カー!といえばグーネットピット

無料整備工場検索&予約アプリ

グーネットピットアプリ

車の最新技術
更新日:2020.04.21 / 掲載日:2020.04.21

MAZDA「SKYACTIV‐X」の魅力 早わかり

クルマの未来がEV(電気自動車)に向かっているからといって、EV以外は技術的に遅れているのかというと全く違う。EVベンチャーが手を出せない、高い技術力を必要とする内燃機関の世界では、ユーザーにより高い価値を提供すべく、燃焼の追究やEV技術との融合など、新技術が次々に生まれているのだ。

MAZDA【SKYACTIV‐X】

ガソリンとディーゼルの両技術を徹底的に磨き上げることで、内燃機のスペシャリストとして高い評価を受けているマツダ。新時代の高効率エンジンとして注目される「スカイアクティブX」の真の魅力とは!?

ガソリンエンジンの究極を目指して誕生した世界初のSPCCIを採用!

 制御が難しい燃焼方式をクリアするため、スカイアクティブXには様々なデバイスが装着されている。その代表的なものが「高応答エアサプライ」と呼称されるスーパーチャージャーだ。ひと昔前は高出力を狙うための装置というイメージが強かったが、スカイアクティブXではあくまでも吸気量を安定させるために用いる。

驚異的な技術で実現! 高効率内燃機の究極型

 省燃費性能で時代をリードするのは内燃機と電動の長所を合わせ持つハイブリッド車だが、最近は内燃機の標準となるガソリンエンジンの高効率化が進んでいる。その高効率化技術の最先端にあるのがスカイアクティブXに採用されたマツダのSPCCI(火花点火制御圧縮着火)である。
 昨今の高効率ガソリンエンジンはいずれも大量クールドEGR(排気ガス再循環)下での急速燃焼を採用する。吸気抵抗の軽減と発熱を効率良く圧力に転嫁するのが目的。ところが、排気ガスは燃焼伝播の阻害要因。EGR量が増えると着火性や燃焼速度が低下しやすい。そこでSPCCIなのだ。
 SPCCIはディーゼルと同じく圧縮着火に分類されるが、点火プラグを併用するのが特徴だ。点火プラグがあると一般的な燃焼方式と混同されそうだが、燃焼プロセスが異なる。ピストンによる圧縮では発火直前の圧力と温度まで。そこで点火プラグにより小爆発を起こし、それにより混合気全体が一気に燃焼する。爆縮着火とも言うべき燃焼方式なのである。
 混合気全体が一気に燃焼するので燃焼速度が速く、点火プラグも用いるため点火タイミング制御精度も高い。即普及…となりそうだが、技術的難易度が極めて高い。
 まず、SPCCI燃焼時は混合気圧力を一定にするため吸気量を一定に保たれなければならない。また点火直前の点火プラグ周辺の混合気も着火しやすい状態でなければならず、極低負荷時の着火制御も困難……等々の問題点がある。
 そのため極低負荷域を除いた全域で大量EGR稼働の実現と吸気量の安定を図るためスーパーチャージャー(ブロアー)を装備。プラグ着火性と効率的な爆縮を実現するためシリンダー内混合気流制御は最近では少数派となるスワール(横渦)を採用。極低負荷域の安定稼働ではEGRを減らし、超超希薄燃焼とする。考えるほどにまともにエンジンが稼働するのが不思議なほど。剣が峰をなぞるような制御があってこそなのだ。
 エンジン内で起こっていることはスゴイ! の一言に尽きる。しかし、スカイアクティブXにはISGを用いたマイルドハイブリッドを採用するものの、搭載モデルのモード燃費性能は新世代パワートレーンとしては凡庸。スーパーチャージャーを装備しているのだからそれも仕方ないのだが。また、大量EGR前提なので過給器付きにしては最高出力も最大トルクも低め。燃焼方式を考えれば納得だが使用燃料はハイオクだ。乗り越えた技術的ハードルは驚異的なのだが、実利が少ないのが惜しい。

【Check!】SKYACTIV-X

ドライバビリティはピカイチ! ただし値段がネック……

 自然吸気+CVTという記号性だけで言うと期待薄に感じがちだが、実際に乗ると「目からウロコ」だ。実用域はダウンサイジングターボと遜色ないトルクで、軽快なレスポンス、高回転までスッキリ回るフィーリングなどは久々にいいNAエンジンに出会った感じである。発進ギヤ付きのCVTはダイレクト感もまずまず。日常域ではCVT特有のラバーバンドフィールはほぼ顔を出さない。燃費は普通に走れば誰でも高数値をマークでき、走りは気持ち良く五感を刺激する。単なるエコエンジンではなく、余計な補機類が少なく価格面でも有利……と、現時点ではガソリンエンジンのベストと言ってもいいかも。

コスト/安さ:★ 価値/効果:★★★★

星取表:★★★★★=最高! ★★★★=とても良い ★★★=良い ★★=ふつう ★=今イチ

icon 主な採用車種

  • MAZDA3ファストバック/セダン SKYACTIV-X
    ●価格:319万8148~368万8463円/319万8148~361万6963円
    ●発売日(最新改良):’19年11月25日(未実施)

  • CX-30 SKYACTIV-X
    ●価格:329万4500~371万3600円
    ●発売日(最新改良):’20年1月16日(未実施)

SKYACTIV-X ドライビングインプレッション

「すっきりクリア! 爽快な走りが魅力だ」

【CX-30】重心の高いSUVながら、マツダ車ならではの小気味良いドライブフィールは健在。モード燃費性能は最新モデルとしては平凡だが、実燃費はかなり伸びる傾向にある。

「驚くほど味わえるクルマとの一体感!」

【MAZDA3】アクセル操作に驚くほど高精度に反応するのがスカイアクティブX。ワインディングを走るのがとにかく気持ちイイ!

アクセル操作との一体感、とにかく「素直」だ!

操舵追従向上のGVCや加速応答における加速度特性の設定など、操り心地の追求はマツダの特徴のひとつだ。その一環として開発したのがスカイアクティブXだとすれば、大いに納得してしまう。

全開加速は最高出力の180PS相応。標準的な2L車よりも多少速い程度だ。全開で延々と加速というのも非現実的なのだが、いわゆる高性能スポーツ車と言えるほどの加速性能ではない。スペックの通り、ことさらの力感はない。

しかし、浅いアクセル開度での踏み増しにも間髪入れずに反応、巡航ギヤ維持力も悪くない。だからといって無理にダウンシフトを抑えている感もなし。加速や登坂速度維持でMTならば巡航ギヤで済ませてしまう状況でも、AT車は少し早めにダウンシフト。巡航ギヤ維持のアクセル踏み増しよりも1段落として回転上昇とともに伸びやかな加速感や変速のリズム感を優先したのはマツダらしい。

さらに細かなコントロールでも、低回転から高回転まで反応の良さは変わらない。どこでも小技が利くし、一気呵成の加速も気持ちいい。内燃機としては究極の素直さと言っても大げさではない。

また、燃費のスイートスポットが拡大されているのも長所。CX‐30ではツーリング試乗も行ったが、速度や勾配の変化が大きな高速走行でも燃費の振れ幅少なく20km/L前後を維持。ひどく乱暴な運転でもなければツーリング燃費は20km/L超も難しくない。

走り全体の印象はマツダ3、CX‐30ともにそれ以前のマツダ車よりもスポーツ味が濃い印象。プラットフォームを共用する2車だからかもしれないが、引き締まったサスチューンは初期応答の鋭い操縦感覚を示す。ロールが深くなるほどに腰が据わる方向安定性重視の特性は変わらず、中立付近の反応だけ誇張した感じ。段差乗り越えで少々神経質だが、速度が高まるほどに滑らかになる乗り心地もスポーティモデル的であり、ファン・トゥ・ドライブを目的に選ぶなら満足度が高い走りである。

  • 熱効率を高めるため、スカイアクティブXはエンジンルーム内に設けられた専用のケースに収められている。

  • インパネ上モニターには、パワーフローのリアルタイム表示も行われる。SPCCIが稼働している時は緑色の表示で知らせる。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ