中古車購入チェックポイント
更新日:2021.05.11 / 掲載日:2021.05.10
マツダ アテンザ/2012年~2019年 ONE MAKE MARKET RESEARCH

工藤’sコメント「躍動感ある造形も魅力。今は「マツダ6」に名前が変わっている。」
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、マツダ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年5月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年4月調べ。
アテンザはマツダのフラッグシップサルーン&ワゴン。ゆとりあるボディサイズに、国産車ではめずらしいディーゼルエンジンの設定も特徴だ。
2017年式 マツダ アテンザ XD Lパッケージ(6速AT) ●全長×全幅×全高:4865×1840×1450mm ●ホイールベース:2830mm ●トレッド前/後:1595/1585mm ●車両重量:1610kg ●排気量:2188cc ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:190ps/4500rpm ●最大トルク:45.9kgm/2000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/45R19 ●中古車参考価格帯:70万円~280万円(12年~19年 ※セダン全グレード)
Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
躍動感のあるルックスと堅実な走りの人気モデル
ディーゼルエンジンは燃料コストが割安
編集部●今回はマツダ「アテンザ」です。気がつけばフルモデルチェンジから丸8年が経過。かなりの長寿命モデルになっていますね。
工藤●フルモデルチェンジして現行型がデビューしたのは2012年11月。途中で2回の大規模な改良を行っているし、2019年7月からは車名を「マツダ6(マツダ・シックス)」へ変更している。だけど、モデルチェンジはまだ先になりそうだからかなりのロングライフだ。
編集部●そんな3代目アテンザにはどんな特徴がありますか?
工藤●まずはディーゼルが選べること。このクラスの国産車では唯一だ。
編集部●ディーゼルのメリットといえば、燃費がいいことや燃料代が安いことですかね。
工藤●あとは走り。低回転トルクが力強いから、エンジン回転を上げなくても力強く加速するのがいい。アテンザのディーゼルはわずか2000回転で42・8kgmを発生する(初期型モデルの数値)。
編集部●つまり車体が大きくて車重が重くなりがちな上級セダンやワゴンとのマッチングがいいと。
工藤●じつはそう。ディーゼルエンジンの弱点といえる振動や音の対策がしっかりできていればだけど。
編集部●アテンザはどうですか?
工藤●それが、しっかりできている。だから“買い”だよね。このクラスの国産車で唯一のディーゼルというだけで選びたくなる。
編集部●ストップ&ゴーが少ない郊外や高速道路を走ることが多く、走行距離が増える人には最適ですね。
工藤●まさに。それから大型のステーションワゴンを求める人にもジャストフィットだ。
編集部●たしかに国産の大型ワゴンといえばほかにスバル「アウトバック」しかなく、しかもアウトバックは車高の高いクロスオーバーで純粋なワゴンとはちょっと違うし。
[ボディタイプ]広い荷室が魅力のステーションワゴン

工藤’sコメント「ステーションワゴンはセダンよりも車体がひとまわり小さい。」
アテンザのボディタイプはセダンとワゴンの2タイプ。ワゴンは大きな荷物も積みやすい広い荷室スペースが魅力だ。後席使用時の荷室容量は506Lで、荷室床面の奥行きは1100mm。
中古車参考価格帯:80万円~300万円(12年~19年 ※ワゴン全グレード)
[モデルヒストリー]
2012年11月:フルモデルチェンジ

フルモデルチェンジした3代目アテンザがデビュー。CX-5などと共通のプラットフォームに、排気量2Lもしくは2.5Lの自然吸気4気筒ガソリンと2.2Lディーゼルエンジンを搭載する。
2013年11月:一部改良

低速域で作動する衝突被害軽減ブレーキを全車標準装備化。「XD」系にサンルーフをオプション設定し、「XD Lパッケージ」では新たにMTが選べるようになった(従来は「XD」のみ)。
2014年11月:マイナーチェンジ

フロントグリルやリアランプのデザインを変更して外観をリフレッシュ。インパネのデザインを刷新し、ナビ画面を埋め込み式からオンダッシュタイプに、駐車ブレーキはレバー式から電動式に変更。
2016年8月:一部改良

インテリアの仕立ての上質化、ディーゼルエンジンのノイズ低減、遮音性能のアップなど品質の向上を実施。先進安全機能もシステムを刷新し、より高性能化した。走行安定性を高める「GVC」も搭載。
2018年5月:マイナーチェンジ

フロントグリルやバンパーのデザインを変更。インテリアはインパネ、ドアトリム、そしてシートのデザインが変更されて上質感が大幅にアップした。サスペンションのリファインで乗り心地も向上。
マツダ6がデビュー

車名を「マツダ6」に変更。デザインは2018年5月の改良時から変更ないが、エンジンは新たに2.5Lガソリンターボが追加された。車載ディスプレイは「Android Auto」や「CarPlay」接続が可能に。
[インテリア]マツダ最高峰の上質感が味わえる

特筆すべきは、マツダのフラッグシップサルーンにふさわしい上質感を味わえること。デビュー時から品質感は高いが、インパネを刷新した2015年1月以降のモデル、さらには2018年6月以降のモデルであれば完成度はひときわ高まる。樹脂表面の仕上げからスイッチの精密感まで、プレミアムブランドと思わせる仕上がりが自慢だ。セダンのリアシートは足もとが広く、トランクも実用的。


シンプルで見やすさを重視したメーター。写真は中央に7インチ液晶を組み込んだ上級タイプだが、表示はアナログ式にこだわる。2015年以降のモデルはナビ画面(ナビ利用は別売の地図データが必要)が標準搭載となり、画面はダッシュボード上部に置かれるタイプに変更されている。
[メカニズム]ライバルには設定のないディーゼルエンジンが魅力

アテンザのメカニズムは、パワートレインからしてライバルとは異なる独自性がある。まずは力強く経済性に優れるディーゼルエンジンの設定。さらに、トランスミッションは運転好きに好まれるMTも設定している。いずれも国産の上級セダンでの採用はアテンザ(マツダ6)のみだ。駆動方式はFFを中心に4WDも選べる。
ENGINE

搭載するエンジンは合計4タイプ。すべて4気筒だ。ガソリンは2Lと2.5Lの自然吸気のほか、力強さが自慢の2.5Lターボも設定。加えて2.2Lのディーゼルターボも選べる。一番人気はディーゼルだ。
SAFETY

旋回時に曲がる方向へヘッドランプの光を向ける「AFS」や低速域で作動する衝突被害軽減ブレーキの「SCBS」など、初期モデルから最新のセーフティ機能が用意されている。

駆動方式が全車4WDでもライバルに比べて高くない
編集部●ところで、ワゴンはセダンに比べてホイールベースや全長が短いのはどうしてですか? ワゴンはホイールベースが80mm、全長が60mm短い設計です。
工藤●全長が短いのは、全長が長すぎてユーザーに敬遠されるのを避けるため。日本のユーザーに配慮したと言っていいかもしれない。2代目から3代目へのフルモデルチェンジではセダンの全長が10cm以上も伸びたから、ワゴンはそれより小さくとどめておこうと考えたみたいだ。
編集部●セダンが大きいのはなぜ?
工藤●じつはアテンザは中国でも人気モデルで、中国では後席の広さが重要。だからセダンは後席足もとが広く設計してあり、本当にゆったり。
編集部●一方ワゴンは、後席足もとよりも全体のサイズと荷室の広さを優先したパッケージングと。
工藤●そういうこと。それにしてもセダンとワゴンでホイールベースを変えるとは手が込んでいる。
編集部●グーネットで検索すると、3代目アテンザは約650台が流通しています。セダンとワゴンの比率はだいたい半分ずつ。高い車両は350万円近いですが、70万円程度の個体もありますね。
工藤●つまり、予算にあわせて選択肢が広いわけだ。これから順当に相場は下がっていくだろうから、欲しいと思ったときが買い時かな。オススメはディーゼルだね。
先代モデルの相場動向は?

セダン、ワゴン、そして「スポーツ」と呼ぶ5ドアハッチバックと3つのボディタイプを用意する先代モデル。最も新しい個体でも8年以上前に作られた車両となり、価格も手ごろ感が強い。手軽に買えてゆったり乗れる広いセダンやワゴン&ハッチバックを求める人にピッタリだ。
●中古車参考価格帯:30万円~130万円(08年~12年 ※全ボディタイプ&全グレード)
[インプレッション]クラス唯一のディーゼルが魅力
マツダがこだわっているのは「人を魅了するデザイン」、「上質感あふれるインテリア」そして「運転が楽しくなる走り」の3つ。アテンザはそのすべてが高いレベルで盛り込まれていて、まさにマツダのクルマ作りの魅力を味わえるクルマと言っていいだろう。
パワートレインのオススメはやはりディーゼルだ。力強い加速でありつつ、燃料代が安いのがいい。もし燃料代を気にしないのであれば、ディーゼル並みに力強い加速とガソリンエンジンらしい高回転の爽快感を兼ね備えるガソリンターボも魅力的だ。
[マーケットデータ]

年式
どの年式もそれなりに物件が揃っているが、最も多いのはデビュー翌年の2013年式。グレード
最も物件が多いのは、ディーゼルターボを搭載した「XD」系。なかでも「Lパッケージ」も充実する。走行距離
走行距離も幅広い分布となっており、予算に応じたクルマ選びが可能となっている。
工藤貴宏が注目するアテンザの「ココが○」
その1:正統派セダンと実用的なワゴンを選べるボディタイプ
その2:躍動感あふれるダイナミックなエクステリアのデザイン
その3:運転が楽しくなるクルマ作り安定感も旋回性能も高い