快感ペダル」をトヨタ車として初採用している。

アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)と非常時給電モードを全グレードに標準設定。電気ポットなどの一般家電製品を使用できる非常用電源としても活用することが可能になった。

高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」を駆動用車載電池として初採用。従来型アクアのニッケル水素電池に比べバッテリー出力が約2倍に向上している。

安全&運転支援機能

駐車操作を支援するアドバンストパークやパノラミックビューモニター機能を含む駐車支援機能のトヨタチームメイトもメーカーOPで用意される。

  • ZとGはバックガイドモニターが標準になるが、車両の周囲が透かしたように表示することで死角を減らすシースルービュー機能を備えるパノラミックビューモニターもOPで選択可能。

  • 車体後方の障害物を感知するブラインドスポットモニターには、停車時に自転車などの接近を感知する警報機能もプラス。コンパクトクラスとしては初採用の機能になる。

ディスプレイオーディオ

  • 10.5インチモニター

  • 7インチモニター

ディスプレイオーディオは全グレードに標準装備。Zは10.5インチモニター、G以下のグレードには7インチモニターと機能と仕様が異なる。

新型アクア選び・結論/ベーシックな実用車として正常進化

 デビュー時の従来型のセールスポイントは、プリウス直系でコンパクトカー向けに新規開発された新ハイブリッドシステムを搭載と、簡単明瞭だった。だがそれから10年、時代背景も様変わりして、2代目はそんな謳い文句は通用しない。ハイブリッド専用車であることは変わらないが、ハイブリッド以外の部分でも勝負しなければならない。

 単純に考えれば、ヤリスとアクアの選び分けの要点こそアクアの特徴。後席の居心地と荷室の使い勝手、向上したトヨタ チームメイトの機能などがそれだ。

 またエクステリアの印象も特徴の一つ。カジュアル&パーソナルに振ったヤリスのスタイルは、落ち着いた雰囲気を好む実用2BOX車を求めるユーザーには少し抵抗があったかもしれない。新型アクアの内外装はそのヤリスの弱い部分を上手にカバーしている。幅広いユーザーに向けたベストバランスと先進感を持つことが、新型アクアの見所である。

ベストグレードは?

icon G(FF)

 Zは内外装のプレミアム感の高い装備が特徴。逆に言えば運転支援も含めた実用機能重視ならば中間グレードでもOK。Xでも車格には不足ないが、拡張性を考慮するならGがベストな選択だ。

新型アクア最新攻略術/値引きは? 納期は?

【車両本体目標値引き:10万円】
【納期の目安:2~4か月】

値引きはかなり渋め。同士競合で活路を切り開くべし

 6月から予約販売を開始しているが、値引き条件は渋い。全国的に車両本体値引きの基本を3〜5万円に設定している販売店が多く、地方はとくにガードが堅い。付属品の値引きを含めて7〜8万円で「限界」としてくるケースが目立つ。現状では値引きの合計が10万円を超えたら合格。15万円前後になったら文句なしの特上クラスと考えていい。

 攻略の秘訣は“アクアはアクアをもって制す!”だ。トヨタには4系列の販売店があるが、これを競合させる作戦だ。ただし、この手をいきなり使うと、警戒されるので要注意。最初は「ノートやフィットHVとの競合で揺さぶっておいて、煮詰まってきたら“同士討ち”を明らかにして一気に決着をつける」という戦術をお勧めする。大衆車のユーザーが多いカローラ店やネッツ店を軸に“四つ巴”の争いをあおっていくと効果的だ。納期は7月中旬の時点で2か月程度だが、正式に発売されてTVCMが流れだすと、さらに延びる可能性が高い。

新型アクア 主要諸元&装備一覧

●文:川島 茂夫/月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車

提供元:月刊自家用車

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