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車の最新技術
更新日:2020.05.01 / 掲載日:2020.05.01

NISSAN「e-4ORCE」の魅力 早わかり

クルマの未来がEV(電気自動車)に向かっているからといって、EV以外は技術的に遅れているのかというと全く違う。EVベンチャーが手を出せない、高い技術力を必要とする内燃機関の世界では、ユーザーにより高い価値を提供すべく、燃焼の追究やEV技術との融合など、新技術が次々に生まれているのだ。

NISSAN【e-4ORCE】(イーフォース)

市販モデルへの新技術を積極的にフィードバックする日産。中でもEVの分野においては先駆者としても知られている。そんな日産の次のアプローチとして注目されるのが、駆動方式の電動化だ。

電動パワートレーンの潜在力を巧みに引き出す新システムを開発中

■アリア コンセプト

昨年の東京モーターショーで発表された電動SUVのコンセプトモデル。市販化の暁には、e-4ORCEの採用が予告されている。

理想の前後駆動配分を“電動”で行うe-4ORCE

日産のパワートレーン開発の特徴のひとつに電動化がある。その牽引役となるのがe‐POWERであり、さらにその源流には電気自動車のリーフがある。e‐POWERはエンジンを発電機として用い、その電力を直接または蓄電した後に駆動に用いる。一般的にはシリーズ式と呼ばれるシステムである。ブレーキシステムはリーフに採用されている油圧回生協調式ではなく一般的な油圧式を用いるが、発電システムを除けば多くはリーフの技術から発展したものである。電動の可能性を最大限に引き出せるハイブリッドシステムなのは間違いない。

この「電動の可能性」は動力性能と燃費という意味ではない。シャシー性能の向上である。

一般的にストロングハイブリッドではモーター出力軸の角速度変化を精密に監視して出力を制御している。制御の分解能が著しく高く、しかも出力制御のタイムラグはほとんどない。どのような特性にするかもプログラム次第だ。

例えば、e‐POWERでは初期加速を高めながらギクシャクさせないため、駆動軸の捩れ戻りやギヤ類のバックラッシュなどの駆動輪におけるトルク変動や回転変化を打ち消すように細かく出力を制御。乱暴なペダルワークでもしゃくるような挙動は生じない。あるいは雪上走行でよくわかるようにVDCの効率的制御にも役立つ。

その集大成とも言えるのが、リーフに続く電気自動車となる新型SUV、アリアに採用が予定されているe‐4ORCE(イーフォース)である。前後に独立した電動駆動系を備えた4WDシステムを採用。自在に制御できる前後の駆動(制動)力配分に加えてブレーキを用いた左右輪の駆動力配分により、常に走行状況に応じた4輪独立駆動力制御が可能となる。

以前、技術開発プロト車に試乗したが、高い限界性能にもかかわらず、極めて癖がない操縦性や揺れ返しの少ない挙動など走っている時の振る舞いが実に洗練されていた。高性能を質で語ると言うべき走りであり、環境性能とは別の視点から見た電動でしか辿り着けない領域を狙ったシステムだ。
まず、ピュアEVだが、トヨタとの共同開発によるクロスオーバーSUVのデザインモックアップをお披露目した。昨年6月にトヨタの電動車普及に向けたチャレンジ説明会でトヨタ版が展示されていたが、今回のモデルはそのスバル版で、フロントフェイスやライト周りに違いがある。

駆動方式はモーターの配置や数により自由自在だが、スバル版は前後にモーターを配置したAWDになるのは間違いないだろう。

ハイブリッドモデルはすでに独実開発のマイルドハイブリッド「e‐BOXER」に加えて、トヨタのTHS技術を融合させたストロングハイブリッドを2020年代前半に導入予定である。

中には「トヨタのシステムを買ってポン付け」と悪口を言う人もいるが、「縦置き」と「常時四駆」と言うスバル独自の思想を考えると、あくまでもトヨタはシステムサプライヤーと言う認識と考えたほうがいい。ハイブリッド専用のボクサーエンジンは、モーターアシスト前提の制御にすることで、エンジンの力をより効率的に使えるようになるはずだ。また、直結4WDのメリットを活かし、回生効率アップ(FF比30%増)と車両安定性向上にも寄与すると言う。

もちろん効率向上の追求も続けられており、新型レヴォーグには新世代ボクサーエンジン(1・8L直噴ターボ)が導入される。現在鋭意開発中だが、最適燃焼の追求、全摺動部フリクション低減の追求、最適設計&制御などにより、熱効率は40%近い数字になるそうだ。まだその詳細は全て明らかになっていないが、パフォーマンスと環境性能を高いレベルで両立させるユニットに仕上がっていると思っていいだろう。

ちなみに昨年でWRX STIに搭載されていたEJ20ターボの生産が終了したが、その次の一手もシッカリと用意している。次期WRX用には北米専用3列シートSUV「アセント」に搭載される2.4L直噴ターボがベースになるようだ。また、ベーシックモデル用として、現行1.6L・NAエンジンに代わる1.5L直噴ターボも開発中だと聞いている。

これらにより、2030年には全世界販売台数の40%以上をピュアEV+ハイブリッドモデルに、2050年にはWell‐to‐WheelでCO2の90%削減(2010年比)を目指すとも。モーターを用いる電動駆動時代になっても、スバルらしさを強く感じることができるパワートレーンが登場するのは間違いなさそうだ。

【Check!】e-4ORCE

伝統のアテーサのノウハウをツインモーターシステムに注入

 R32型スカイラインから採用されたアテーサE-TSを筆頭にニッサンは古くから4WDシステムを用いた操安性の向上に熱心であった。そこにESC(VDC)等のトルクベクタリング技術が融合してe-4ORCEへと辿り着く。走行状況に応じて4輪の駆動力配分を最適化し、運動性と収束性を制御するのはトルクベクタリングと共通だが、一般的な4WDと異なり前後輪の駆動力制御が機械的束縛を受けないのがツインモーターの強味だ。次世代のクルマのあり方を示す技術である。

コスト/安さ:—— 価値/効果:★★★★★

星取表:★★★★★=最高! ★★★★=とても良い ★★★=良い ★★=ふつう ★=今イチ

リーフをベースとした技術開発モデルでの印象は、巧みに前後の駆動力コントロールによる車体挙動の巧みな制御ぶりが印象的だった。

e-4ORCEの実用化のためには、EVのさらなる熟成も求められる。特に大容量バッテリーの開発は急務。アリアの市販モデルでその実力は明らかにされるだろう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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