徹底分析中古車相場
更新日:2021.06.10 / 掲載日:2021.06.10
【グー連載コラム】徹底解明相場分析(2021年6月)
[今月のテーマ]みんなでワイワイドライブを楽しめる3列シートミニバンの本命は?
SUVがブームとはいえ、相変わらず高い人気を誇る2L箱型ミニバンの面々。レジャーシーズンを前にして、家族や仲間たちと大人数でドライブを楽しむために、どのモデルが最適か検討していこう。(掲載されている内容はグー本誌2021年7月号の内容です)
[自動車評論家]渡辺陽一郎&[下流自動車ライター]マリオ高野 解説放談!
渡辺陽一郎
ユーザー側の視点に立ってクルマとその周辺情報を分析し、「ユーザーに損をさせない」ことを主題にジャーナリスト活動を続ける古参の自動車評論家。マリオ高野
下流生活を営む自動車ライター。その割に多くの自動車専門誌やウェブサイトに登場し、強烈なルックスと相反する腰の低さで、活動範囲を広げている。
実用的で高い人気を保つ3列シートの注目車たち
3車のなかでは最も新しいモデルの現行型セレナ。運転支援システム「プロパイロット」の搭載でも話題を集めた。
マリオ 最近はSUVが流行っていますが、ファミリーカーとしてはミニバンも相変わらず人気です。
渡辺 背の高いボディによって車内が広く、3列シートを備えていて多人数乗車できる。それに3列目を格納すると広い荷室になり、自転車のような大きな荷物も積みやすい。
マリオ 後席はスライドドアを採用しているから、狭い場所でも乗り降りできますしね。
渡辺 特に注目される車種としては、ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンがある。今回はこの3車の中古車を見ていこうじゃないか。
マリオ エンジンはいずれの車種もガソリンエンジン(ヴォクシーとセレナは2.0L/ステップワゴンは1.5Lターボ)とハイブリッドが設定されていますが、前者を取り上げましょう。セレナやステップワゴンのハイブリッドは、17年から18年に追加され、中古車の流通台数も少ないですから。グレードも流通台数の多いエアロパーツ装着車で、駆動方式は2WDで比較しましょうか。
渡辺 3車のなかで、最も販売が好調なのはヴォクシーだ。現行型は14年に発売されて、すでに7年を経過するため、中古車の流通台数も多く選びやすい。
マリオ 内装が上質で、3列目シートはレバーを引くだけで持ち上がって格納できますし、シートアレンジの使い勝手も優れています。
渡辺 グレードは、エアロパーツを備えた特別仕様車のZS煌(きらめき)が人気だ。メーカーや販売会社も積極的に売っていて、中古車市場の流通台数も多い。
マリオ 2.0Lガソリン車の中古車価格は、5年落ちの16年式が210万から230万円、3年落ちの18年式は230万から250万円です。人気車とあって18年式は高めです。
渡辺 セレナもミドルサイズミニバンの定番だ。現行型は16年に発売され、3車のなかでは設計が最も新しい。3列目シートは、ヴォクシーに比べて足もと空間が広く、ステップワゴンよりは座面の奥行寸法が長い。結果、ミドルサイズミニバンでは、多人数乗車時の快適性が最も高い。
マリオ リアゲートが上側だけ開閉できるのも便利で、縦列駐車をしているようなときでも荷物を出し入れしやすいです。相場は2.0Lガソリン車(スマートシンプルハイブリッド)の中古車価格が、ヴォクシーと同等で、16年式が210万から230万円、18年式は230万から250万円です。セレナは前述の通り実用性が高く、設計も新しいから中古車価格も高めですね。
渡辺 ステップワゴンの3列目シートは床下格納なので、2列シートのときにはスッキリと広い荷室に変更できて便利だよね。
マリオ 売れ筋グレードでは、リアゲートに横開き式のサブドアが装着されています。狭い場所でも開閉できて、3列目の左側を格納しておけば、車内の後部から乗り降りすることも可能です。
渡辺 エンジンはノーマルタイプでも1.5Lターボなので、実用回転域の駆動力に余裕があって運転しやすい。だけど、ステップワゴンの人気は、ヴォクシーやセレナに比べると少し低い。
マリオ 価格も若干安いですね。16年式は200万から230万円、18年式は230万から240万円です。
【エントリーNo.1】トヨタ ヴォクシー(現行型)
どんなクルマ?
2014年に登場した現行型は3代目で、兄弟車のノアとともに同クラス最古参モデルとなったが、人気は健在。室内の広さや使い勝手など基本性能が高く、オプション装備も充実している。
●中古車中心相場 100万円から320万円 ●販売年月 2014年1月から
バイヤーズガイド
モデル末期ということもあって、この1年を通じて上下動はあったものの、それほど相場は下がっていない。3台のなかでは最も流通台数が多いモデルだが、これにノアも足すことになれば、物件選びはかなり自由度が高くなる。
【エントリーNo.2】日産 セレナ(現行型)
どんなクルマ?
ミニバンのベストセラーモデルだった先代型のキープコンセプトで開発された5代目モデル。よりウインドウ面積を広くして開放感も向上。人気グレード「ハイウェイスター」も設定される。
●中古車中心相場 120万円から390万円 ●販売年月 2016年8月から
バイヤーズガイド
次期型の噂もちらほら出始めているが、まだリアルな話ではない。相場は順調に下がっているが、季節的な要因によって上昇することもあるので、よく見極めたい。人気の「e-POWER」は他のグレードに比べてかなり割高傾向だ。
【エントリーNo.3】ホンダ ステップワゴン(現行型)
どんなクルマ?
1996年に誕生した初代型がミニバンの歴史の基礎を築いた。5代目となる現行型では、さらに機能性を高め、道具としての魅力に磨きをかけている。横開きも可能なテールゲートが魅力。
●中古車中心相場 130万円から230万円 ●販売年月 2015年4月から
バイヤーズガイド
中心相場が200万円を切ってきたが、物件によっては、搭載される安全運転支援機能が限られていることもあるので、よく吟味したい。流通台数も他の2台に比べれば少ないが、探すのに困難なほど少ないわけではない。
ちなみに……
ワシが買うならヴォクシー!(マリオ)
古くからのミニバンの伝統にのっとったカクカク系スタイリングで、室内スペースが広く、使えそうに見えるヴォクシーが欲しいです! 私の場合、一緒に乗ってくれる人も募集中ですが(笑)。
ワタシのオススメはステップワゴン!(渡辺)
どのモデルもミドルサイズで運転しやすく、車内も広いために機能のバランスも優れていて甲乙つけがたい。それでも1台を選ぶならば、相場が安くて、走りに余裕が感じられるステップワゴンか。