【マセラティ特集】憧れのスポーティブランドが身近に買える!? 探しやすいモデルはどれ？

　マセラティ ギブリと言えば、1966年に登場した初代を思い浮かべる人が多いかもしれない。初代ギブリはロングノーズのファストバッククーペで、後のスーパーカーブームにおいてフェラーリやランボルギーニと世界最速の座を争ったことでも有名。その後、1992年にはギブリのネーミングが久々に復活する。2代目ギブリは初代よりもひと回り小型化され、コンパクトなGTとして販売された。しかし、残念ながら初代、2代目ともに中古車を探すのは難しい。市場にはほとんど流通していないのがその理由だ。

　2013年には今回のテーマとなる3代目ギブリが登場。過去2世代とは異なり、新型はセダンボディが与えられたのがトピック。全長4970mm、全幅1945mm、全高1485mm（デビュー時）のサイズは、メルセデスEクラスやBMW 5シリーズに近く、欧州Eセグメントに属する。過去のギブリとの関連性は薄れたものの、エクステリアは初代や2代目にも劣らぬエレガントさが自慢。エンジンは、当初410馬力の3.0L V6ガソリンターボを搭載したが、後に3.0L V6 ディーゼルターボも追加された。なお、デビュー当時の新車価格帯は940万円~1010万円。そんな現行型ギブリの年式別中古車平均価格を見てみよう。

　歴代マセラティ車のなかでも、現行型ギブリの物件数は際立って多い。もちろんドイツ車のライバルには及ばないが、それなりの数が流通するから、どの年式の中古車でも買いやすい傾向にある。特に2014年~2015年式は物件が豊富で、平均価格は400万円台と、新車時の半額以下で入手できる。

　しかし、ディーゼルが追加されたのは2016年だから、こちらを探すならさらなる予算の確保が必要。ガソリンと比べて物件が少なく、購入のハードルはやや高めだ。グレード別に見ると、ベースグレードがもっとも多く、次に「S」が豊富。駆動方式は2WDと4WDから選べるが、前者のほうが圧倒的に多い。

　マセラティと言えば、伝統のフラッグシップセダン「クアトロポルテ」が有名。初代は1963年に登場し、モデルチェンジを繰り返してきたが、現行型が登場したのは2013年4月。ボディサイズはギブリよりもひと回り大きく、全長はおよそ5.2mにも及ぶ。エンジンは当初3.8L V8ターボが搭載されたが、後に3.0L V6ターボも登場。V8モデルの最高出力は530馬力と、高性能スポーツカー顔負けの動力性能がクアトロポルテの魅力である。2013年発売時の新車価格は1690万円。

　その一方、豪華で高性能なクーペ「グラントゥーリズモ」も、往年のマセラティのDNAを受け継ぐ1台である。こちらは2007年10月に登場し、現在も新車として販売されるロングセラー車。全長およそ4.9mの大柄なボディを持ち、リヤシートを備える4シータークーペゆえ、意外と実用性が高いモデルでもある。デビュー当初、エンジンは4.2L V8が搭載されたが、後に4.7L V8も追加されている。2017年には外観がリニューアルされ、より精悍なスタイルとなった。なお、2007年発売時の新車価格は1530万円。ここでは、現行型クアトロポルテとグラントゥーリズモの価格を比較してみよう。

　新車時価格はクアトロポルテのほうが高価だったが、中古車平均価格を比較するとグラントゥーリズモの価格が高い。デビュー年式が古いにもかかわらず高価なのは、高性能クーペという特殊性。ある意味、グラントゥーリズモはスーパーカーとも言える存在なので、経年による値落ちの幅は小さいのである。その一方、物件数が多いのもグラントゥーリズモ。価格帯は400万円~1500万円と幅広いが、5万km以下の条件でも初期型ならば500万円以下の予算で幅広く探せるはず。

　一方、クアトロポルテは、年式のわりに相場が低い傾向にある。2014年式で400万円台前半の物件が揃い、コンディションや走行距離など良好な条件でも探しやすい。新車時価格が1700万円近いことを考えると、値落ち率は非常に大きい。スーパースポーツ級の高性能セダンがこの価格ならば、納得のクルマ選びと言えるかもしれない。

　SUVブームの強力な追い風のなか、マセラティが開発したのがレヴァンテである。2016年9月発表とデビューしてから4年が経ち、中古車も出回ってきたので注目したい1台。レヴァンテは全長およそ5mの大柄なSUVで、サイズ的にはアウディQ7に近い。当初は3.0L V6ターボが搭載されたが、後に3.8L V8ターボも追加されている。マセラティらしいダイナミックな走りが楽しめるSUVとして、デビュー以来ファンの注目を集めている。デビューした際の新車時価格は1080万円~1279万円。

　豊富とまでは言えないが、それなりに物件が揃ってきたレヴァンテ。ただし、相場は全体的に高めで値落ちの幅も小さい。予算の最低ラインは600万円だが、平均価格は958万円と高価で、その人気ぶりが伺える。ただし流通するのは1万~2万kmの低走行車が中心だから、新車購入も視野に入れているならアリ。

　以上、今買えるマセラティの中古車を紹介してきたが、初めてマセラティに乗りたい人にオススメしたいのはギブリ。ボディサイズ、排気量とも手頃で、比較的高年式の物件でも400万円台の予算から探せる。また、物件数が充実したグラントゥーリズモは、初期型ならば現実的な価格で買えるグランドツアラーである。

　しかしマセラティと言えば、70年代にさまざまな車種が登場したスーパーカーに思いを馳せる人も少なくない。しかし、この年代のマセラティはほとんど市場に流通していないのが現状。一方、80年代にはビトゥルボをはじめとした一連のモデルが有名だが、こちらはグーネットにも数台掲載されている。そして90年代から2000年代前半の3200GTなどは300万円前後の物件が目立ち、まだまだ十分買えるという状況となっている。