【アルファロメオ ジュリア】イタリアンスポーツセダンの値落ち率が大きいってホント!?

　クルマ、とくにイタリア車にあまり関心がないひとは、ジュリアは最近登場したニューフェイスだと思うかもしれない。しかし、ジュリアは1960年代に一斉を風靡したオリジナルモデルが存在し、2017年に登場したのはそのリバイバルとなっている。

　初代ジュリアは、ベルリーナと呼ばれるセダンのほか、スプリントGTに代表されるクーペなど豊富なバリエーションを誇り、1970年代まで生産され続けた。基本となる駆動方式はFRで、なかでもジュリアスプリントGTAは、軽量ボディに高性能な1.6Lエンジンを搭載し、欧州ツーリングカー選手権で大活躍したのは有名。

　その後、数十年の時を経て登場したのが今回のテーマである新型ジュリア。それまでのアルファと言えば、駆動方式はFFが主流だった。スポーティな走りとルックスが人気の156、その後継の159も然り。しかし新型は、初代と同じくFRが主体（4WDもあり）。そのおかげで、ライバルのBMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスにも負けないダイナミックな走りを手に入れたのだ。

　パワートレーンは2.0Lガソリンターボ、2.2Lディーゼルターボ、そして2.9Lガソリンターボの高性能版「クアドリフォリオ」を用意。クアドリフォリオの走りは、BMW MやメルセデスAMGに匹敵するハイパフォーマンスが自慢で、ジュリアの最上級モデルに位置している。

　まずは、ジュリアの改良遍歴を振り返ってみたい。日本でジュリアが発表されたのは2017年9月。当初のグレード構成は、2.0L 4気筒マルチエアターボを搭載したベースグレード、「スーパー」、「ヴェローチェ」、さらに2.9L V6ターボを搭載した「クアドリフォリオ」の4モデル。ベースグレードと「スーパー」は200馬力、「ヴェローチェ」は280馬力、「クアドリフォリオ」は510馬力とそれぞれ性能が異なっている。なお、トランスミッションは全車8速ATを組み合わせる。「ヴェローチェ」は左ハンドル、そのほかはすべて右ハンドル。デビュー時の価格帯は446万円~1132万円だった。

　2018年1月、「ヴェローチェ」の右ハンドル仕様が登場。さらに2019年2月には2.2L 直4ディーゼルターボも加わった。こちらは最高出力190馬力、最大トルク45.9kgmという高性能が自慢である。また、2020年3月にはクアドリフォリオをベースとした「GTA」がワールドプレミアされたが、日本への導入は未定となっている。なおこの間、大きな改良は行われていないため、どの年式も基本的にはほとんど変わらない仕様となる。

　上のデータでは、高年式になるほど価格が小さくなっている。これは、高年式になるにつれて高価な「クアドリフォリオ」の割合が減っているため。また、全体的に物件数が多くないから、高値の物件があると平均価格に影響しやすい。登場してからまだ3年弱と新しいモデルゆえ、特定の年式ではなく、グレード、走行距離などさまざまな要素で買いのグレードを判断したい。

　なお、もっとも物件数が多いのは2019年式で、わずか1年落ちでも100万円以上値下がりしている物件も少なくない。高年式かつ低価格という条件で探すことも可能だ。

　ジュリアのグレード構成は、ベースグレード、「スーパー」、「ヴェローチェ」、「クアドリフォリオ」の4タイプ。「スーパー」はガソリン、ディーゼルともに選べる。また、「ヴェローチェ」はFRと4WDを設定。ハイパフォーマンス仕様の「クアドリフォリオ」を除けば、スポーティな性格なのは「ヴェローチェ」。こちらはスポーツレザーステアリング、専用デザインのバンパー、スポーツブレーキ、ツインエキゾーストパイプなどが与えられる。

　「スーパー」はプレミアムレザーシートなどを装備した中堅モデル。ベースグレードは、自動防眩ドアミラー、ステアリングヒーター、パドルシフトなどの装備が省かれるが、価格を抑えたエントリーモデルという位置付けだ。そして「クアドリフォリオ」は、510馬力の高出力を誇る2.9L V6ターボを搭載し、外観、シャシーまわりも専用となる。各グレードの平均価格は次のとおり。

　相場が低いベースグレードは、一見するとお買い得だが流通量が少ない。中古車として買いやすいのは装備が充実した「スーパー」だろう。物件数はもっとも多く、300万円台半ばの予算から狙える状況。「スーパー」はガソリン、ディーゼルの両方選べるモデルだが、物件が多いのはガソリン車。一方、スポーティな装備が充実した「ヴェローチェ」も、良質な個体が揃いオススメである。

　ジュリアの最高峰に位置する「クアドリフォリオ」の相場は別格。ほかのグレードの2倍以上もするが、その価値は末長く保たれるだろう。こちらは物件によって価格差が激しく、下は680万円、上は1000万円オーバー。アルファファンならチェックしてみるのもよい。

　以上をまとめると、登場から3年近くが経過して現実的な価格になっている。高年式・低走行車が100万円以上安く入手できることを考えると、前向きに検討したいモデルと言えそうだ。なかでもガソリンの「スーパー」が物件豊富で、300万円台半ばの予算から探せることを覚えておきたい。